既に60歳で定年退職された方の話だ。当社では90%以上の方が定年以降も再雇用の道を選ばれているが、この方は再雇用を選ばれなかった。子供がいなかった事や奥様も働かれていた事も関係していると思うが、60歳でキッパリ当社を退職された。奥様の田舎の鹿児島に家を買って、田舎暮らしへの道を選ばれた。もちろん大阪の家は売却された。つまりもう大阪には帰る事はない。
その方は、鹿児島では特に、仕事をする気はなかったようだが、退職一年後、どうも塾のアルバイトをされていたようだ。最初は一週間の内、数日だったらしいが、今では殆ど毎日のバイトとなっているらしい。
その方が先日大阪に来られた。私は直接会う機会はなかったが、会った後輩からの話だ。その後輩が先輩にそのバイトの時給を聞いたらしい。するとなんと時給は700円との事。その話しを聞いてやはり鹿児島は安いと思った。あとで調べると鹿児島の最低賃金は665円なのでそれよりは少しましのようだ。塾のバイトで先輩が一日何時間されているかはわからないが、おおよそ一日4時間とすると一月では700円×4時間×20日=56,000円だ。あまりにも少ない収入だが、それでも、定年後のバイトとしては十分なのかも知れない。
鹿児島は物価は安いし、それにこの先輩は毎朝、温泉に入っているらしい。なんとも優雅な生活だ。
さて同じ会社の先輩でも、当社の工場で働かれている方がいる。この方は、既に65歳を超えられている。定年後も再雇用を選択され、5年間勤められた。そして更に、アルバイト契約で継続して働かれている。
なんとこの方の時給は1,800円との事。当社では65歳以降のアルバイト契約では1,500円のはずだが、それを超えている。この方はほぼフルタイムのようだ。すると1,800円×7.45時間×20日=268,200円だ。60歳~65歳の時の毎月の給料は20万円にも届かない。おおよそ時給1,000円ぐらいの勘定だ。この方は65歳以上なので年金はフルでもらえて、且つこの収入があれば、これは凄い事になる。もっとも65歳以上は年金とあわせて月額45万円以上では、年金の制限(減額)がある為、多少コントロールされているとは思うが・・・。
この先輩は、若い後輩を良く飲みに誘われるそうだが、その時は殆どおごっているらしい。
どちらも本人が選択された人生なので、何も言う事はない。2人の先輩共素晴らしい生活だと思う。
ところで、このお二人の所得を考えるとやはり気になる。60歳~65歳未満の間の所得制限だ。この間は年金とあわせた月額の所得が28万以上だと年金が減額対象となっている。従って、再雇用時の毎月の給与所得は20万円にも満たない。これが再雇用者の勤労意欲が低下する大きな原因となっている。
そして大半の方は65歳と同時に退職となる。上記の65歳を超えた先輩の例はあくまで例外だ。当社の場合は、これを少しでもカバーする為に、毎年の給与所得とは別に65歳時の一時退職金としてカバーできる仕組みを作っているが、それにしてもやはりこの65歳未満の間は、苦しい。
先の鹿児島の先輩は、引退・隠居に等しい。つまり仕事をする為のアルバイトではない。暮らしの中でのアルバイト(時間つぶしの兼ねた)なのでおそらく問題はないだろう。子供なく、大阪の家も売って鹿児島に家を買われたので家のローンもないし、お金も相当あるので、もともと働く必要はない。先輩夫婦のお二人の年金を考えると、今後も何の問題もないだろう。
しかし、周りの先輩の話を聞くと、まだ子供が成人でなく、家のローンを抱えた方も多い。そして昨年から特別支給の厚生年金も一年づつ繰上げされており、65歳まで働くのが必須の状況が近づいている。おそらく65歳まで働かないと無収入となった時に、新たな仕組みが必要となるのだろう。つまり再雇用ではなく、完全な定年延長へと。
私は65歳までトテモ働く気はない。アルバイトの時間給が例え700円であっても塾のアルバイトの方が良い。しかしそれもできないだろう。
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