Runrun日記

最近読んだ本ー海賊とよばれた男

 少し冷たい雨。気温が上がりません。

散歩道。
公園の入り口に、花が咲いていました。
マメ科の花? ひょっとしたら萩?



百田尚樹 著作 『海賊とよばれた男(上/下)』 講談社文庫

出光興産の創業者、出光佐三の話らしい! 小説だから、名前も変えてあるし、物語も事実ではないかも知れない。

主人公・国岡鐵造は、明治40年、秋田の油田で石油と出会います。神戸高等商業学校(現・神戸大学)を卒業し”中間搾取の無い商いをしたい”と思います。明治から昭和の時代を、果敢に石油と共に生きてきた。統制を嫌い、自由な商いにこだわったようです。

明治44年(1911年)の九州門司で「国岡商店」を開きます。この時25歳。門司や下関で、漁船への軽油の販売に成功し、満州では満州鉄道の潤滑油の販売で外油の販売会社に打ち勝ち販路を伸ばします。しかし、統制を嫌うということは、石油の元売り会社からの統制、国の販売統制を嫌うと、いうことで、結局国内での販売が難しくなり、台湾、朝鮮、満州での販売がメインとなっていったようです。
そして戦時中には、南方にも社員を送ります。

この時代は、私にとってはわかっているようで、全く分かっていない時代なんだ。欧米列強の国々が、覇権を争い、アジアの国々を植民地化しようとした時代。日本は、素早く富国強兵の道をとり、列強の仲間入りをしようとした。この小説でいうように、石油はそのためのキーポイントだったのだろう。

国岡鐵造は、戦前も戦後も、外国の石油会社と戦います。
欧米は東アジア各国の植民地化は断念しても、経済制覇しようとしていたのでしょう。戦争に負けた日本なんぞ、石油を抑えてしまえば何とでもなると考えたのでしょうか。敗戦ですべてを失った国岡商店は、「店員は家族と同然」「店員こそ、最高の資材」といって一人の首切りもせず凌ぎます。
日本の石油会社各社が、外資の石油会社に飲み込まれていくなか、国岡鐵造は民族企業として頑張ります。

『出光の七不思議』というものが有ったそうです。「定年無し、首切りなし、出勤簿無し、労働組合無し、給与公示がない、社員が残業手当を受け取らない、給与は労働の対価ではない」 そんなのは、ブラック企業だろう!
「給与は、生活の保障であって労働の切り売りではない」 社員が結婚すれば会社が住居を探し、妻や子供の養育費を払う。それが「店員は家族と同然」という事なのだろうか。

この小説は、面白い! 主人公・国岡鐵造の考えが、型破りで可笑しい!

私は特に、日章丸事件が興味深かった。
石油資源に対する利権をイギリスから取り戻そうとしたイランのモサデク政権は、石油会社を国営化して独自で石油を販売しようとした。イギリスは怒り経済制裁を科す。何としても石油を輸入したい国岡鐵造と、モサデク政権の想いが一致し、日章丸がイギリスの裏をかいて石油を運んだ事件だ。
石油の輸入は成功するが、その後アメリカのCIA主導でクーデターが起こされ、モサデクは倒されてしまう。イランの石油資源はイギリス・アメリカの石油会社の欲しいままにされてしまう。
アメリカとイランは、未だに争いを続けている。アメリカはアメリカ第一主義を唱えて、弱い国々を虐めているのではないか!

この小説は、映画化されたらしい。私は、そんな事も知らなかった。
国岡鐵造の最初の妻、ユキ役を綾瀬はるかさんが演じたらしい。子供が出来ないという事で身を引いた人だ。そんなことが当たり前の時代だったのだろうか。最近、この人の演技が気になる・・・

この小説のお気に入り度:★★★★☆

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