社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

東野圭吾『赤い指』

2008-05-30 09:10:35 | 趣味(読書)

昨日の東野圭吾『使命と魂のリミット』に引き続き、東野圭吾氏の作品紹介です。大分氏の作品の傾向が、変わってきた中で、この作品も殺人は起きるが、その背景にある現代社会を如実に物語っており、最後の一線で、両親(父親)が良心を超えない所が、やはり感動物です。

一方で、この小説にある出来事が、余りにも現実に起こりえる(というか既におきている)話でもあり、他人事と思いつつも考えさせる作品です。

東野圭吾『使命と魂のリミット』と同じように、あっという間に読みきりました。一日でですが・・・。


赤い指A.jpg書籍名:『赤い指』
発行所:株式会社講談社
発 行:2006年(平成18年)7月25日初版発行
初 出:『小説現代』
     1999年12月号
定 価:1,500円+税
頁 数:縦一段組み270ページ 

<ハードカバーの帯の紹介>
直貴賞受賞作第一作書き下ろし長編小説
犯罪を超えたその先に、
本当の闇がある。
二日間の悪夢と、
孤独な愛情の物語

「この家には、かくされている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身によって明かされなければならない」

 

<登場人物と私的概要>

  1. 松宮修平:松宮克子の長男。戸籍に自分の父親の名前が載っていない事から、母親と隆正の過去をしり、自分が普通に生活を送れた事が隆正の支援のおかげであるとわかり、恩を返すために、警察官となる。加賀の息子の恭一郎と共に、春日井優菜(小2)ちゃん殺人事件を捜査する。
  2. 松宮克子:松宮修平の母親で加賀隆正の妹。離婚を決意した妻子ある男性との間に修平をもうけるが、不幸にもその男性が事故でなくなり、生活費を稼ぐ為に水商売に就くが、兄の隆正の助けを受ける。
  3. 加賀隆正:元警察官で、妹松宮克子の家族の住居や職の斡旋から金銭的も支援したが、最後癌で亡くなる。
  4. 加賀恭一郎:加賀隆正の息子で松宮修平の先輩でもある優秀な警察官。修平と共に春日井優菜ちゃん殺害事件の捜査を行い、その鋭い感覚から、前原直巳が犯人であると見抜き、前原家族が殺人の罪を、痴呆症の母親政恵に押し付けようとするのを、暴く。
  5. 春日井優菜:前原直巳に首を絞められ殺される小学2年生。
  6. 前原昭夫:恋愛でもなく上司の紹介でなんとなく、八重子と結婚し、直巳が生まれた。これにより、直巳中心の生活となったが、家の事は全て妻八重子にまかせっきりで、浮気もしたこともあり、八重子に頭が上がらない中、突然、会社に八重子から電話が入る。急いで帰宅すると、庭に小さい子供の死体があった。直巳の仕業と分かり、すぐ警察に届けようとするのを、八重子に自分が死んでも直巳を守ると言われ、仕方なく、死体を段ボール箱につめ、公園に捨てに行く。
    何ればれるのが分かっていた昭夫は、恐ろしい事を思いつく。それは痴呆症の母親が殺した頃にすれば、痴呆症ゆえ罪には問われられないと言う策略だった。
    最後、全てをわかっている加賀恭一郎から、本当にこれでよいのか、いくら罪に問われないとしても監獄で過ごさなければならないような事を親にしてよいのか?
    最後に涙ながらに、前原昭夫は全てを白状する。
  7. 前原八重子:前原昭夫の妻。義母の前原政恵とあわず、最初の内は孫をつれて前原の実家に行っていたが、途中からズーと実家に行く事を夫の昭夫に拒否し続ける。直巳をかわいがるあまり、殺人を犯した息子でも自分が自首してでもかばおうとする。
  8. 前原直巳:前原家の長男。小学時代からいじめにあい、中学から突然、きれるようになり、母親の八重子の甘やかしもあり、手の付けられない程の中学生になっていたが、ロリコン趣味から、春日井優菜ちゃんを趣味のフィギアモデルで誘い出し、悪戯をしようとして、首を絞め殺害してしまう。
  9. 田島晴美:前原昭夫の妹で、母親の雅恵が痴呆症になってから、前原八重子に代わって前原家に毎日通い介護をする。
  10. 前原政恵:前原昭夫の母親。夫章一郎を最後まで介護し、夫が死亡後、膝を複雑骨折。息子の家族と同居(息子の家族が転居してくる)する事になる。前原八重子と仲が悪く、同居後ある時期を境に章一郎と同じように痴呆症にかかるが、実は息子家族と旨くやっていく為の芝居であった。息子夫婦が自分を犯人にしようとしているのを知り、殺人が起こる前に、口紅で指を真っ赤に塗り、その口紅を娘の晴海に預ける。この意味を、加賀恭一郎が気づき、このおばあさんが殺人を犯してのではない事を確信する。
    この本の題名『赤い指』はこれから付けられた者と推定。
  11. 前原章一郎:前原昭夫の父親。脳梗塞で倒れ、一旦は助かるが、その後老人性痴呆症にかかる。その後の介護は妻の雅恵が長い間行なうが、最後になくなる。

以上

 


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