初めての作家の作品だ。タイトル『ルパンの娘』に引かれて、手に取った。ストーリは現実にはあり得ないほどばかばかしい設定だ(カバー裏面の紹介でもこの設定に関して記載されている)。泥棒一家の娘と警察一家の息子。しかしだからこそ面白い作品だった。あまり深く考えずに楽しめる作品だ。
書籍名:ルパンの娘 | |
”泥棒一家の娘と警察一家の息子の恋物語である”と書くだけで、この小説の設定がいかに現実離れしているか判ろうというものだ。しかしながらこの「ルパンの娘」、実にキュートなのである。輪郭のはっきりしたキャラクターたちがおりなす恋愛ドラマ&家族ドラマとして軽快に読み進められるだけでなく、ある殺人事件を巡る不自然さを題材としたミステリとしても愉しめる。しかもそれらの要素が終盤できっちりと結びつき、泥棒一家と警察一家という設定を最大限に活かしたクライマックスになるのだ。現実離れした設定が、十二分に機能しているのである。 お見事ーそんな喝采がとことん相応しい一冊だ。 | ルパンの娘 「今すぐ別れなさい」 わたしは泥棒の娘。 結婚を考えていた彼は、警察一家の長男だった。 |
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