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琉球新報社説 2024年12月29日 04:00

2025-01-04 22:34:50 | 報道
<社説>
大浦湾地盤改良着手 工事を止めて再試算示せ
琉球新報社


 事業総額はどれほど膨らむのか、再試算を示すまで工事を進めるのは許されない。

 沖縄防衛局は28日、名護市辺野古の新基地建設に伴う地盤改良工事で、軟弱地盤が広がる大浦湾の海底に「敷砂」をまく作業を行った。これをもって7万1千本もの砂ぐいを打設する地盤改良工事が始まったと発表した。だが、海底に砂を敷くのは改良工事に入る準備であり、本格的な作業は年明けになる。

 海象が悪く、年内のくい打ち込み作業は難しくなっていた。仕事納め後の土曜だというのに、そこまでして敷砂の作業を急ぐ必要性はなかったはずだ。年内に改良工事に「着手」したという実績にこだわったとすれば、姑息(こそく)なやり方だと言わざるを得ない。

 なぜ防衛局は見せかけの工事着手で、普天間飛行場返還の「前進」を強調するのか。際限なく工費や期間が膨らむ埋め立て工事の見込み違いやずさんさを隠し、もう引き返せない事業なのだという既成事実を積み上げようとする焦りがあるのではないか。

 政府が27日に閣議決定した2025年度当初予算案で、新基地建設費用として契約ベースで約1919億円、歳出ベースで約706億円を計上した。政府が新基地建設の費用として試算している9300億円のうち、約81%の7543億円を25年度までに支出してしまう計算だ。

 これまでの埋め立てに用いた土砂量は計画全体の15%にすぎない。これから長い時間をかけて大量の土砂で大浦湾の軟弱地盤を固めていくため、総工費は9300億円を超えることは間違いない。9月の時点で木原稔防衛相(当時)は「今後の検討などによって変更があり得る」と費用の見直しが生じる可能性を認めながらも、新たな試算額は示さなかった。

 辺野古新基地の建設費用は当初3500億円以上というのが政府の説明だった。2019年になり、軟弱地盤の改良に必要な設計変更を加えた総工費として約2・7倍の9300億円に修正した。これをさらに超過するのだ。

 これから始まる軟弱地盤の改良工事は前例のない難工事だ。埋め立ての明確な完了時期は示されていない。政府の計画では普天間飛行場が返還されるとしても2030年代後半より後としており、今後10年以上を要する見込みだ。

 軟弱地盤は最深部で約90メートルまで堆積しているが、国内に現存する地盤改良船では対応できない深さのため、防衛省が予定している改良工事は約70メートルまでだ。安定した地盤に改良できるのか不確定要素があり、さらなる設計変更の可能性も否定できない。

 来年度で総工費の8割超を支出するとすれば、最終的にいくら投じることになるのか早急に見直しが必要だ。政府は既成事実づくりの作業に躍起になるのではなく、工事を止めて総工費の試算を改めて国民に示すべきだ。

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