社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

楡周平『クーデター』その2

2008-07-20 11:20:32 | 趣味(読書)


楡周平『クーデター』の続きです。



<ハードカバーの帯の作品紹介続き>



「このミスティリーがすごい!」の選者達を唸らせた圧倒的パワー



●香山二三朗氏(コラムニスト)



大藪春彦(「Cの福音」)からトム・クランシーへ。
混迷する世界状況の最前線を大胆且つ最新に描き出す楡周平本来の作風が、今明らかになった。
リーダーシップなき国家の脆さをリアルかつドラマチックにシュミレートしてみせた鬼気迫る警鐘小説だ。



●郷原 宏氏(文芸評論家)



壮大なスケールで国家の危機を描きながら、一方では人肌の熱い血潮を感じさせる希有な作品。
その物語の熱量は、フォーサイスの近作をしのぐといっても過言ではない。
平和ボケした日本人の眠りを覚ますこの衝撃作を、危機管理の何たるかを知らない政治家たちに読ませたい。



ベストセラーのデビュー作「Cの福音」をそのぐ壮大なスケール、迫真のディテール!!



<私的概要>



冷戦締結後の混乱の中、ロシアンマフィアは、それ以前の戦争で使用された膨大な兵器を有し、まるで商社の様に、あらゆる闇の顧客の要望に答える為に、これらを闇に流す事で利益を得ていた。
CIAは、このロシアンマフィアから自動小銃やロケット弾、スティンガー(地対空ミサイル)、地雷等の多くの兵器が日本に輸入された情報が入るが、さほど重要とは認識していなかった。
むしろ、ロシアンマフィアからフォト・レジスト1トン、炸薬700トンが北朝鮮に向け輸出される事が伝わった時、飢饉で食料危機にあえぐ北朝鮮が南進行を考えている事を予想する。この為、事前にその火種を消す為に、これらの運搬に使用されて来た、普通の運搬船(武器等や危険物輸送の設備がされてない)ナデージダ(日本に武器を運搬した同じ船)を原子力潜水艦ラ・ホーヤに沈めさせる事を決定する。ところが、ウラジオストックでフォトレジストのドラム缶をフォークリストで、ナデージダに積む際に一つのドラム缶に傷がつき、中の液体が少しずつ流れ始めていたが、誰も気づかずに、ウラジオストックを出向した。日本海から北朝鮮に向かい北朝鮮の海域に入る直前に、流れ出したフォトレジストが気化し船倉を埋め尽くしており、見回りに来た船員の靴底の鉄と階段の触れ合ったわずかな火花で一瞬に爆発し、それが炸裂にも誘発され、船自身が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
待ち構えていた原子力潜水艦ラ・ホーレは、この爆発に巻き込まれ、落ちて来た船の残骸にスクリュー等をやられ、潜水・航行不能に陥る。アメリカ政府は最新の原子力潜水艦を北朝鮮に渡さないように、ハリアーを飛ばし、上空支援を行なうと同時にフリゲート艦を現場に向かわせる。



約60年前から、教えを広め今や400万世帯の信者を要する宗教団体となった『龍陽教』は、その教主篠原天佑により、御護者(おんごしゃ:特に熱心な信者の子供)を、あらゆる所;政界や自衛隊等も含めてへもぐりこませていた。
実は、今回のロシアンマフィアと接触し、自動小銃などの武器を取り寄せたのも、龍陽教であり、日本の堕落した世界を変える為、自衛隊にもぐりこませていた御護者達を使って、革命を起こす為に、テロ(実際は殺戮であり戦争その物)を計画していた。



上記ラ・ホーレの事件勃発で、北朝鮮との緊張の中、好機と見た龍陽教は、テロ計画を実行する。
最初の計画、能登海岸、「赤磐岬の所で20人ぐらいの黒ずくめ男達がゴムボートで、上陸した」とのウソの情報を警察に御後者たち元自衛隊が連絡する。
この連絡で、駐在所のミニパトと近くの警察から2台のパトカーが出動するが、自動小銃により、たちまちやられてしまう。これを知った県警は機動隊を出動させるが、今度は地雷とロケット砲で攻撃され、ほぼ全滅する。県警は警察では、制圧は無理と判断し、本浦原発近くでもあり、もしこれが破壊されでもしたら大変な事になると判断し、首相に自衛隊出動の依頼を行なう。



一方、TV局の著名ニュースキャスターとなった由紀と戦場カメラマン雅彦は、二人ともアメリカでの出会いから、惹かれあい同じジャーナリズムの中に生きるがお互いが大切な存在となっていた。



次のターゲットに原発を置いた由紀は能登に取材に行っていたが、そこで突然の機動隊攻撃のニュースを知り、取材に行くがライトアップされた中全国放送の中で、龍陽教の元自衛隊御護者に、ライフルで射殺されると同時にロケット砲で取材車も襲撃される。



これをTVで見た雅彦は愕然とするが、なぜ由紀が殺されなければならなかったのか?その疑問・真実を知る為に能登に乗り込む。



由紀や機動隊を殲滅した人間達が近くにいる所まで追った雅彦は、突然の爆発を聞く。元自衛隊の御後者の弟が間違って発車したロケット弾で、その弟を残して全滅していた。その弟との戦いで、傷つきながらも最後は倒してしまう。



その弟が首に掛けていた、飾りと雅彦がロシアで偶然取った写真から、データを新聞社に送り、犯人が龍陽教と判る。



この間、龍陽教により、アメリカ大使館ビルと警視庁ビルがほぼ同時にテロ攻撃を受け、多くの死傷者が出る。この為自衛隊に首都制圧の為の出動を要請するが、この自衛隊の中にも龍陽教の御護者が混じっており、衆議院と参議院に爆弾を仕掛けていた。



雅彦の情報で、警察庁が動き、龍陽教の本部に乗り込み、教主篠原天佑に迫る。改革は失敗したが、日本が滅亡するのは、今の現状を継続させる事だと判断した教主天佑は、衆議院と参議院の爆弾の話までも暴露し、今回の事件の解決を見る。



雅彦は、由紀が言っていた「俺がいつも危ない仕事をしているからもし俺が死んでも、やらなければならない仕事の最中ならそれが終わるまでに絶対に駆けつけたりしないと・・・その代わり、それが終わって駆けつけたときには、どんな姿であっても俺にすがり、誰よりも大きな声で泣いてやる・・・と・・・だから俺は・・・・・・」
と由紀が泣いて始めて泣いた。br>




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