数年振りの一人暮らし。
妻と結婚する前や就職してからなどで一人暮らしの歴はトータルだと長い。
考えていても仕方ない。
妻に対して我慢していることは何も無いが、他人の目があるだけで少し気を遣ってしまうのが、人間の性と言うものだろう。
「まぁ俺も頑張ったってことで???」なんて何もしていない自分を褒め讃えて
ご飯を食べながら、アルコールも入れ、肝臓を痛めつけていく。
一人暮らしが長かったので家事は概ね全般出来る。
なんなら結婚してからもご飯担当は主に自分なので、米の炊き方もわからぬ脆弱旦那様とは訳が違うのだ!などと心で分からぬマウントを取りつつ箸を進める。
2~3口食べたところで気付かされる。
「あまり美味しくない」
「テレビの音が、映像があまり入って来ない」
私は、テレビを切った。
冷蔵庫が冷やすのに頑張ってブォーと音を立てている。
扇風機の音が響く。
何かが圧倒的に足りないのだ。
そこで改めて気付く。
良く大切な人や恋人などと別れた際に「離れて気付く」とあるが
まさにそれ。
バタバタしていて少し落ち着いて、1人になると、嫌でも現実を突きつけられる。
いつもの日常の景色に貴方がいないだけで、こうも私の視界は色を失っていくものかと。
しかし、私は夫であり、父親になるのだ。
泣きごとなど言うものか!と思っていたが、
その日のうちに妻に「寂しいよー」とラインをしていたのであった笑
憂いたとて、現実は簡単には変わらない。
2人が帰ってきた時の為に、部屋を片付けたり、要らない物を捨てたり売ったりと、模様替えも進めていかなくてはならない。
やる事・出来ることは限られているかもしれないがある。
そう言い聞かせて、いつもより寝返りのしやすくなったベッドで横になるとすぐに、意識が離れていった。