1255．コミュニケーション能力は必要だが・・・

　現在、コミュニケーション能力があらゆる分野で求められています。
あらゆる対人関係の中で、自分の価値を相手に認めてもらうためには
高度なコミュニケーション能力が必要とされています。もちろんそこ
には相手の気持ちを察するという配慮が含まれています。

　しかし、このようなトレンドは社会が健全な方向に向いていること
を示すものなのでしょうか。相手を評価（いわゆる重々しく場面だけ
ではなく、軽い気持ちで相手がどんな人なのかを判断することも含み
ます）することは、どの人でもいつでもありえます。その中でコミュ
ニケーション能力は、いまや人物評価基準のひとつになっています。
それは確かにあってよいと思うのですが、コミュニケーション能力と
本人の能力が必ずしも一致しないことが時としてあることに、留意し
なければいけないと思うのです。そうでなければ、あらゆる場の中で
コミュニケーション能力を核とする過当な競争が蔓延し、人間関係に
歪みをもたらすことになります。

　昨今、「空気を読む」ということが重要視される風潮を感じます。
それができないと「なんだよ、もっと空気読めや～」と忠告されます。
忠告した側は軽い気持ちかもしれませんが、された側はそれによって
萎縮してしまうことがあります。そのストレスたるや、まさに深刻な
ケースに発展してしまう危険性も孕んでいます。

　ＩＴ技術が発達し、1990年代の半ばからコミュニケーション手段が
大きく変化しました。携帯電話、インターネット、そして電子メール
の普及が例としてあげられます。それによりわたしたちの生活は便利
になった面があります。しかし、同時にまたコミュニケーション上の
問題も浮き彫りになってきました。

　対話が重要であることは昔から変わりありません。しかしその場で
「自然」に振る舞いができるような雰囲気作りを社会全体として創り
あげていかないと、社会そのものが萎縮してしまいかねません。



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