最近、企業にとってコンプライアンス(法令遵守)が重要になっている。色々な法律違反が大手企業であっても発生して問題になっているからだ。当社グループでも2000年以降、このコンプライアンスに対して、社内規定の整備や徹底教育等実施・推進している。
つい先日、このコンプライアンスに関する教育資料の中で期間帰属と言う言葉が出てきた。始めて聞く言葉だ。今まで聞いた事がない。調べて見る事にした。
すぐ分かった。企業会計原則―損益計算書原則―収益・費用の認識基準(期間帰属・計上時期) - 簿記勘定科目一覧表(用語集)にとっても詳しく解説されていた。
認識基準とは、会計学において、収益や費用を財務諸表に計上すべき時期(収益や費用をいつの時点で認識するのか)について判断する基準のことである。 期間帰属・計上時期という用語で論じられることもある。 |
この認識基準には、次のような種類がある。 ・発生主義 ・実現主義 ・現金主義 このうち企業会計原則では、発生主義によるものとしている。 すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。 |
と言う事で、教育資料に掲載されていた期間帰属と言う言葉で伝えたかったのは要は、売上計上基準の話だ。ある工事物件を受注して、3月末に工事を行った。しかし大半は終わったが、全ての工事を完工する事ができなかった。もちろん工事完了報告書(検収書類)等の書類も貰っていない。4月の頭に追加工事をする予定だが、その工事を勝手に、3月で売上計上してしまいそうになったが、これはどうすればよいか?と言う話だ。
昔は良くあった話だ。どうしても売上を増やしたくて、このような駆け込み処理を多くの企業がしていた。今ではこれはコンプライアンス上、絶対やってはならない事だ。当社では、売上計上基準は
- 出荷日
※国際会計基準(IFRS)への対応で、これは近い内に、納品日へと変更されるだろう。 - B/L日(海外取引)
- 工事完工日
の3つとなっており、上記の例でいけば、3の工事完了日となる。従って3月末に工事をしてもその工事では、完了していない為、未検収となり、売上の計上はできない。もちろん売上計上の為の証憑としての工事完了報告書も必要だ。
最も、これは経理上の話であって、税法上の話ではない。国税局の対応を過去何回も経験しているが、会計上の基準とは正反対の基準となる。その基準の元は、税金を多く取れれば良い。これに尽きる。従って、会計上(当社基準)は、工事が完成していなければ、売上計上できないと言うことになるが、国税局では、その大半が、完成しているから、売上が計上されないのはおかしいと平気で言うことになる・・・。
さて話は変わるが、アホな話だ。当社に出向した最初の年に聞いた。当社は、前の会社が倒産した時に、管財人の依頼により、そのリソースを引き継いで、親会社が新たに設立した会社だ。その前の会社はどうも、上記の現金主義で処理していたようだ。つまり売上を、取引先からの入金があった時に計上していたようだ。予算や決算の管理もなく、究極のキャッシュ・フローで経営されていたようだ。
客先への請求が正しくされていたかどうかも疑問だ。なんせ請求書がない。売上が計上されていないので当然かも知れない。入金が何の売上と対応するのかもわからなかった。外注先に二重で支払っていたかも知れないが、それらを検証するすべもなかった。決算で売上原価を正しく把握する為の棚卸すら行われていなかった・・・。決算の為に棚卸が必須な理由も理解されていなかった。従って2回も倒産した。これだけが原因ではないとは思うが・・・。
そして、新しい会社でやっと、4年でまともな会社になりつつある。コンプライアンスは重要だが、それ以前のレベル。つまりまともな会社・正常にするのも重要だ。いやむしろこれが最優先だ。
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