サンズ・トーク

海なりの宿 花あさぎ

外房、豊浜漁港の目の前にある料理旅館に泊まりました。
名を海なりの宿「花あさぎ」というところです。


漁港の前に横長に建つ海なりの宿。

海なり、とは、海鳴りと聞こえます。太平洋の怒涛が浜辺に打ち寄せる海鳴り。
私は、それではないと思うのです。
この宿は、国道から豊浜漁港入り口の表示のところから道なりに入ってくると、漁港に着き、道なりに旅館が建っているのです。
ここのご主人は漁船のあるじ、道なりでなく、海なりに港をでて漁場にゆき、白い灯台を目指して海なりに操船して戻ってきたのでしょう。
海の道を辿って港を出入りしていたというので、海なりの宿としたに違いないのです。



玄関前には、貝で造ったエンブレムがあります。



玄関脇には、つわぶき、そして縁台に灰皿、くつろぎの演出がみえます。

玄関をはいって横には、サロン(休憩所)があって、いろんな情報などが揃っています。

東日本大震災のときの豊浜漁港の津波の様子が写真集になっています。
はじめは引き波。港の水位が減って浅場の海底が露出しています。
津波の最高水位の写真では、魚釣りしていた岸壁よりも7~80センチも水位が高くなっている。
普段、漁船に軽油を給油している小屋が半分水没している。
また、大地震の1週間前に、いわしが大量に砂浜に打ち上げられた。
昨年だったか、淡路島に震度6の地震が来たときは、4日前に、いわしが同じように砂浜に打ち上げられたという、そんな写真もあるのです。
いわしの魚群と大地震は、何か因果関係がありそうなのです。

海なりの宿ならではの、宿から見られた津波のかぶりつきの写真だったのです。
宿には、津波襲来時の避難経路が明示されており、道から高台へ急ぐ避難階段が造られていました。
緊急時の履物も整えられていたのです。
海という大自然に従順な海の民のこころが、海なりの宿と名づけさせたに違いないのでした。
実にまさしく、海なりの宿だったのでした。

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