倭人語のすすめ

倭人の言葉が残されていた。古事記の神々の多くは、秘文とされた文書を基にしていた。一音一義の倭人語を解き明かしたいと思う。

「はっけよい」と「よいしょ」

2021-11-26 11:24:08 | 日々記

 「はっけよい」も「よいしょ」もどちらも相撲関係の言葉のようだ。
 「はっけよい」は八卦良いとか八気揚々が由来と説明されている。

 実は、このわけのわからない掛け声は倭人語からきている。

 はっけよい
 パキヨイ【晴゜岐因緒pa ki you yiu】〔ハッケヨイ〕
 意味は①気張れ始まった。②新たな因縁を発せよ。③始めよ。
  晴゜(生気を)岐(張って)因(新たな因縁を)緒(発せよ、始めよ)
「気張って始めよ、がんばれ」という掛け声になった。
 ヨイ【因緒you yiu】は、「新たな因縁」⇒「始まる」意から、後世「良い、善い」という意味になった。

 よいしょ
 ヨイチオ【因緒育大you yiu tiu o】〔ヨイショ〕
 意味は①始まった力を合わせて大いに。②新たな力を多いにもって
 因緒(新たな因縁の)育(力を)大(大いに)

 もう少し、一音一音について日倭辞典で調べてみよう。
パ【晴゜pa】①大自然の持つ意志とその力、またそれが張り出して行く意味も合わせ持つ②大自然の持つ意志、その潜在エネルギー③運気・大運気④自然の潜在力⑤自然の力⑥自然の生気⑦生命力⑧大宇宙根元の生命力⑨生気。根元的な生気⑩陰のエネルギーの最大の状態⑪宇宙に遍満する根元的生命エネルギーと呼ばれてきたもの⑫天地の意志のエネルギー・・・等々

キ【岐ki】①際立つ②明確にして毅然としている③現象④際立つ実態⑤際立って目立つ所⑥そこに起こるさまざまな現象。その力の状態。・・・等々

ヨ【因you】①原因②それ故に③定められた通り④それから⑤区切り⑥世⑦因縁⑧新たな因縁・・・・等々

イ【緒yiu】①始まり②その糸口は③始めよ④スタートにつく⑤発せよ

チ【育tiu】①目に見えない力が流れて物事が増大して行く状況を示す動詞、名詞②力の流れ③エネルギーの流れ④流れる力⑤動くエネルギー⑥現実の力⑦エネルギー⑧血液や乳のチ

オ【大o】①大きいという感嘆詞②大きい③大いなる

 自分なりに訳を作ってみよう。
パキ【晴゜岐pa ki】気力を際立たせる⇒「集中する」の意味になるだろうか。
ヨイ【因緒you yiu】因縁の始まり
チオ【育大tiu o】力の流れを大きくする。

パキ・ヨイ=集中して、さあ始めよ。
ヨイ・チオ=さあ始めよ。力を合わせてもっと大きくするのだ。

 ヨイ【因緒】が「始めること」なら、かけっこのヨーイ・ドンのヨーイも倭人語だろうか。
 ネットで調べたところ1928年に「位置について、よーい」が、一般公募で採用されたらっしい。「よーい」の由来まではわからない。
 もし、ハッケヨイやヨイショから連想してヨーイを思いついたとしたら、ヨーイも倭人語だ。それを選ぶ人たちも直感で祖先の倭人語を感じ取って採用したのかもしれない、と想像してしまった。

 ワッショイはどうだろう。
 ユマ仮名を当てはめてみると
 ワチヨイ【渡育因緒wa tiu you yiu】となるだろうか。

ワ【渡wa】①行き渡る、またその状況②広がりが

 ワ【渡】は広がりを持った言葉だから、人が集まっている状態を指してもよさそうなので、「みんなで」と訳したらどうなるか。

 ワ(みんなで)チ(力の合わせ)ヨイ(始めよう)

 ヨーイ・ドンもワッショイも倭人語に由来すると言うのは、私の思い付きだ。
 ただ、何故こう言うのだろうと疑問に思う日本語がたびたびある。その時、ユマ仮名を当てはめたてみて意味が通る時、「やったー」と思う。想像力が刺激されて楽しい。
 「やったー」もヤタ【因゛垂yau ta】 因゛(いよいよ)垂(力が溢れ出る)だろうか。また思いついてしまった。

参考図書
 「弥生の言葉と思想が伝承された家」池田秀穂/朝日カルチャーセンター
 「日本曙史話ー弥生の言葉とその思想」池田秀穂・口述/上原光子・編集/㈱沖積社
 「古事記・祓い言葉の謎を解く」萩原継男/㈱叢文社



ひふみの意味

2021-11-24 09:35:51 | 日々記
 弓前文書行番号3201から3205にかけてひふみ数詞の文章がある。その意味を明らかにしよう。

・・ユ【結yo】例によって
一・ピ【霊゜piu】力は
ニ・プ【震゜pu】発動し
三・ミ【実miu】実体となり
四・ヨ【因you】定めの通り
五・ツ【積tu】積み上がり
六・ム【醸mu】どんどん変わりつつ
七・ナ【成na】一つの型が出来た
八・ヤ【因゛yau】それは更に
九・コ【凝kou】形も
十・ト【充tou】はっきりして
・・タ【垂ta】霊力は溢れ出る
・・エ【重yai】それは次々と
百・モマ【萌増mou mau】形を変えながらも、どんどんと(百:もも)
千・チ【育tiu】力は流される
万・ヨヂュミ【因集゛実you jiu miu】その結果定めの通り、跡形もなく(万;よろず)
・・ペ【放゜pai】力は失せた

 これらを「弥生の言葉と思想が伝承された家」「日本曙史話」「祓い言葉の謎を解く」からの訳文解説を抜粋すると次のようになる。
①天から与えられた生命、すなわちエネルギーは、まずその生態をつくり、余分はその維持に費やされる。しかし、ついには無秩序な物質の塊となって生命エネルギーはなくなってしまう。
②エネルギーは物質に替わり、物質の秩序を維持して行くエネルギーの消耗と同時に、無秩序が破壊される。
③事、物、は天から生命力を与えられ、まず定められた形を作るために費やされる。続いてそれを維持して行くために費やされる。然し生命力の減少とともに形は崩れ、単なる物質のかたまりとして、その生命力は失われる。
④現代の知識からいうと、エネルギー恒存、エントロピー拡大、この自然科学の二大法則を説いた言葉が、日本数詞として整えられていった。
⑤大自然変化の道、いかに自然の意志と力に順応して行くか。大自然の意志の順番が日本の数詞。だから数を勘定するのに用いられ、また呪文となった。さらにそれを庶民のために分かり易くしたのがヒトフタミーヨー、庶民向けの流行り歌であった。

 自分なりの言葉で述べてみよう。「人は生まれ、育ち、成熟し、衰え、死ぬ。そして生まれ変わることを繰り返す。」「種が芽吹き、育ち、花を咲かせ、実をつけ、枯れ、種を残す。翌春また種から育ち花を咲かす。」「春夏秋冬。また春が来る」「生きている間はいろいろがんばれ。結局は死ぬけど、生まれ変わって、また頑張んなさい。」「どんなに健康に気を使っても、最後は必ず衰え、死ぬ。だから、死ぬことは当たり前の定めである。だから、死んでしまったら、早く生まれ変わって未来で生きなさい」。
 弓前文書は「自然に順応して生きろという哲学」らしい。宗教的解釈はさておき、自分なりの理解では、「生きている間は何度でもやり直せばいい。エネルギーが無くなってしまうのは当たり前のこと。無くなったら休憩して、エネルギーをためて、再度頑張れ」ということだ、と思っている。

 弓前文書は、言葉を変え、エピソードを変えて、「輪廻」を繰り返し説いている。そのことを端的に表す言葉がタカマパル【垂威真晴゜活ta ka ma pa ru】(3301.3401.4201.4401.4413参照)
 タカマパルの意味は「威大な力が輪廻する。」直訳すると「溢れる力が回る。」

 古事記では、タカは「高」、マは「天」、パルは「原」の字が当て字された。その結果「高天原(たかまのはら)」は天上界のこととなってしまった。

 

ヒミコ

2021-11-09 10:05:56 | 日々記
 魏志倭人伝に女王、卑彌呼の名がある。
 これを中国の中古音では、piĕ-miĕ-ho(ピェミェフヲ)と発音する。(蒲生新田の庭先考察より)
 ヒミコよりもピミホに近い。「卑」は紀元前から中国北部にあった「鮮卑(せんぴ)」と同じく、「ぴ」と発音すべきなのかも知れない。

 古代、倭人は神の意志を伝える巫女さんのことをピミホと言った。倭の女王は固有名調ではなく、巫女さんという一般名詞であった。
 ピミホをユマ仮名(簡易型弓前漢字仮名)で書くと、霊゜実子。ローマ字で書くとpiu miu xou。読み方はピゥミゥホゥ。
 「子xou」の発音は今の日本語では無くなっている。のどから声をだす喉音であり、コともホとも聞き取れる音だった。今でも母のことをハハともカカァ(かーさん)とも言う。倭人語のⅹ行は、日本語のカ行とハ行に別れたり、両方の発音があったりしている。
 
 霊゜piuは「自然に存在する意志」
 実miuは「実体」
 子xouは「母体から生まれた二世」
 ピミホは「霊を物質化する子ども」「自然の意志を実体化する子」という意味になる。

 魏志倭人伝によれば、卑彌呼は鬼道に仕えて人心を惑わしている。壮年だが夫はいない。弟が補佐して政治をおこなっている。王となってからは姿を見たものがいない。ただ一人の男子だけが飲食を給仕し、指示をうけるために出入りをしている。
 つまり、人に会わず、神の声を聴き伝えている、シャーマンだと言ってよいだろう。
 倭人の百余国の部族国家は相争い、三十国になってしまった。そうして女王をたててやっと争いは終わったという。
 では女王の役目は何だったのか。神聖な天の意向を伝える、最も公平な最高裁判官であった。卑彌呼の死後男王をたてたが服さず、同じような13歳の巫女さんの壹與をたてて諸国は納得したというのもこの辺の事情から窺える。

 ピミホはのちにピミカミ(霊実母身)とピミコミ(霊実子身)の二つに分かれ、前者は高級な神の媒介者、後者は一般の神の媒介者に名付けられるようになった。前者が後の姫神であり、後者が巫女さんという現代の名前になった。
 ピミカミをユマ仮名で書くと、霊゜実母実(piu miu xau miu、ピゥミゥカゥミゥ)、ピミコミは霊゜実子実(piu miu xau miu、ピゥミゥホゥミゥ)となると思う。

 参照「弥生の言葉と思想が伝承された家」弓前六十七代池田秀穂口述/朝日カルチャーセンター