昨日に引き続き、東野圭吾氏の書籍連続紹介です。
前回と同じで、今回紹介するのも実は、短編集で「犯人のいない殺人の夜」です。前回同様は短編集と知らずに図書館から借りて来て、前回東野圭吾「怪しい人びと」 に続いて読み始めた。この短編集もサーとよめるサスペンス小説集です。もっとも、氏の作品としては、こちらの方が先に出版されていますが・・・。
書籍名:「犯人のいない殺人の夜」
発行所:株式会社光文社
発 行:1990年7月30日初版発行
定 価:1,300円(本体1,262円)
<ハードカバーの帯の紹介>
犯人がいないのに殺人があった!?
でも犯人はいる。あなたに挑戦する本格推理小説
と言うことでこの書籍は、以下の短編集が収録されています。 タイトル(目次)の下の概要は私の私的まとめです。
-
小さな故意の物語 「小説現代」1985年11月号初出誌
中岡の親友だった行原達也が高校の屋上から落ちて死んだ。達也には自殺する理由がないはずなのになぜ?達也には小学校からの恋人佐伯洋子がいた。中岡は洋子と協力して、この事件を調査し始める。そして、達也が自殺ではなく、何かに目がくらんで、落ちた、つまり殺人だと知る。その犯人は笠井美代子という達也にラブレターを書いた子で、殺す意思はなく、鏡で屋上を照らした事を知る。そして美代子は、自殺を図る。中岡は、その一年後、達也の母親から手紙が送られてきて、新たな事実を知る事になる。達也は屋上に一人でいたのではなかった・・・。
-
闇の中の二人 「小説宝石」1986年1月号初出誌
萩原信二には、父親と、再婚の義母とその二人の3ヶ月になる弟がいた。ある日、その3ヶ月の弟が殺された。犯人は、外部から侵入したらしいが、なぜその当日だけ窓のカギが開いていたのか?警察は、義母が浮気をしており、その相手が父親の秘書であり、当日その秘書が殺人を犯したと推理するが、義母も秘書もこれを否定する。当日の外部からの進入はその秘書以外ない事がわかる。それでは一体だれが、何の為に殺したのか?信二の最初の証言が嘘である事から信二が犯人と推理する。しかしそれではなぜ自分の弟を殺したのか???
-
踊り子 「小説宝石」1986年9月特別号初出誌
孝志は中学2年で、塾通いと家庭教師にも教えてもらっていた。ある水曜日の塾帰りに、お嬢様の女子高校の体育館からピアノの音が聞こえ、その音に誘われるままに、裏口から、中に入っていくと、ひとりの少女が、ラジカセの音楽に合わせて新体操を踊っていた。それを見た孝志は、その少女に心をときめかし、この少女が水曜日の夜だけ練習している事を知る。そして、体育館の玄関の方にスポーツドリンクと共に「新体操の練習を見ています。ファンより」とのメモを添える。これを3週間続け、彼女が気づいてくれる事を期待するが、4週間目に体育館に行くと、そこに彼女は現れなかった。その後何回も水曜日に行って見るが、彼女が現れる事はなかった。
黒田は、その理由を調べる為、大学でお嬢様高校卒の友達を頼って、その高校に行く。そして体操部の子から、「水曜日の踊り子事件」と、その子が自殺した事を知るが、その自殺の原因の発端となったのは・・・。
-
エンドレス・ナイト 「小説宝石」1987年5月特別号初出誌
厚子は渋谷のファッションビルに勤めていた時の部長洋一と結婚した。大阪へのファッションビル進出を洋一が任される事になるが、大阪が嫌いな厚子は、大阪行きを拒否し、洋一は単身で大阪に行っていた。その洋一が殺された。ファッションビルの経営は余り旨くは行ってなかったようで・・・。刑事は犯人は厚子と推理する。
-
白い凶器 「小説宝石」1988年9月号初出誌
購買部材料課の課長が6楷から墜落しした。死亡推定時刻は、昨夜の9:00~11:00で、この時間に残業で居たのは中町由紀子と森田と言う男だったが、森田は9:5分に帰宅しており、問題なさそうで、由紀子も10:22分まで、課長と一緒に残業していたが、80から85キロの課長を窓から突き落とす事は無理だと思われた。且つ現場には争った後もなかった。回りの証言から、課長は自殺するような人ではないと思われた。そして、2人目の事件が発生する。同じ部署の佐野と言う男が、自動車運転中にカーブを曲がりきれずに分離帯に激突し即死した。居眠り運転かと思われたが、解剖の結果、睡眠薬が検出された。佐野は出かける前に、中町由紀子のお茶を飲んでいる。警察は、中町を調べると、彼女は意外な苦労をしていた事を知る。3件目の事件が発生する寸前、刑事達はこれを阻止し、由紀子の所に行く。
余りにも不幸な出来事が重なり、乗り越える為には、誰かの性にしなければ・・・。
-
さよならコーチ 「小説現代」19988年11月特別号初出誌
会社にとって、アーチェリー部の最後の選手であった望月直美が、自殺した。オリンピック選考会に掛けていたが、失敗し最後のチャンスを逃し、これを苦にした自殺と思われた。ビデオメッセージをコーチに残して・・・。
直美を除くと最後までいた元アーチェリー部の田辺純子が、このビデオ遺書に心当たりがあり、直美は以前自殺に付いて「このころふっと死にたくなることがある。」と話した事があるらしい。しかも「もし自殺するときには、死の最後の瞬間までビデオに撮る。そしてそのテープを愛する人に捧げる。その人があたしのことを決して忘れないように・・・・と」
そして、直美の練習用スコアノートの隅に「私は死を選んだ。もう他に道はないと思ったから。でもコーチに見つかり、阻止されてしまった。」警察は、これらの聞き込みから・・・。
-
犯人のいない殺人の夜「EQ」1988年3月号初出誌
この最後の物語が、この本のタイトルになっている小説です。登場人物を以下に記載すると
・拓也 ・・・ 医学部中退の学習塾で働いている青年
・河合雅美 ・・・ 拓也の恋人
・八木雅美 ・・・ (安藤由紀子)カルチャーセンターの事務員だった。拓也と知り合い、彼に貢ぐようになる。岸田創介の事を知っており、強迫する事を考え拓也に相談する。
・岸田創介 ・・・ 昔安藤(由紀子と和夫の父)と共同でで発明した建築方式を使って、著名建築家となる。
・岸田時枝 ・・・ 岸田創介の妻
・岸田正樹 ・・・ 岸田家の長男
・岸田隆夫 ・・・ 岸田家の次男(拓也と雅美が家庭教師をする)。
・安藤和夫 ・・・ 安藤由紀子の兄(妹の行方を追って、岸田家や周辺を探る)
・高野/小田 ・・・ 刑事
さて、超簡単にあらすじをまとめると、
隆夫が誤って、安藤由紀子を殺した。そこにいた岸田家と拓也は、死体を埼玉の奥地に隠し、事件がなかった事にしようとするが、大雨で、その死体が発見される。
事件が解決(隆夫が誤って殺)したかになるが、実は最初に隆夫が殺した様に見えた時、由紀子(雅美)は死んはいなくて、芝居だった・・・。
だれが、本当の犯人なのでしょうか?大どんでん返しのサスペンスです。実際に読んでみて下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます