不登校ひきこもり支援のNPO法人 FIRST STEP 経験のある親たちが悩める若者のために立ち上げました

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睡眠薬と不登校・ひきこもり

2020-09-03 | スタッフの声 mail:hello@1st-step.tokyo
睡眠薬に関して、気になること、そしてもっと深く勉強しなければならないと思うことを投稿します。


不登校・ひきこもりのお子さんは、どうしても規則正しい生活がおくれず、昼夜逆転になりがちですよね。

さらに、運動不足、深夜のゲームなどによる興奮、重い夜食、等によって交感神経の興奮が収まらない状況で眠りに就こうとするため、「うまく眠れない」ということになるかと思います。

その際に注意していただきたいことは安易に睡眠薬に頼らないで欲しいということです。
(もちろん、睡眠薬を否定する意志はありません。とても大切な薬です。)


特に依存性の高いベンゾジアゼピン系(以下、BZ系と略します。)の睡眠薬(精神安定薬でもある)はピンポイントの頓服薬としての使用であるなら良いのですが、数週間にわたる使用は注意したほうが良いです。

私は軽く「脳に直接作用する向精神薬などと違い、眠気を誘う睡眠薬なら問題ないのでは?」という程度の浅はかな知識しかありませんでした。

愚かなことですが、「睡眠薬も向精神薬なのである」ということを知りませんでした。
風邪薬程度の軽い薬にしか考えていませんでした。

---------脳科学辞典より

向精神薬

 向精神薬は、中枢神経系に作用し、精神機能を変容させる薬物の総称である。広義には、アルコールなどの嗜好品、覚せい剤などの精神異常発現薬なども含まれるが、一般的には、精神疾患の治療に用いられる薬物を指す。
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ですが、これが大変な勘違いでした。

長期服用をすると
BZ系睡眠薬を一生飲み続けなければならなくなる可能性があります。
さらには、薬が効かなくなり、増量しなければ効かなくなります。
そして、他の睡眠薬も足さなければならなくなり、多剤服用の泥沼に入る可能性があります。

一番問題なのは、「減薬または中断すると大変な離脱症状がある」ということを子を持つ親は知っておくべきではないかと思います。

---------以下、ウィキペディアより抜粋しました。

ベンゾジアゼピン離脱症候群

ベンゾジアゼピン離脱症候群(ベンゾジアゼピンりだつしょうこうぐん、Benzodiazepine withdrawal syndrome)は、ベンゾジアゼピン系薬の服用により身体的依存が形成されてから、用量を減量するか、断薬することによって生じる一連の離脱症状。その症状は頻繁に深刻な睡眠障害、易刺激性、不安と緊張の増加、パニック発作、手の震え、発汗、集中困難、混乱と認識困難、記憶の問題、吐き気やむかつき、体重減少、動悸、頭痛、筋肉の痛みと凝り、多くの知覚変化、幻覚、てんかん発作、精神病、インフルエンザ様症状、また自殺といった特徴がある。さらに、これらの症状は単純に直線的に着々と減少するのではなく、重症度が日々あるいは週ごとに変化し、一進一退することで有名である。
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これらを患者に口頭で十分説明せずに、安易に処方されることがありますから、これからまだまだ長い人生があるお子さんの為にも親は注意する必要があると思うのです。


BZ系睡眠薬の依存性やリスクについて熟知しているにもかかわらず、その使用に躊躇しないタイプの医師は日本ではかなり多いと思います。

なかには「依存性はない」と言い切るタイプの医師もいます。

ですが、最近は病院等でもできるだけBZ系の薬は極力ださないようにするところが増えてきました。

例えば東京逓信病院の精神科のHPには
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ベンゾジアゼピン受容体作動薬常用量依存

病気について

 これは、外因性精神病の中の薬剤性精神障害に含まれますが、最近問題が大きくなっておりますので、特に取り上げておきます。
 ベンゾジアゼピン受容体作動薬というのは、抗不安薬や睡眠薬として、よく使われてきた薬です。これらの薬は、服用すると不眠や不安、抑うつに、即効的によく効いた気になることから、精神科のみならず、いろいろな診療科で安易に処方されてしまうことが多い薬です。ただし、このベンゾジアゼピン受容体作動薬には、次第にその薬無しではいられなくなってしまう依存性、薬が同じ量では効かなくなってしまう耐性といった、厄介な性質があるのです。さらに、不安や不眠や抑うつに耐える力を、どんどん落としていってしまいます。その結果、薬がどんどん増えていくのにどんどん効かなくなり、効かなくなっていくのに、薬をやめるとさらに不安や不眠やうつが悪くなるからやめることもできないという、まさに地獄の道となってしまうこともあります。
 それでも、以前は処方制限も厳しくなかったため、効かなくなったら薬の量を増やし、それでも効かなくなったら種類を増やし、処方箋が二枚にも三枚にも・・・ということもできたのですが、近年、このベンゾジアゼピン受容体作動薬の弊害が認識されるようになり、ベンゾジアゼピン受容体作動薬である睡眠薬・抗不安薬の多種多量処方のみならず、長期間連続投与も制限されるようになってきました。結果、最近では一応常用量で収まってはいるものの減量すると症状が悪くなってしまうという、常用量依存が問題となってきているのです。
 当科では、ベンゾジアゼピン受容体作動薬常用量依存を新たにつくらぬよう、新患の方に、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の睡眠薬・抗不安薬【デパス(エチゾラム)、マイスリー(ゾルピデム)、アモバン(ゾピクロン)、ルネスタ(エスゾピクロン)、サイレース・ロヒプノール(フルニトラゼパム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、ワイパックス・ユーパン(ロラゼパム)、メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)、ベンザリン・ネルボン(ニトラゼパム)、リスミー(リルマザホン)、ユーロジン(エスタゾラム)、ハルシオン(トリアゾラム)、ドラール(クアゼパム)、セルシン・ホリゾン(ジアゼパム)など ※カッコ内は一般名です】の処方は極力いたしません。ご了承ください。

(中略)

治療について

 完治のためには、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の常用をやめる以外に方法はありません。
 患者さんに「我慢してください」と申し上げるのは、なるべく控えたいものです。しかしながら、このベンゾジアゼピン常用量依存については、他の薬物依存と同様、最終的には我慢していただくしかありません。であるからこそ、最初からこういった依存症をつくらないことが肝要なのです。
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と書かれています。

睡眠薬をよく知り、適正に使用していれば,「不登校、ひきこもり」も、さほど問題にならず解決したと思われるものが、医師からの説明がなく長期服用してしまうことで、薬が新たな「不登校、ひきこもり」の原因になってしまう可能性がある、ということを知っておいた方がよいと私は思います。

私自身も、さらに睡眠薬に限らず、不登校、ひきこもりと精神薬の関係について勉強しようと思います。

以上なのですが、
睡眠薬を決して否定するものではなく、最近では依存性の少ない薬が出てきてますし、状況によっては、一時的使用ならばにBZ系の薬が大変な効果をもたらす場合もあると思っています。