終戦記念日が近づくと、いつも思い出すお話があります。
上野動物園で、大平洋戦争中、実際にあったお話です。
かわいそうなぞう (おはなしノンフィクション絵本) | |
土家 由岐雄 | |
金の星社 |
上野動物園には、三匹の象がいて、
それぞれ芸達者だったので、みんなを楽しませる人気者でした。
しかし、戦争が始まり、食べ物がどんどん少なくなり、
人間が食べるものにも事欠くようになりました。
当然、動物たちに与える餌にもとても不自由するようになり、
動物たちもひもじい思いをしていました。
だんだんと戦局が厳しくなり、東京の街にもB29が飛んでくるようになりました。
動物たちが、空襲で檻から出て人々を襲ってはいけない、ということで、
国から、
動物たちを殺してしまうように、
という命令が、動物園に来ました。
最初、飼育員の人達は、食べ物を与えないようにして、餓死させよう、としました。
しかし、日に日に弱っていく動物たちを見ていると、辛くてたまりません。
つい餌をやりたくなる思いを、必死で抑えるしかありませんでした。
ひもじい日が続いたある日、
象たちは、飼育員さんの前で、残った力を振り絞って、芸をしました。
食べ物を貰えないなら、芸をすれば貰える、と、
賢い象たちは思ったのでしょう。
飼育員の人達は、象が不憫で、
泣きながら象の芸を見守るしかできませんでした。
結局、象たちは、それぞれ、お腹を減らして死にました。
象だけでなく、ライオンや虎も殺されました。
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今の日本は、平和な世の中で、みんな幸せそうに動物園に遊びに来ているけど、
昔、各地の動物園では、こんな悲しい出来事があったのです。
わたしは、子供のころ、この絵本を読んで、大変ショックを受けました。
東北の震災の影響で、
東北の水族館からカワウソが上野動物園に疎開してきていたけど、
戦争中は、疎開のしようがなかったのです。
元気な動物たちの姿を見ることができる幸せを感じながら、
震災や戦争で亡くなった人々、動物たちの冥福を祈ります。
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