先日「千里眼」を読んで、面白くなり、図書館から、一気に松岡氏の書籍を借りてきた話をしたが、私なりにあらすじと感想を述べて見たい。 氏の最初の作品「催眠」を読んでいない為、「催眠 特別編」とどうちがうのかよく分からないが、いづれ読んで見たいと思っています。 今の所、読んだ範囲では、下記の流れがあり、氏の2作目「水の通う回路」だけが題材・テーマは別にして千里眼シリーズからは独立していると解釈しています。いずれにしても、以下は私の独自解釈と勝手なまとめですので、登場人物などは特に勝手に多く省略してあります。
1) | 「催眠 特別編」 | ![]() |
※「千里眼」主役となる東京晴海医科大学付属病院長友理佐知子(千里眼)と岬美由紀は紹介程度の説明(これは、特別編で追加された?)。 「催眠」の主役はあくまで、国内最大の東京カウンセリングセンターの嵯峨敏也(催眠療法課長)とその上司である、倉石勝正部長と、嵯峨の部下の朝比奈宏美である。安比奈は一輪車に乗れない為、いじめにあい、登校拒否等の精神不安定状態の小学生竹下みきを助けるようとし、結果その原因を取り除く為一輪車に乗れるようにする事で、彼女を救う。 一方、元々小さい時から、精神障害はあったが、ある切っ掛けを元に多重人格となった入江由香(宇宙人に変身し、チャネラーとして、占いがヒット)が、TV出演したのをたまたま嵯峨が見て、結果多重人格障害と見抜き、彼女を救おうとする。精神障害の一つの原因として家庭環境を考え、その為に嵯峨は入江の両親に会う。両親は、由香の話の中で、若い時からうそをついたり、おかしな行動もあった。でっかい緑色の毛をはやした猿が自分に催眠術をかけるとか自分は宇宙人とか理恵子だというと。その後ある事で、由香の障害が更に悪化するが、それを食い止めようとした矢先、由香は、大手証券会社の日生証券の経理部に勤めていたことがあり、2億円横領の疑いで、警察に捕まってしまうが、これも結果的にシステムのバグだという事で、横領の容疑そのものが取り下げられてします。これはすべて、私腹を肥やす為に日生証券の経理部財津がメフィスト・コンサルティングに依頼し、高卒の入江由香の採用と、両親の多大な借金を利用し、罪を押し付けようとした事だった。これら一連の事件が解決し、入江由香は嵯峨の治療で治っていくだろうと思われる中、周辺では、恒星天球教のテロの発生等が広がり、一方で連続変死自殺事件が発生し、死ぬ直前「ミドリの猿」を口にする事から「ミドリの猿殺人事件」と命名され、その犯人の容疑者として、失踪した嵯峨と入江が指名手配された。という形で終わっている。 ※従って、続きを予想させるが、「千里眼」へそのまま続くというより、「千里眼」で友理佐知子と岬美由紀の話をしてから、「千里眼 ミドリの猿」へ続く形になっている。 おそらく、当初の「催眠」と異なり、大分追加されたと考えられ、千里眼シリーズの序章というイメージと考えられる。 ※催眠や精神障害について、かなり興味深い話がたくさん出てきており、ぜひとも最初の「催眠」を読んで見たくなっています。 |
2) | 「千里眼」 | ![]() |
恒星天球教のテロと思われる、事件が多発する中、茨城の改装中の寺が突然、ミサイルで爆破される。恒星天球教の男が、米軍横須賀基地に忍び込み、ミサイル制御システムを操り、ミサイルを発射させ、次にミサイルをセットしたのが首相官邸だった。米軍は横須賀基地で、この男を捕まえ、ミサイル発射を阻止する為、変更されたパスワードを自白させようと手を打つ(薬を使う)が、一切効かない。政府(野口官房長官、仙道航空自衛隊空将:岬美由紀の元上司他)は、この状況を打破する為に、千里眼と異名をとる東京晴海医科大学付属病院長友理佐知子と岬美由紀を基地に行かせる決断をする。友理と岬は基地に向かい、催眠誘導により自白させようとするが、男は米兵のガンを奪い自殺し、ミサイルは発射されるが、危機一髪の所で、二人はパスワードを見破り、ミサイルを自爆させる事に成功する。 しかし直後、まるで失敗を予想したような、恒星天球教「ひてりか」と名乗る男から、「5日以内に教団への干渉を止めるように全国の警察へ徹底させろ。そうでなければ再び政府首脳を標的とする」電子メールが送りつけられる。政府はその電子メールの画像に写るひてりかの表情が、横須賀でミサイル発射を行った男と同じように異常であると考え、その道のプロである千里眼のカウンセラーと組ませて、警察と捜査させる事にした。 一方、早朝タクシーの運転手が、東京湾観音に行く不思議な少女を拾い、そこへ届けたが、東京湾観音に上り、降りてきたとたんに倒れ、ジャンパーのポケットから恒星天球教経典がこぼれた。運転手はかわいそうに思い、その少女を、カウンセリングを受けていた岬に届けた。 両親が恒星天球教と何らかの関係があるか確かめるように友理から指示もあり、すぐ車でその宮本えり(小学2年)を八王子の自宅まで送って行ったが、両親は恒星天球教と関係はなかった。 横須賀のミサイル発射事件からわずか10数時間後、今度は青森の民家で爆発事件があり、恒星天球教のテロと考えられた。岬は宮本えりの件で悩み、友理の元に相談に行くと、そこには、警視庁捜査一課の蒲生誠がきており、恒星天球教のひてりかの正体がわかったと伝えた。ひてりかは角屋和夫という幹部で、自宅(角屋畳店)の捜査で、恒星天球教白書という文書が見つかり、教祖の「あうんな」の顔写真だけが破り取られており、その後姿をくらましていた。岬と蒲生は、この角屋を探す過程で、恒星天球教の無差別テロと思われた物が全て、教祖「あうんな」の写真を隠した畳を使った可能性のある建物を爆破したものである事を発見する。そして角屋のいる場所を探し当てるが、またもや自殺と言う形で爆発してしまう。催眠では、マインドコントロールして、自殺をさせる事はできない筈だが、なぜ、恒星天理教では、それを起こしているのか? 宮本えりは、その翌日も東京湾観音に行ったが、学校に行きたくない事を利用されて後催眠を誰かにかけられたと岬は突き止め、その後催眠をとく事に成功する。事情を知った友理は、岬に宮本家族やその他のカウンセリング家族と共に鹿児島での休養旅行を提案し、岬の上司の新村(元民間航空会社のパイロット:機長)が全て手配してくれたが、羽田での出発の時、岬は皆と別れ、東京湾観音に向かた。 東京湾観音の最上階の秘密の部屋に、後催眠を利用し多くの人間に機材を持ち込ませて、恒星天球教の男が、羽田の航空管制システムを狂わすシステムを作っていた。蒲生と共同で、その男と戦いシステムを破壊しようと試みる中で、恒星天球教の正体とは東京晴海医科大学付属病院であり、教祖とは千里眼友理であることをしる。 つまり、東京晴海医科大学付属病院でそこに相談にくる相談者を後催眠で使った。更に、催眠では自殺(自己の望まない事)をコントロールできない為、それをコントロールする為に、脳の一部を切除していた。 羽田の航空管制システムを狂わす事により、早朝の羽田に着陸する多くの国内線が、全て、敵国機にみられ、結果航空自衛隊からの攻撃で、打ち落とされ、関東が火の海になると同時にその日には、鹿児島から、宮本家族他と岬が帰ってくる事になっており、最初から友理は、岬も殺すつもりで計画していた。システムは発動し、絶望の中、やっとの思いで密室を抜け出し、かつての上司の仙道に電話し、航空自衛隊がミサイル発射寸前で、攻撃の中止に成功する。 友理は失敗した事で、次の手を何を考えているだろうか?混乱の中、航空自衛隊のF15が3機首相官邸攻撃のために飛び立った。岬は、入間基地のF15を操縦士、2機を撃墜し、残りの一機(パイロットは岬の上司の新村で恒星天球教のNo.2とその後ろに乗っている友理)も死闘の末撃墜するが、友理はパラシュートで脱出した。 ※「千里眼」は単独でも十分面白い読み物ですが、「催眠」或いは「催眠 特別編」があることにより、シリーズとして、最大の疑問ミドリの猿の正体が何なのか?これが私的にはキーと考えます。 |
3) | 「千里眼 ミドリの猿」 | ![]() |
須田知美はある事件で精神障害を起こし、倉石医院(医者の免許の資格を取り、病院を開設。東京カウンセリングセンターは、東京湾観音の事件で結果的にはなくなっている)にかかっていたが、入江由香(実は、嵯峨が行方不明以降倉石氏がずっと面倒みていた)と会ったときから更におかしくなったが、嵯峨に一旦は助けられ、嵯峨の指定したマンションから逃げ出した事で、敵(国家公安委員会を名乗るが実はメフィスト・コンサルタントの黛と芦屋)につかまって拷問をうける事になってしまう。 一方岬は今や千里眼の異名を取るに至り、総理から指名の内閣官房長官直属の主席精神衛生官となっており、アフリカのジフタニア共和国でODAの視察の最中に、内戦さなかの子供達を助ける為、その国のヘリで、白人が弾圧しているヘリを打ち落としてしまう。これが、情報操作され、日本政府の派遣団が外国で破壊工作をしたことになり、日本脅威論に結びつき、これを起こした張本人と言うことで海外でも千里眼として有名な岬美由紀がその槍玉に上がる事になり、中国が、なぜか日本に宣戦布告する事になりつつあった。 嵯峨は、友理から、被催眠性が高い事から、脳手術を受けないままで後催眠を施され、入江由香や倉石が危険だとの暗示を受け、苦しみ、自身を失いつつあったが、岬と会うことで、自信の回復と後催眠をとくことに成功する。一方岬は須田知美を救う為に、精神科医芦屋(メフィスト・コンサルティングの一員)を訪れるが、周到なわなにはまってしまい、つかまってしまう。 そこで、メフィスト・コンサルタントの日本法人の常務取締役鍛冶光次から過去の全て、入江由香、須田知美、嵯峨、倉石の件も含めてメフィスト・コンサルタントが絡んでいた事を知る。しかし、今回の中国の日本への宣戦布告、米軍の応戦、NATOの介入等極東全域で大規模な戦闘が行われるという大事業を成功させる為に岬を利用することを最初から考えており、脳に電極を当て、拷問を繰り返し、且つ混乱を起こすために友理が現れ、友理の結婚前は岬だと告げ、友理は岬の母親だと知らされる。 嵯峨は真の狙いが岬だと分かると、周りが見えるようになり、岬の力になろうと決心する。 ※「千里眼 ミドリの猿」は、自己完結しないシリーズ物の一部であり、初めて、「催眠」「千里眼」が統合され、つまりそれぞれの主役である「岬美由紀」と「嵯峨敏也」が会い、協力し合って、メフィスト・コンサルティングに立ち向かっていく巻かなという印象です。 |
4) | 「千里眼 運命の暗示」 | ![]() |
嵯峨と蒲生は横浜の中華街で岬が無人島猿島から台湾に連れて行かれる情報をつかみ、猿島に向かう。洞窟の中でなぞを解き、今にも飛び立とうとするヘリコプターに必死で乗り込んだが、その中には殆ど廃人化し、逃げられないように手枷をコンテナに固定された岬だった。ヘリコプターは飛び立ち、ある場所に到着したが、そこは台湾ではなく、中国の一村だった。着陸すると同時に操縦士は自殺し、その村の住民が襲ってきた。二人は岬の状態で希望を失っており、外に出て自爆しようとドアを開ける寸前、岬の「やめて!」で、希望を持ち直し、村人の乱入にまぎれて逃げる事に成功する。 しかし、中国人を10年もかかってメフィスト・コンサルタントがどうやって日本を敵対するようにしたのか?蒲生の中国での新聞記事と岬の感で、TVのテープを蒲生が盗み、岬と嵯峨で、中国最大の気功集団「光蔭会」の昆明支部に参入し、気功法の指導書を盗んだ。両方を調べたが、分からず。嵯峨の指導書の「富士山」の意味は何かの偶然の一言から、全てのなぞを岬は理解する。 岬は中国の開戦を止めるため、共産党中央へのFAXを打つと共に、今や、最大の中国人の敵の象徴となっている自分の素顔をさらして、昆明の町を駆け抜ける。群集が岬に気づき、大群衆となって、追いかける(まるで、ジャンヌダルク)。その様子をTV局が中継する。玉皇頂に上り、群集がのぼり、ヘリが来て機関銃で掃射されるが、岬はジッとこらえる。 FAXで送った事は、直ぐには誰も信用できない為それを証明しなければ、中国の宣戦布告(既にミサイル等の準備ができており、国家主席の声明のみの一食触発の状況)をとめる事ができない。中国は、理由無き多くの民衆の意思で開戦をしようとしているが、それがメフィスト・コンサルタントの仕掛けたわなであり、その仕掛けの証明をしなければならない。 一夜明け朝日が上がり、岬は扉を開けた。嵯峨と蒲生がなぜあけるのかと叫ぶ中、大勢の群集が岬に襲い掛かる瞬間、岬は気功法の気をぶつけて飛ばす動作をすると大勢の群集が、まるで奇跡のように気を受け飛ばされた。一人の例外もなく、そして立っているのは岬だけであった。このTV中継を見た国家主席が、すぐ手配し、日本とホットラインすると同時に、極東戦争は回避され、岬は英雄として中国側に向かいいれられた。 この失敗で、メフィスト・コンサルタントの本部役員から、鍛冶、友理、黛、に責任を取るように指示があったが、逃げようとする友理がつれていたペットと思われていた、ミドリの猿が実は人間であり、この十年日本支部は鍛冶を自分が全て仕切っていた事を告白するが、本部役員は全て把握しており、脳の前頭葉を削除されて、本社役員にコントロールされた3人にミドリの猿と芦屋は殺され、3人も暗示により自殺する。 ※ミドリの猿はメフィスト・コンサルタントのアメリカからの依頼で、人間と猿のDNAを掛け合わせ、より強く、支配される人間をつけるため作られたが、最後に残った実験生物だった。 最後のまとめになるが、その後、3人とも日本に帰り、嵯峨は入江由香の治療の為、アメリカに向かう事になったが、成田に当然来るであろう、須田知美が来なかった。胸騒ぎを感じた岬は、またもや、沖縄の基地に向かい、そこで、精神障害の原因となった米兵5名の強姦と殺人から、須田知美と母親を救う。 最後は、極東の危機を救った千里眼として、騒ぎが収まった頃、復活した、東京カウンセリング・センターに嵯峨の代理で再就職する事になった。 |
※自分がSADであることや、自立訓練法、気功法等も含めて体経がある為、上記の「千里眼」シリーズを通して、特に「千里眼 暗黙の暗示」等大変参考になったというより同感する次第です(気功法等)。勿論娯楽小説としても、大変面白い作品と思います。「千里眼」シリーズ全体を通して、自分が生きている間、絶対あきらめない信念を貫き通す新しく千里眼となった岬美由紀。そのためにかなりの無茶な事を平気で実行するやんちゃ娘と一方くじけながらも、自分の信念を信じ、岬を友に敵と戦っていく嵯峨と蒲生。大変面白い作品に仕上がっていると思います。
※「千里眼 暗黙の暗示」の映画化ができたら面白いと思いますが、色々問題が多すぎるかな?それとも既に? 岬が、玉皇頂で群集を、夜明けを待って気功(外)法で飛ばす場面等ができたら最高だと思います。
ここ10年ぐらいこういう小説や映画関係に疎い為、既に実現されているものもあるかも知れませんがご了承ください。
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