楡周平(にれ しゅうへい)『Cの福音』に続く、氏の第二作目となる作品です。
前回のダークヒーロー「朝倉恭介」の様な主役が存在して、周辺の人間環境が進むと言う感じではなく、この作品はとにかく登場人物が多い。登場人物からの紹介とその概要をまとめようとするとかなり根気がいる為、今回は概略は登場人物紹介の形ではなく、大雑把にまとめたい。後述を参照。
しかしこの作品を途中まで読み進める内に、すぐ頭に浮かんだのがオウム真理教である。基本的には宗教的なテロは貧窮した国の話であり、その根底は教育と情報が無い世界で育成される物と思えたし、私もそう考えていたが、実際には諸外国特に危険で貧しい国だけでなく、文化と教育が発達し・一億皆中産階級と呼ばれた日本で、オウム真理教による地下鉄青酸カリ事件が発生した。これが意味する物の恐怖を更に深く考慮し、日本の堕落した政治家と官僚への批判と、宗教の危険性を提議した作品であると思う。
実際の日本でのオウム真理教の実態は何処まで解明されているのかわからないが、その最初に信者となる物はよいが、その信者の子供がどういう風に育つのかを考えると、この作品はかなりの衝撃を与える。
日本も中国も同様な所があるが、何れにしても宗教と政治は別の次元の物であり、それゆえ両国の歴史の中でも宗教が政治に介入する事を拒んできた背景があるのだが・・・。
書籍名:『クーデター<coup>』
著 者:楡 周平(にれ しゅうへい)
発行所:株式会社宝島社
発 行:1997年3月12日初刊発行
定 価:1,960円(本体1903円)
頁 数:縦一段組み493ページbr>
<ハードカバーの帯の作品紹介>br>
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