サンズ・トーク

京都市井のお店

京都では、消費文化が伝統的に研ぎ澄まされ、深堀りされたいろいろの専門店がそれぞれはやっている。
それというのも、四季を通じて全国から訪れる観光客が、土産物として買って帰るので、居ながらにして充分商売が成り立つのだろう。



個人商店のようだが、がまぐちだけを商いしていて、それ以外の商品は置いていない。
各地から京都見物に訪れた人ががまぐちを買って帰り、土産物として人にあげたり、またの機会に思い出して買いにきたり、口こみで知人が寄ってみたりと、間口は狭くとも奥行きの深い京の老舗になってゆくのだろう。

さすがは千年の古都、こういうお店は、がまぐちに限ったことではなく、和菓子、お漬物、その他あらゆる業種にも同じことが言えるのだろう。

極端な例では、おなごはんの顔のあぶらとりの紙を商う店。
ほんとうにそれしか置いてない。
ごくちいさな包み袋に入れられて売られている。

千年の古都で、こんな紙のご商売がなりたっているのだから、ばくちで何百億もすったかの大王製紙のバカ社長など、まっ青なのである。

普通の新興住宅街や、衛星都市では、専門店は立ち行かない。
個性を押し殺したようなスーパーやコンビニなどの画一的な量産、量販店が腕力で専門店を駆逐してしまっているのだ。
それだからこそ、京都へ全国から観光客が来る。
古都の専門店に郷愁を見て、懐かしんで、がまぐちを買って、あぶらとり紙を買って、そしてまた、リピートしたくなる。

それが、ああ、私たちの京都なのだ。

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