【PAUL McCARTNEY with “500/1(1961)”in 1963】
ビートルズのポール・マッカートニーが、ビートルズとして初めて
使用したベースが1961年製の“Hofner 500/1”です。このベースは、
1969年の「ゲット・バック・セション」でも使用されましたが、その
後、どうなったのか不明です。誰かがどこかで密かに保有しているの
でしょうか。
通称「キャヴァーン・ベース」と呼ばれる“500/1 ”は、1961年4
月からのハンブルク巡業の時に、購入されたものです。ポールがなぜ
このベースを選んだのかは諸説がありますが、いずれにせよポールは
初めて「左用のギター」を手にしたのです。そうでない時、ポールは
ジミ・ヘンドリックスと同様に、「右用のギター」の弦を張り替えて
使用していましたが、さぞかしそれは、使いにくいものだったことで
しょう。
“500/1 ”の仕様上の大きな特徴は、なんといってもあの「コント
ロール系」でしょう。ブリッジの下にある2個のノブは、2つのピッ
クアップのヴォリュームです。また、2個のノブの間にある、3つの
スライド・スイッチで、プレイヤーは音量や音質を調整します。実は
このスイッチの機能がかなり複雑なのです。補足ですが、コントロー
ル・パネルは「右用左用」で共通の部品が使われていました。従って
ポールのように左利きのユーザーの場合、デフォルトでは文字表示が
上下反転した状態になっています。1963年製を使用した時、ポールは
1966年になる前にこのコントロール・パネルを取り付け直し、右用と
同じ向きの表示に改造しました。
ポールが愛用した1963年製の“500/1” コントロール・パネルが改造されている
以下、デフォルトの仕様での記述です。上の画像は「改造」された
ものであるため、位置が反転している点にご注意ください。
3つのスライド・スイッチのうち、最もブリッジ側に位置するのは
出力調整用スイッチです。この“SOLO”“RHYTHM”と書かれたスライ
ド・スイッチを使用することにより、音量を瞬時に変化させることが
できます。いわゆる、「ミュート」に近いものです。“SOLO”のポジ
ションで100 %の出力に、“RHYTHM”ポジションでは約50%の出力に
なります。
ネック側にある2つのスライド・スイッチは、さらに複雑な機能を
有します。この2つのスイッチは、「ピックアップ・セレクター」と
「トーン・コントロール」を兼用しています。各スイッチの上には、
“TREBLE ON”“BASS ON”と表記されていますが、これはスイッチの
名称あり、その表示の方へスライドすることにより各機能が“ON”に
なるのではありません。ややこしくなってきたので、具体的にご説明
いたしましょう。
“TREBLE ON ”スイッチを、その表示と反対の方向へセレクトする
と、ブリッジ側のピックアップが“ON”になります。と同時に自動的
にトーンが“10”(もっともトレブリー)になります。また、“BASS
ON”スイッチを同様にセレクトする(“ON”にする)と、ネック側の
ピックアップが“ON”になり、同時にトーンは“ 0”(ハイ・カット)
になります。両方ともセレクトすると、「スタンバイ状態」となり、
音は出力されません。反対に両方ともオフにする(表示側にセレクト
する)と、両方のピックアップがトーン“10”で“ON”になります。
これらの仕様は、1961年製と1963年製(1963年 8月あたりから使用)
との間で共通しています。“500/1 ”は、ショート・スケールで軽量
ということもあって、ステージでの操作性がよいためにポールは好ん
で使用したのでしょう。その音色は後のリッケンバッカー“4001S ”
と比較すると、アタックやサスティンが弱く、ホロー・ボディ特有の
「モコモコ」した音です。よく言えば「温かみがある音」でしょうか。
肝心のポールは、どのような「レジストレーション」をしていたの
でしょうか。音質は、使用アンプやレコーディングの状況でも大きく
変化しますが、1963年製を含め、初期の楽曲で「異質な音」と感じた
のは、‘Devil In Her Heart’です。やや「固め」といった感じの音
に聞こえますが、いかがでしょうか。
1961年製の“500/1 ”は1963年製にとってかわられた後、再塗装・
修理を経て、1964年~1965年ではツアーでの「サブ・ベース」として
スタンバイされていました。ビートルズがコンサート活動を中止して
からしばらくは公に姿を現すことがありませんでしたが、1968年 9月
‘Revolution’のフィルム・クリップで華々しく復活をとげます。
そして、その後、いまだに公開されていません・・・。
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