宮部みゆき『ソロモンの偽証』の新潮社ハードカバー版の最期には、20年後教師になった野田健一が中学校に戻ってくるのだが、それなら20年後の藤野良子はどうなっているのだろうか?と言う事で、新潮社文庫のソロモンの偽証6を読む事にした。この文庫には、20年後の”偽証”事件を描く、書き下ろし中編『負の方程式』が収録されているからだ。
さてこの『負の方程式』には、20年後弁護士になった藤野涼子が登場するが、それだけではない。『ペテロの葬列』後の私立探偵になった杉村三郎も登場する。しかも流れからと言うか視点からすると、杉村三郎が主人公になっている。中編なのでこの作品はあっという間に読み終える事ができた。『ソロモンの偽証』同様になかなか暗い作品で、同じようになぜ偽証が起きたか?と言う事がポイントだが、まあー余りこれに関しては感想はない。
それより、藤野涼子が神原和彦と結婚している事が最期にわかる方が面白い。そしてその神原和彦の事を
市塵にまみれているわたしと違って、彼は清らかな象牙の塔の住人でございましてね。学者って、ホントにどんどん浮き世離れしていくから困っちゃう |
と杉村に紹介するのだが、これを読むと、二人の『ソロモンの偽証』の法廷後のストーリーがやはり気になる。
しかしそれはまた作者の気まぐれで紹介されない限りわからない事だろう。いずれにしても、藤野涼子と杉村三郎の今後に期待したい。新たな展開を!
書 籍:『ソロモンの偽証 第III部法廷(下)』 | |
無罪か。 いま、真犯人が告げられる。 現代ミステリーの金字塔、完結。 20年後の偽証事件「負の方程式」初収録 | ひとつの嘘があった。柏木卓也の死の真相を知る者が、どうしても吐かなければならなかった嘘。最期の証人、その偽証が明らかになるとき、裁判の風景は根底から覆されるーーー。 藤野涼子が辿りついた真実。三宅樹理の叫び。法廷が告げる真犯人。作家生活25年の集大成にして、現代ミステリーの最高峰、堂々の完結。20年後の”偽証”事件を描く、書き下ろし中編「負の方程式」を収録。 |
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