今、佐伯泰英氏の「酔いどれ小籐次 シリーズ」を読んでいるのだが、合間に押入から本を引っ張り出して、古い愛読書を読み返してみた。
藤沢周平 著 「彫師伊之助捕物覚え ささやく河」 新潮文庫
藤沢さんの小説は、基本的に暗い!
バッタバッタと人を切り倒して解決していくハードボイルド小説ではなく、心の奥底にある闇を描いている?
25年前にあった、押し込み強盗。犯人達は逃げるときに、橋にいた子供を邪魔とばかりに河に投げ込んで行った。子を亡くした母親は悲観のあまり、河に身を投げ自殺。 残った父親は・・・
その男は、再婚し子供をもうけ、商人として成功するのだが、自分が病に侵され余命あとわずかと言われた時に生まれた心の闇。『妻や子供は、自分が死んでも悲しんでくれない。おれの一生は・・・。要するに何だったのか。』 あの時の犯人を見つけ、死出の旅の道連れにしてやろう・・・。
主人公・伊之助が、事件を探る探偵物なのだが、伊之助の心の動きや、舞台となる江戸の街に風景やらの表現が素晴らしい。
私のお気に入り度:★★★★★
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