堂場瞬一氏の作品『逸脱』、そして『執着 捜査一課・澤村慶司』と続き、『歪 捜査一課・澤村慶司』を読んだ。氏の作品は刑事ものが面白いが、少し系統を変えて、読んだのが、今回の作品『グレイ』だ。タイトルや帯の紹介からわかるように、少しダークな作品だが、内容や進行は非常に軽い。
そしてこの作品を読んでいると、自分の大学時代を思わず思いだした。
大学二年生の苦学生波田(はた)は、親からの仕送りだけではとても生活できないので、アルバイトに明け暮れていた。そして少しでも効率よく稼ごうとして、北川社会情報研究所でアルバイトをする事にした。そのバイトとは、世論調査と称しての、街頭でのアンケート調査だった。なんと日給1万円で。
実は、私も大学の時全く、この作品の主人公と同じだった。親からの仕送りだけでは暮らせなかったので、アルバイトに明け暮れていた。クラブ等は論外で、それこそ、学業もそこそこにアルバイトをしていた。そして夏休み等の長期休みの時に、実はこの作品に出てくるバイトを同じようなバイトをした事がある。そうアンケート調査と称して……。最もアンケート調査が目的ではなく、会員の勧誘が目的だったのだが。
この作品では、アンケート調査とは別にその時に書いてもらう、個人情報が目的だったが。
私はこのアルバイトでは結局一人の会員も勧誘する事なく、すぐ辞めた。効率の悪さと自分に向いていない事を実感して、確実に稼げる体力仕事を目指した。当時としては破格の1日12,500円だったと記憶しているが、そう1日は1日でも本当に24時間勤務の5食付きの映画フイルム現像のバイトを。
マア―いずれにしても、この作品も面白かった。最後には新興宗教の話まで出てくるが、これなども明らかに胡散臭い。
書 籍:グレイ | |
俺は多分、川を渡ったのだ。 二度と「こちら側」へ戻れない川を。 著名な経済評論家・北川啓が主催する「北川社会情報研究所」。日々の暮らしに汲々としていた大学二年生の波田は、街頭調査のバイトで見込まれ、破格の待遇で契約社員になる。それが運命を大きく狂わせる一歩だとは知らずに…… | 正義も悪も 踏み台にしてやる。 俺が生き残るために。 希望に満ちた青年を待ち受ける恐ろしい罠。潰すか、潰されるか。孤独な戦いが始まる。 警察小説の旗手が挑むピカレスク・ロマン |
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