ノグチサトキ

名もなきギタリストの物語

エリック和田さん

2012-06-21 | ご紹介・おススメ

ここに出てる人、これから出てくる人、有名無名、年齢性別関係なく、

とにかく、ギターが大好き、ロックが大好き、音楽が大好きな人ばかり。


エリック和田さんもそんな一人。


和田さんは、昔、私の実家のすぐ後ろに住んでて、ほぼ、生まれた時からの幼馴染。

幼き時から兄のように慕ったし、末っ子だった和田さんは、私を弟のように可愛がってくれた。

病み上がりでブラブラしてる時は、仕事で疲れてるにも関わらず、毎晩のように呼んでくれたりして、

こうして、曲がりなり(曲がりっぱなし?)にでも社会に復帰できたのは、

和田さんのおかげかとも思っている。


その和田さんのギター、当時、巷で飛び抜けて上手かった。

片田舎にも関わらず、結構、音楽が活発な街で、音楽に専従する人もチラホラ出たが、

ことブルースロックに関しては、和田さんの右に出る人はいなかった。

長身で長髪、松田優作にもちょっと似てて、バンドの時の和田さんは、

いつもの近所の和田さんじゃなくて、近寄りがたい“エリック和田”、

私もすごく憧れた。


エリック和田さんは、名前の通り、大のクラプトン好き。

世の中、クラプトンフリークはたくさんいるが、この人の場合、好きを越えて、信仰に近い。

クラプトンナンバーは、ライブのミスタッチに至るまで全部弾けるのはもちろんのこと、

クラプトンのレコードジャケットに手を合わせて拝んだり、それを私にまで強制する。

断ろうもんなら、真剣に怒り出すしまつ・・・。

それほど、クラプトンが大好き。


【クラプトンは、“世界三大ギタリスト”】

【人は、彼を“ゴッドハンド”と呼ぶ】

【あまりに早い指の動きが残像でスローに残るから、“スローハンド”】

“パティ”とクラプトンの恋愛話では、時には涙を流しながら語り・・・。

私が、さして好きでもない?クラプトンのことに人一倍詳しいのも

和田さんのおかげかと思っている。


また、ちょうどCDというのが出だした頃で、

クラプトンを聞くが為に、CDデッキをかってきた和田さんは、

近所の迷惑をかえりみず、わざわざ、窓を開け、大音量で“レイラ”を流す。

デジタルは、さすが音の輪郭がよくわかるなどと、悦にひたりながら、

CDと一緒に大声で“レイ〜”をのばして“ラ~”と叫ぶ。


くる日もくる日もクラプトン、もう、うんざり。

が、そんなことをちょっとでも口走ったら、私は殺されていたかもしれない。

それほど、彼は、クラプトンが大好き。


ある日、和田さんが“かの”フェンダーストラトキャスターを買ってきた。

70年代後半、当時のフェンダーと言えば、・・・。

(この辺のところは、皆も聞き飽きてるだろうから割愛)

あこがれの“ブラッキー”を購入。長期ローンで。

これでもう完璧クラプトン。和田さん、もうそれはそれはご満悦。


けれど、当時のストラトキャスターは、いわゆる“ラージヘッド”、“スパロゴ”とは違う。

ラージヘッドで、ブラックのメイプル指板、

これは、まさに“ジミ・ヘンドリックス”

と、内心思ったが、そんなことを口走ったら、少なくとも、二階からは突き落とされただろう。

それほど、彼は、クラプトンが大好き。


年代なんかともかく、誰もが憧れた“フェンダーのストラト”、

生まれて初めて実物を見た私も本当にうれしかった。

和田さんが、“フェンダーのストラト”を買ったことはすぐに街の噂になったし、

“街の憧れギタリスト”の仲良しであることもうれしかった。

その夜から、和田さんは“ブラッキー?”と共に、一緒に布団で寝ることに。

湿気は大丈夫なんやろかと思ったが、

しかし、それぐらいギターを愛さないとギターはうまくならないのかもしれない。


エリック和田クラプトン

その日から、寝ても覚めても“ブラッキー?”、

ヘッドにたばこの焦げ後は付けてみたけれど、弾いても弾いても、一向に指板は汚れない。

それもそのはず、当時のストラトは、既に塗装がラッカーじゃなかったから、

いくら弾いても、こすれて汚れるわけがない。

そこで和田さん、何を思ったか、サンドペーパーをもってきて、

指板をシコシコとコスりだした。

高価なもんやから、ローンもあるのにと制止する私の言葉など耳に入らない。

クラプトンになりたいが一心、

ちょっとコスっては、吸ってるタバコのスミを塗りつけ、コスっては塗り、

コスっては塗り、シコシコシコシコ、

大きな背中の後ろから見てたら、ナニをしてるのかと錯覚しそう。


その内、和田さん疲れてきて、しまいには、その作業を私がすることに。

シコシコシコシコ・・・。

ようやく出来上がり、さぞ満足なことだろうと思い、ふと顔見たら、

ちょっと?いっぱい?かなり?後悔してる様子・・・。

言っとくが、くれぐれも私のせいじゃない・・・。


二人で作った“ブラッキー”

今では流行りの“レリック”加工、時代を先取りしてたね。


昨日のことのように思い出す・・・。


和田さんがギターを弾かなくなって、


何年になるんだろう・・・。



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2 コメント

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Unknown (宮G)
2012-06-21 16:08:24
古さを出す工夫は、誰しも一回やった事があるかもしれないですね。
私は、ボディーを傷つけた事があったなぁ~。
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Unknown (アッシュ&トレイズのベーシスト)
2012-06-22 16:34:26
わかる・・・わかるぞ

私も当時はギタリストやったから、ブラッキーには色々な思いがある。あの頃サザンオールスターズの大森さんも、黒でメイプルのラージヘッドのストラトを入手され頻繁にTVに出ておられたのを見て「かっちょエエ~」と悶絶してたわ。
柳ジョージさんはグレコ製やったし・・・

ただあの時代のストラトって たいがい酷いモノが多かったらしいが・・・
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