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「手の平をどこかに打ちつけたの? 痛むの?」
良子は和音の右手の平が黒ずんでいるのを見ると、心配して訊いた。
和音がいつもと違うのはそのせいかしら?と考えた。
「いや」
和音が一言発した後、しばらく沈黙が続いた。
和音はプライベートワイン会でのテイスティング対決の話をするべきか
迷っていた。
「マスター、良子さんにあのワインを開けてもらえますか?」
和音は、右手の平を良子に見せた。
「あっ、ブドウの房の形をしている! 刺青をしたの?」
和音は、首を振った。
「ワインの味覚がおかしくなったのは、このブドウのあざができてからで、
なぜできたかの説明をすると少し話が長くなる」
マスターは良子の前にワインを置いた。
「良子さん、ワインを飲みながら聞いてください」
良子は、和音を見つめた。
そして心臓の鼓動が少し早くなっているのに気付いた。
最近、良子と和音はこの店で同席して、ワインを楽しく飲んでいる。
ワインについての悩みの相談にも乗ってもらった。
しかし和音のプライベートのことは何も聞いてなかった。
「手の平をどこかに打ちつけたの? 痛むの?」
良子は和音の右手の平が黒ずんでいるのを見ると、心配して訊いた。
和音がいつもと違うのはそのせいかしら?と考えた。
「いや」
和音が一言発した後、しばらく沈黙が続いた。
和音はプライベートワイン会でのテイスティング対決の話をするべきか
迷っていた。
「マスター、良子さんにあのワインを開けてもらえますか?」
和音は、右手の平を良子に見せた。
「あっ、ブドウの房の形をしている! 刺青をしたの?」
和音は、首を振った。
「ワインの味覚がおかしくなったのは、このブドウのあざができてからで、
なぜできたかの説明をすると少し話が長くなる」
マスターは良子の前にワインを置いた。
「良子さん、ワインを飲みながら聞いてください」
良子は、和音を見つめた。
そして心臓の鼓動が少し早くなっているのに気付いた。
最近、良子と和音はこの店で同席して、ワインを楽しく飲んでいる。
ワインについての悩みの相談にも乗ってもらった。
しかし和音のプライベートのことは何も聞いてなかった。