テニスコーチにできること。これを読んでいる皆様には、必ず最後まで読んでいただければ幸いです。
彼女は、すごく一生懸命ボールを追いかける子で、転んでもボールを打とうとする7歳の女の子です。ある日、彼女が真新しいウェアを着てきたのを、僕がそのウェア、カッコ良いね~と言ったら、恥ずかしそうにしていました。その日、レッスンは勝ったらチャンピオンになれるルールで、参加している全員がチャンピオンになりやすいよう、チャンピオンを維持しにくい様に工夫していたにもかかわらず、彼女はチャンピオンの座を維持しようと必死でした。気持ちが入っているので案の定、転んでボールを追いかけました。その後、膝を手で隠して涙を浮かべているので、痛かったら休んで良いよと言うと、首を振りまたコートに立つんです。膝も破れていました。涙をこらえて必死にボールを追いかけています。根性のある子だなぁと他のボランティアのコーチも認める子でした。
後日、お父様から聞いたのですが、彼女はTTCでテニスをしたのが、テニスの初めてでした。それもたったの10回目です。運動神経の良さか、みるみる上達していきます。人生で、初めて自分でやりたいと言った事が、テニスだったそうです。
その10回目のレッスンの後、お父様とショップでテニスシューズを選んでいました。僕も立ち会って、色々紹介していると、今まで見せた事のない笑顔で見つめるピンクのシューズから目が離れない彼女。かなり気に入っているのは一目瞭然なのですが、買って欲しいとも駄々をこねないんです。7歳の女の子だったら、買ってくれるまで駄々をこねそうなのに。今日は、レッスン券を買うためのお金しかないので後日買いに来ますと約束し、次の10回分のレッスン券を購入して帰宅されました。
翌々週、電話がお父様からありました。シューズの予約の事かなと思い、受話器を取ると思いがけないお父様からの言葉が、「先日、自宅にて天国に旅立ちました。」信じられない、耳を疑う言葉に言葉が出ません。「黒野コーチが大好きで通っていた娘が…」「黒野コーチの顔が浮かんだので、伝えたくてお電話しました…」気が動転して何を話したか覚えていませんが、その日の業務の後にご自宅に行く事をお約束して電話を切りました。
ご自宅にお線香をあげに行きました。冷たくなった彼女の顔は眠っているかの様な優しい顔でした。彼女の部屋にあのウェアがかけてありました。膝が破れるまで追いかける子だった話をすると、お父様から「あのとき泣いたのは、買ってくれたばかりなのに穴をあけた事で怒られると思った」と言っていたそうです。お父様は、怒るわけはないよ、頑張ったんだからと、次のレッスンの為に家族でズボンを買い換えに行ったそうです。かけてあるズボンは、穴が空いていませんでした。
「コーチ、その時なんですが…」「TTCで見た同じ気に入ったシューズがそこにあったんです。でも、娘はそこで買わずにTTCで買うといった」そうです。さらに、先日購入した10回分のレッスン券は自分のお小遣いで買ったと聞いて僕は、声を出して泣いてしまいました。涙が止まりませんでした。思わず、彼女を抱きしめていました。
その後ご両親と彼女の話をたくさん、たくさんしました。
私がテニスコーチとして出来る事は、彼女が天国でテニスができる様にキラキラと目を輝かせて見つめていたピンクのシューズをプレゼントする事しかないと考えました。お父様は柩に入れていただけるとおっしゃってくれました。元気に天国でテニスをするんだよ。
彼女のご冥福を祈って…
公益財団法人 吉田記念テニス研修センター 普及部門責任者 黒野龍太
後記、この記事を書こうと思ったのは、彼女の事を忘れたくないためです。ご理解いただいたご両親様、有難うございます。最後まで読んでいただいた皆様、有難うございます。
大好きなテニスを楽しめる事を幸せだと。。(>_<。)
自分の出来る事は限られてますが、身体の動く限り生涯スポーツとして車いすテニスをやって行きます!
そして、テニスというスポーツを楽しむ人が、少しでも増える為の手伝いが出来れば幸せです!
一緒に盛り上げていきましょう
まずは、当事者のみんなが幸せになる様に
次は、まだこの楽しさを知らない皆様に
世界に広がって欲しいです
障害の追加から、平成28年10月末にITFのQuad認定を正式に認定されたおかげで、2017年は企業に所属して練習して大会参戦していきます。
この環境を当たり前とは考えないで、家族や周りの人達そして、支援をしてくれる会社への感謝を忘れないで、今の自分が出来ることを少しでも増やして頑張ります。
そのあかつきには、もっと健常者と車いすテニスの交流を出来る環境を作るための活動もしていくつもりです!4976
涙が溢れてきます。
彼女は、テニスを始めた瞬間から
プロテニスプレーヤーだと思います。
天国でもきっと
チャンピョンの座を
守っていることでしょう。
彼女の一生懸命をこんな形で知るなんて僕は落ち込みました。ただし、彼女は教えてくれたのです。命をかけて!今の僕の仕事のみならず家族との生活に力を与えてくれました
会った事がない女の子です。
私もこの子と出会いたかったと
思ってしまいます。
テニスが、できるのを当たり前に
思っているジュニア選手に
知らせたいです。
また、必ず戻って読み返して
原点に立ち返ります。