シードン23

クモ、コウモリ、ネズミ……我が家の居候たち。こっちがお邪魔か? うるさい! いま本読んでるんだから静かに!

サイハテ的アンチロマン

2018-01-27 16:40:52 | 映画・アニメ
 夜の渋谷をポケットつっこんで足早に駅に向かっていると、次々追い抜かれた。
 こんなじゃなかった、前は。

 雑事に追われて、ずっと行ってなかったと気付いた、最初の映画は70年代のドイツ作品、これはイマイツ……。
 そして昨日は若い監督の日本映画! またハズレかとも思ったが、入ってみるとなんと満席。(まあ小さい劇場なのだが)
 始まってまたビックリ。荒づくりだが、とてつもなく素敵! 
 (これはもしかすると昨年のベスト1かも!?)
 現代の一風変わった若者が主人公の恋愛モノなのだが、ギガ風の中にシケタ時代と格闘する魂がピクピク鼓動してた。
 『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(監督:石井裕也、主演:石橋静河・池松壮亮、劇中歌:野嵜好美)。
 原作とされる最果タヒの詩を読んだのは3年前——ちょっといいんだけど浸り切れないな——そのタヒ的世界は、石井の調理で常人でも味わえる料理に。
 池松は初見だが、ヘタウマの不思議な味わい。石橋はそのカタさがいい、リアルに映った。
 その二人のぎこちなさは、アンチ恋愛の恋愛劇という作りに似合っていた。崩れに抗する最果的な密度を生み出す色合いとなっていた。
 石井の作詞という野嵜の劇中歌「Tokyo Sky」も、エンディング曲「NEW WORLD」(The Mirraz)もよかった。
 過剰な言葉が機関銃のように繰り出されるシーンと重なった。

 そうだ、まだ死ぬわけにはいかない。
 小田急線でもノアの方舟でもなんでもいいぜ それに乗って 新しい世界へ!
 がん バ〜 レ!