らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

680.大長今・印象に残るセリフ(シン・イクピル教授)

2007-09-16 | 31.Drama/Movie
【シン・イクピル教授(박은수:パク・ウンスさん)】

 韓国のドラマ『대장금(大長今)』の第34話「王の怒り」の中で、
深く心に響く言葉がありました。それは、医女の修練を担当していた
教官のシン・イクピル教授が、チャングムにかけた言葉です。

 医者は聡明である者よりも、深みのある人間がなるべきだ。
 血に流し骨に刻むようにせよ。

 深み。さらに具体的に言うとどういうことなのでしょうか。

 「人物とはどういうことを言うのであろうか」というようなハナシ
になります。いわゆる「人物学」という領域になりますが、これにつ
きましては、別の機会で詳細を述べたいと思います。

 人というものは、活力が志気を生み見識を生じます。大事なのは、
単なる知識を持ちあわせた状態に留まるのではなく、いかに遠大なる
理想を持ち見識・気節を持ちあわせた状態に到達できるかということ
であります。そのような状態になると、その人には「大きさ」が顕れ
「度量が大きい人だ」と評価されるようになります。

 度量が出来あがってくると、それだけ理想と現実の見方が錬磨され
てくるため、さらに深い見識を持ちあわせた状態になります。智彗が
出来あがってくるのです。つまり、人間の深さというべき「造詣」が
生じ、「趣」といった情操がにじみ出てくるのです。

 そのようにして人間が本当に生きてくるに従って、天地の法則のと
おり、人間の性命が躍動してくるため、「リズミカル」になり「風韻」
なるものが生じてきます。「あの人には風韻がある、風格がある」と
評価するのは、その人オリジナルの「芸術的存在」になってくること
であります。

 このように、「活力というものから志気となり、胆識となり、気節
となり、度量となり、造詣となり、それらが独特の情操風格を帯びて
くる」のであります。これらが人物たることの根本問題中の根本問題
なのです。つまり「深み」というのは、こういうものを備えることが
「人物」たる上で重要であると言っているのだと思います。

 そのためには絶え間ない「修練」が必要であることは、言うまでも
ありません。生涯、傲慢にならず謙虚な姿勢で対象と真摯に向き合い
学び取ろうという姿勢を貫くこと。これが重要なのだと考えます。

◇◆◇

 それにしても、口数が少なく、笑顔をけっして人前で見せたことが
ないかのような厳格なシン教授。権力に屈せず最後まで自分の意志を
貫き通したことがチャングムの心をとらえました。シン教授は自らの
経験から学んだ哲学をチャングムに伝えようとしたのです。修練の最
初のうちは、その意図が不明であったチャングムでしたが、同じ志を
もつシンビの言動を見て、おのれの傲慢さにようやく気づいたのです。
だからこそチャングムはすべてを悟り、シン教授を「師」として認め
ました。それがシン教授に対して示した「微笑」です。そして、シン
教授もチャングムが気づいてくれたことを感じ取ったために、口元が
かすかにほころんだのですね。

 師と教え子の信頼関係が確立した、とても感動的な場面です。



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2 Comments

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Unknown (評議会の端くれ)
2007-09-19 11:24:27
「大長今」については何度見ても新しい発見があります。特に字幕付き原語版(なかなか見られないのですが、DVDには撮っています)は、「そうだったのか」と思わせるシーンが多くありますね。
素晴らしい御説については何も申し上げることはないのですが、シン教授は過去に大きな失敗をしたことがあるようで、その経験が人物をさらに大きく、謙虚にしたのではないかと思います。
それにしても度量大きく、かつ謙虚に生きるのは難しいものです。日々反省です。
話は変わりますが、先日、何かで読んだのですが(原文は失念しました)、「未知と遭遇したときこそ、その人の器量が問われる」とかいうものでした。
常に平常心で、大局観を養いたいものです。
お時間を取らせて申し訳ありませんでした。




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失敗経験 (らば~そうる)
2007-09-19 20:50:26
to:評議会の端くれさん

ご多忙な折、コメントありがとうございます。
また、上野・御徒町界隈でご一緒させていただきたい
と存じます。

>シン教授は過去に大きな失敗をしたことがあるようで、その経験が人物をさらに大きく、謙虚にしたのではないかと思います。

失敗経験がこのような方向に働くとよいですね。
わたしは「失敗経験支持派」です。
ところが、意外と反対に作用する場合があります。
いざというときの臆病、自信喪失・・・。
「謙虚」という姿勢はこれらと紙一重の部分が
あると最近実感するようになりました。

本当に、人生「波」がありますね。
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