神永 学(かみなが まなぶ)『タイム・ラッシュ』、神永 学(かみなが まなぶ)『スナイパーズ・アイ』に続く天命探偵真田省吾の3作目となるが、おそらく今回がこのシリーズ最後となろう(多分)。
この『ファントム・ペイン』も奥様が図書館の新刊案内で借りて来た書籍だが、実は3カ月程借りっぱなしの様な気がする。そして今回借り換えに行った時に、他の方の予約があり、今日が返却最終日となった。と言う事で1日で読んだ。
氏のこのシリーズは、毎回思うが、読み始めるとあっという間に終わってしまう感じだ。そう一気読みが合う作品だ。一気に読んでしまわないと気が済まない。だから、なかなか読み始めなかったのだが・・・。
今回の作品で、初めて美貌の女探偵公香の過去と元刑事の探偵事務所所長山縣との関係がはっきりする。つまりこのシリーズは全て、繋がっていた。そして登場人物も全て関係していると言う事になる。当たり前だ。だからシリーズなのだが。
「亡霊」と呼ばれた男、麻薬シンジケートを作った犯罪の天才、人を殺す事を躊躇しない冷酷非道な犯罪者、黒木京介。このシンジケートは、北朝鮮から麻薬輸入して売りさばいていた。その麻薬で恋人を失った山縣。山縣の上司だった真田の父親皆川、同僚の久保で、当時黒木京介の愛人で麻薬漬けだった宮野理子を利用して、黒木を逮捕した。そして、皆川は北朝鮮の麻薬密売組織にたどりついたが、逆に組織から邪魔者として皆川の家族は消されてしまった。山縣は生き延びた省吾を預かり、名前を変えさせ、同じ様に宮野理子も名前を公香に変えさせ、そして自分も警部をやめて、探偵会社をしながら生きて来た。
製薬会社の社長令嬢が誘拐された。その捜索と警護を山縣達は引き受けたが、その調査の中で、志乃が「殺人の夢を見た」。殺されたのは、刑事の久保だった。阻止すべく山縣たちは動くが、刑務所にいた筈の黒木は脱走し、久保を殺してしまう。そして警察をあざ笑うかの様に、製薬会社の社長と令嬢を拘束すると同時に山縣と公香も拘束して殺そうとする。はたして黒木の目的は・・・。そして山縣や公香はどうなるのだろうか?真田省吾はみんなをすくえるのだろうか???もちろんテンポの速い展開であっという間に読める作品です。
書 籍:『ファントム・ペイン 天命探偵 真田省吾3』
著 者:神永 学(かみなが まなぶ)
発行年:2010年2月20日初版発行
発行所:株式会社 新潮社
価 格:1,100円(税別) 縦1段組み341ページ
<ハードカバー帯の紹介>
殺人予知夢の精度が増した志乃。明かされた公香の衝撃の過去。ますますヒートアップするシリーズ第三弾
そんなバカな。次にころされるのが、あの人だなんて・・・・。
待ってろ。俺が
その涙を止めてやる!
真田は文句を言いながらも前を向き、バイクの速度を上げた。昔は、こんな風にバイクのバックシートに乗って、誰かとじゃれ合うなんて、考えもしなかった。公香は、ふとそんな思いに駆られた。その心の揺れ動きが、腰に回した手から伝わったのか、ちらっと真田が振り返った。公香は、思わず視線を逸らす。
<一つ訊いていいか?>
真田が言った。声のトーンがいつもと少し違う。「何?」
<公香って、ウチに来る前は何していたんだ!>
意外な質問に、公香はドキリとする。今まで、真田からそんな質問を受けたことは一度もなかった。
ーーー 本文より
幸運の女神に護られて不死身の男がぶっ飛ばす!
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<著者紹介> 神永 学(かみなが まなぶ) 神永 学(かみなが まなぶ)『タイム・ラッシュ』を参照の事。今回も省略するほど既に著名な方と思われる。『心霊探偵 八雲』が余りにも著名
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《主要登場人物》
真田省吾---無鉄砲で快活な青年探偵。22歳
中西志乃---殺人を夢で予見し、探偵助手を務める車椅子の令嬢。20歳
山縣-------探偵事務所<ファミリー調査サービス>の所長(元警視庁防犯部の刑事)
池田公香---頭も口も達者な20代後半の美貌の女探偵
柴崎功治---新宿署・組織犯罪対策課の刑事(山縣の元部下)
河合--------元暴走族のバイクショップ・オーナー
桜田春敏---桜田製薬の社長にして、山縣の高校の先輩
〃 恭子---春敏の一人娘。中学二年生
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