「チ。」 魚豊 小学館
「魔女をまもる。」 槇 えびし 朝日新聞出版
「チ。」は地動説、「魔女をまもる。」は医学のそれぞれの観点から、キリスト教の唱える世界との矛盾を主人公が感じつつも公にできない、公にしたところで当時では到底受け入れられない情勢を描いている。
この2冊に共通しているのは「キリスト教」による科学もしくは新しい知識への恐怖、それに伴う拒否反応による弾劾だ。
天動説も魔女も現在では過去の「知識」となるものだろうし、現在で真剣に語る人はちょっとアレな人となるだろう。
それが当時はが状況が全く逆であることを考えると、「事実」がどうであれ自分が信じている「事実」から抜け出せないのは仕方がないことなのかもしれない。
ましてやそれが「宗教」という生活の基盤に根付いているものなら、尚更だ。
マンガとしてはこの2冊はとても良くできていて、読んでいて大変面白い。
両作とも史実を元に描いているようだが、歴史物としても一読の価値はある。
現在の新型コロナ禍の状況を見ていると、知らない物への恐怖や思い込み、楽観も悲観も含めた希望的観測など、21世紀になって便利になっても人の心理はあまり変わってないのだなとも思える。
変わったのは状況に対応するスピードで、それは技術的発展によるものが大きいが、それは信じたいものを見てしまうという反面も持ち合わせている。情報が多すぎても、判断するのは人だ。
と考えさせる良作だった。
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