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今年は年明けから、能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故と、
胸の痛むことが続きました。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
ご関係の皆様が一日も早く平穏な日常に戻れることを願いながら、
小さな小さな力しかありませんが、
私にできることをしていきたいと思っています。
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年々、一年があっという間に過ぎるようになる、
とよく言われますが、
本当に昨年も一年が早かった…。
気が付けば、前回の投稿から4ヶ月近くが経ってしまい、
2024年が明けてしまいました。
今年も細々とこのブログを続けていこうと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
2024年初投稿の第6弾は、
島根県安来市のさぎの湯温泉「さぎの湯荘」さん
をご紹介します。
島根県の「足立美術館」と言えば、
訪れたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、
さぎの湯荘さんは、まさに足立美術館のすぐ横!です。
足立美術館をじっくりと楽しみたい方は、
是非さぎの湯荘さんへ、
というフレーズが成り立ってしまうくらい、
もっと言えば、足立美術館と一体!?と思ってしまうくらい、
本当にすぐ隣、でした。
少し話しがそれますが、
足立美術館は、
美術展示と併せて日本庭園を愛でることができることで有名で、
アメリカの日本庭園専門誌が選ぶ日本庭園ランキングで
21年連続日本一に選ばれています。
このランキングは、歴史的価値、規模、知名度ではなく、
庭園の質、庭園と建物との調和、
利用者への対応といったホスピタリティ等、
「いま現在鑑賞できる日本庭園としていかに優れているか」を基準に
調査・選考されているそうです。
2023年の発表が12月7日に行われたようで、
私が訪れた際は、20年連続日本一の時でしたが、
普段、美術館には縁遠い私でさえも、
「20年連続日本一なら、その庭園は一度は拝見しておかないといけないか…」
と、思わず足を踏み入れた次第でした。(苦笑)
でも確かに、奥に臨む自然の山を借景として、
それと調和し、一体となった日本庭園を見ていると、
心が落ち着き、清められる思いがしました。
「庭園もまた一幅の絵画である」
というのが、当該美術館創設者の信念だったそうですが、
私は、この庭園という絵画が一番気に入りました。
(ただ単純に、芸術・美術に疎いだけ、という話しもありますが…。)
平日にもかかわらず、朝一から閉館時間間際まで
広大な駐車場に多数の車と大型観光バスが出入りしているのも
うなずけました。
そして、その隣に、
これまた落ち着ける和の雰囲気を醸し出すさぎの湯荘さんがあります。
さぎの湯荘さんも広大な敷地を有していらっしゃいましたが、
その1/3を庭園が占めているそうで、
館内を歩いていても、お部屋にいても、
温泉に浸かっていても、お食事をいただいていても、
常に日本庭園を眺めることができました。
私は今回、お部屋の2方向に窓があり、
露天風呂が付いている客室を利用させていただいたのですが、
やはり、いずれの場所から外を眺めても、
日本庭園や和のオブジェを望むことができ、
一貫したコンセプト、ぬかりない配慮が伝わってきました。
さらには、人里離れた場所で(笑)、
閉塞感のある小さな個室に閉じ込められがちの喫煙室でさえ、
一面窓の向こうに箱庭のような日本庭園を眺めることができ、
ゆったりとした椅子に腰掛け、
ちょっと贅沢な気分でゆっくりと寛ぐことができます。
喫煙室というよりは、
シガールームという言葉のほうがしっくりときそうな空間。
肩身の狭いご時世の愛煙家にも忘れない心遣いが、
旅館のゆとりを感じさせてくれました。
ここまで徹底した理想の眺め、空間をご用意したいと思ってはいても、
現実には様々な制約に阻まれて、
思い通りには成しえないお宿も多いと思うのですが、
それを成し遂げたさぎの湯荘さんのご努力に感服しました。
朝食後には、メインの日本庭園の中庭を眺められるラウンジで、
コーヒーをサービスしていただけます。
朝から日本庭園を眺め、ゆったりとコーヒーをいただく優雅な時間は、
まさしく“非日常”を味わえる、旅の醍醐味です。
そして、私が楽しみにしていた初めての山陰のお湯も、
ゆっくりと、じっくりと堪能させていただきました。
大浴場と2つの貸切風呂がありますが、
いずれも翌朝9時まで一晩中利用可能。
貸切風呂は、15時~21時までは予約制ですが、
22時以降は空いていれば、ご自由にどうぞ、のスタイル。
さらに、予約制の時間帯も含め、利用料無料!!
もう、温泉好きの方にはたまりませんね。(笑)
含放射能ナトリウム・カルシウム・塩化物・硫酸塩泉と、
聞いただけでもいいとこ取りの温泉ですが、
薬用高いラジウム泉とのことで、
肌がすべすべするのはもちろん、
私のがんこな手荒れも気付いたら綺麗になっていました。
一晩中源泉掛け流しで、お湯も軽く、柔らかく、
浸かり心地の良さに、
なかなかあがる踏ん切りがつきませんでした。(苦笑)
前述のとおり、大浴場でも、貸切風呂でも、露天風呂付き客室でも、
日本庭園を目の前に、時間を忘れてお湯に浸れる温泉ですが、
源泉温度が45~54度と少し高め、
そして、温泉というのは、
自分が思っている以上に身体が温まっているものですので、
くれぐれも温まり過ぎにはご注意ください。
建物の内装は、
恐らく改装されてからそれほど経っていないご様子でしたが、
今風のしっとりした和風の館内に、
老舗の面影を思わせる卓球台を発見しました!
若い方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、
昭和の温泉旅館の楽しみの一つと言えば、
“温泉卓球”でした。(笑)
最近は、卓球台を置いている旅館もかなり少なくなりましたが、
私が以前勤めていた旅館に常備していたミニ卓球台も、
意外と、お子様から大人の方にまで親しまれ、
深夜まで熱中しているお客様もいらっしゃいました。
なぜ、温泉に行くと卓球をやりたくなってしまうのかは謎ですが…。(苦笑)
私も、卓球台の傍に置かれていたオセロを、
数十年振りくらいに楽しませていただきました。
シンプルが故にムキになってしまって、
真剣に頭を使いすぎ、終わった後少しクラクラしました。
オセロなどやることすら思い付かないほど
目まぐるしく過ぎていく日常を離れ、
どこか懐かしい日本家屋の雰囲気を味わいながら、
浴衣姿で久々のオセロに勤しむ。
「あぁ~、旅館に来たなぁ~…。」
と、一番実感した瞬間だったかもしれません。(笑)
そして、楽しみにしていた日本海育ちの山陰の魚介料理も、
存分にいただきました。
欲張って、島根の魚介もお肉もいただけるプランでお願いしたのですが、
お造りは、舟盛りならぬ、まさに“山盛り”!!(笑)
スタッフの方のご説明を真面目に聞いていたのに、
覚えきれないくらいたくさんの種類の旬魚が盛られていました。
改めて、日本海の幸の種類の豊富さに感嘆するとともに、
どれも脂がのり、それぞれの魚介の味がしっかりとしていて、
そんな魚介達をいつも召し上がっている山陰の方々に、
軽く嫉妬すら覚えました。(笑)
名物ののど黒、しまね牛、大山鶏ももちろん美味しくいただきましたが、
たくさんお出しいただいたお料理一品一品、丁寧な優しい味がして、
いただくこちらも心がほっこり優しくなるようでした。
私の一番のお気に入りは炊き合わせ。
濃すぎず、薄すぎず、
しっかりと味は染み込んでいるけど、さらっと平らげてしまい、
最後に出汁の効いた煮汁を飲み干し、
「(あ)はぁ~…。」
と満足感に浸りました。
翌朝には、
“これ、あさり!?”
と思うほど、大きなしじみの入ったお味噌汁をいただき、
再び、
「(あ)はぁ~…、しあわせ…。」
本当に、舌や味覚だけでなく、心も満たされるお食事でした。
客室や館内も、私にとってはとても居心地が良く、
「どうして、こんなに居心地が良いのだろう…。」
と、キョロキョロ観察してしまうくらいでした。
古の日本家屋の雰囲気は残しながら、
今時の和モダンのデザインを取り入れ、
そのバランスが絶妙でちょうど良い。
現代の居心地良い居住性を兼ね備えながらも、
和の落ち着きに包まれる心地良さ。
さらには、高級旅館の佇まい、贅沢な造りではありながら、
なんだか心がすっと馴染み、
気取り・気張りの必要を感じず、
臆することもなく、ゆったりと身を置ける雰囲気。
これは恐らく、ハードのみならず、
スタッフの皆さんのお人柄も関係しているのだろうと思います。
私がお会いしたスタッフの方々は、
皆さん、明るく気さくで、
程よい距離感の心配りができる親切な方々でした。
「高級旅館なら、もっとビシッとかしこまってないと!」
という方もいらっしゃるかもしれませんが、
私には、スタッフの方々の
”ちゃんとしているけど、肩肘張らない自然体度合い”
がとても心地良く、心の底から寛がせていただきました。
「やはり、お宿というのは、
そこに働く人たちの雰囲気を否が応でも反映するものなのだなぁ…。」
と、改めて実感しつつ、
さぎの湯荘さんと、
さぎの湯荘さんを作り上げているスタッフの皆さんと出会えたご縁に
感謝した次第です。
気に入ったお宿が見つかると、
帰りたくなくなってしまうのが私の悪い癖。
本当に、「もうここに住みたい!!」と、
かなり帰り難かったですが、
「いつかまたお邪魔しよう!」
と強く心に誓い、やっとの思いでお宿を後にしました。
さぎの湯荘の皆さん、必ずまたうかがいます!
再びお目にかかれるその日まで、お互い、頑張りましょう♪