ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 33ページ目 手の平のブドウのあざ   

2013-02-04 19:50:15 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【33ページ】


「シャトー・ノートンという知る人ぞ知る希少な貴腐ワインで、しかも値段がお手頃。

まあ色々説明するより、まず飲みましょう。

美紀さん、一杯目のシャトー・ノートンを二人にとマスターに伝えて!」


 美紀からオーダーを聞いたマスターは、シャトー・ノートンを抜栓しワイングラスに

注いだ。美紀はそれを丸山と美鈴のテーブルへと運んだ。


「さあ、飲んでみて!」


丸山は、美鈴の感想を待った。


「わっ、おいしいわ! 今まで飲んだことのある甘口ワインとは全然違う。」


美鈴は香りを嗅いだ。


「ワインが苦手という意識があったので、今まで香りを嗅いだことがなかったの!

コンポートの桃や干しアンズの香りがするわ!」


丸山もシャトー・ノートンの香りを嗅いだ。


「美鈴さんが嗅ぎ分けることができるなんて!

これは、仲間に絶対内緒だよ。 僕はワインの複雑な香りを嗅ぎ分けることが

出来ないんだ! ワインの解説書のテイスティングコメントを覚えて、皆に知った

かぶりをしているがね。」


丸山は笑いながら言った。


「それにナッツやトロピカルフルーツの香りも!

なんだかワインが楽しくなってきたわ!」

「2杯目のシャトー・ノートンも気にってくれると思うよ!」