野沢尚『烈火の月』に続く野沢氏の作品紹介です。この作品も先日図書館に行った時にまとめて色々あさった中で、借りて読み始めた作品ですが、氏の作品の中では珍しく血なまぐさい風景、殺人等ない普通の恋に関する作品でしかも連作(3部作)となっています。
この作品には3つの物語が掲載されているが、なかなかこれが面白く、大人の作品を思わせる内容となっている。思わず、自分の人生と比較するような方もいるのではないかと思う。自分の人生を思わず振り返ると言う点で共通するテーマを抱えている気がした。
今まで氏の作品を掲載してきたが、この作品ははっきり言って氏の作品の中では異色な作品であり、一方で氏の新たな作品でもあるのかなと思った。今まで紹介した作品より、切なく身近な恋の住人に泪するような新たな氏の境地をかんがみるような気がした。
書 籍:『ふたたびの恋』
著 者:野沢尚(のざわ ひさし)
発行年:平成15年6月15日初版発行
発行所:株式会社 文藝春秋
初出誌:ふたたびの恋「オール讀物」1998年6月号
恋のきずな 「小説新潮」2000年3月号
さよならを言う恋 「オール讀物」2003年5月号
価 格:1,238円(税別) 縦1段組み226ページ
<ハードカバー帯の紹介>
旅先で再会した男と女。四日間のせつない恋心を描く。
舞台化決定!
パルコ劇場30周年記念作品 出演 役所広司・永作博美・國村隼
ベテラン脚本家の室生晃一歯は、休暇のために訪れた沖縄で、シナリオ学校の教えである大木新子に再会する。 新子はかつての恋人でもあり、今や超売れっ子脚本家になっている。彼女が沖縄に来たのは、公共ドラマのシナリオのストーリー作りに行き詰ったためだった。頼まれて相談に乗る晃一だったが、実は偶然に思えた沖縄での二人の邂逅には、大いなる裏があった・・・・・。
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1)ふたたびの恋
上記ハードカバーを参照。結末は掲載しません。読んで貰った方が面白いとおもいます。
2)恋のきずな
栄転で単身赴任中の夫木崎梨章と40歳の妻聖子とその高校生の一人息子皓一。高校で新聞部員の皓一が自宅に連れてきたサーカーの友人松浦英介。いつの間にか聖子と英介は淡い恋の関係に・・・。
3)さようならを言う恋
オムライスの一流シェフの藤田とそのオムライスに見せられた伊藤なおは、結ばれ一人息子の遊人が生まれるが、小学校集団登校の途中に飛び込んできた若者の車により、亡くなってしまう。二人をつないでいた遊人がなくなった事、お互いが相手を見る度に遊人を思い出してつらい事から、離婚する。なおは、アルバムだけを思い出に持って行ったが、残された遊人の部屋には多くの思い出の品物があった。藤田は、それらをトランクルームに預け、定期的にそこで飲みながら思い出にひたる。
この事件を機にアルコール付けになり、レストランから追放されるが、加寿子と言う弁当屋の娘にスカウトされ住み込みで、オムライスを作るために働く事になる。
そこに離婚したなおから電話が入り・・・。
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