「はっけよい」も「よいしょ」もどちらも相撲関係の言葉のようだ。
「はっけよい」は八卦良いとか八気揚々が由来と説明されている。
実は、このわけのわからない掛け声は倭人語からきている。
はっけよい
パキヨイ【晴゜岐因緒pa ki you yiu】〔ハッケヨイ〕
意味は①気張れ始まった。②新たな因縁を発せよ。③始めよ。
晴゜(生気を)岐(張って)因(新たな因縁を)緒(発せよ、始めよ)
「気張って始めよ、がんばれ」という掛け声になった。
ヨイ【因緒you yiu】は、「新たな因縁」⇒「始まる」意から、後世「良い、善い」という意味になった。
よいしょ
ヨイチオ【因緒育大you yiu tiu o】〔ヨイショ〕
意味は①始まった力を合わせて大いに。②新たな力を多いにもって
因緒(新たな因縁の)育(力を)大(大いに)
もう少し、一音一音について日倭辞典で調べてみよう。
パ【晴゜pa】①大自然の持つ意志とその力、またそれが張り出して行く意味も合わせ持つ②大自然の持つ意志、その潜在エネルギー③運気・大運気④自然の潜在力⑤自然の力⑥自然の生気⑦生命力⑧大宇宙根元の生命力⑨生気。根元的な生気⑩陰のエネルギーの最大の状態⑪宇宙に遍満する根元的生命エネルギーと呼ばれてきたもの⑫天地の意志のエネルギー・・・等々
キ【岐ki】①際立つ②明確にして毅然としている③現象④際立つ実態⑤際立って目立つ所⑥そこに起こるさまざまな現象。その力の状態。・・・等々
ヨ【因you】①原因②それ故に③定められた通り④それから⑤区切り⑥世⑦因縁⑧新たな因縁・・・・等々
イ【緒yiu】①始まり②その糸口は③始めよ④スタートにつく⑤発せよ
チ【育tiu】①目に見えない力が流れて物事が増大して行く状況を示す動詞、名詞②力の流れ③エネルギーの流れ④流れる力⑤動くエネルギー⑥現実の力⑦エネルギー⑧血液や乳のチ
オ【大o】①大きいという感嘆詞②大きい③大いなる
自分なりに訳を作ってみよう。
パキ【晴゜岐pa ki】気力を際立たせる⇒「集中する」の意味になるだろうか。
ヨイ【因緒you yiu】因縁の始まり
チオ【育大tiu o】力の流れを大きくする。
パキ・ヨイ=集中して、さあ始めよ。
ヨイ・チオ=さあ始めよ。力を合わせてもっと大きくするのだ。
ヨイ【因緒】が「始めること」なら、かけっこのヨーイ・ドンのヨーイも倭人語だろうか。
ネットで調べたところ1928年に「位置について、よーい」が、一般公募で採用されたらっしい。「よーい」の由来まではわからない。
もし、ハッケヨイやヨイショから連想してヨーイを思いついたとしたら、ヨーイも倭人語だ。それを選ぶ人たちも直感で祖先の倭人語を感じ取って採用したのかもしれない、と想像してしまった。
ワッショイはどうだろう。
ユマ仮名を当てはめてみると
ワチヨイ【渡育因緒wa tiu you yiu】となるだろうか。
ワ【渡wa】①行き渡る、またその状況②広がりが
ワ【渡】は広がりを持った言葉だから、人が集まっている状態を指してもよさそうなので、「みんなで」と訳したらどうなるか。
ワ(みんなで)チ(力の合わせ)ヨイ(始めよう)
ヨーイ・ドンもワッショイも倭人語に由来すると言うのは、私の思い付きだ。
ただ、何故こう言うのだろうと疑問に思う日本語がたびたびある。その時、ユマ仮名を当てはめたてみて意味が通る時、「やったー」と思う。想像力が刺激されて楽しい。
「やったー」もヤタ【因゛垂yau ta】 因゛(いよいよ)垂(力が溢れ出る)だろうか。また思いついてしまった。
参考図書
「弥生の言葉と思想が伝承された家」池田秀穂/朝日カルチャーセンター
「日本曙史話ー弥生の言葉とその思想」池田秀穂・口述/上原光子・編集/㈱沖積社
「古事記・祓い言葉の謎を解く」萩原継男/㈱叢文社