「ゴーン,ゴーン」
町内のお寺から,鐘の音が聞こえてきます。
お寺の裏山には,山裾に沿って,数千の墓が並んでいます。
“今日は,春分の日,彼岸の中日です”
ということで,ご先祖様の墓参りをしてきました。
「おじいさん,来たけえな」
墓の間から,声がします。
声の主は,おばあさんでした,かなり昔の女子です。
小道を挟んだ斜め上の「・・家」と書いてある墓の前にしゃがんでいます。
両手を使えるようにでしょう,リュックサックを背負っています。
「久しぶりじゃなぁ,おじいさん!」
「好きじゃった酒と,美味しいお菓子を持ってきてあげたけえな」
おばあさんは墓の前で手を合わせながら,そう言ってます。
そして,リュックからコップ酒と四角い箱の様なものを取り出し,お墓に供えます。
供えながら「南無・・・・・」と拝みます。
「おじいさん,もう飲んだ? 菓子も食べた?」
「もう帰るけぇな,これ持って帰るでぇ,又,来るけぇな」
そう言いながら,コップ酒と菓子をリュックにしまいます。
「ようまいんなさったなぁ,お先に」と声を掛けて,墓を後にします。
おばあさんが,折角のお供え物を持って帰るのには,訳が有ります。
数を増したカラスの所為です。
墓に食べ物を供えたままにすると,カラスが食べ散らかしてしまいます。
時に,花立の花さえ悪戯して散らかしていることが有ります。
“あらら,ここも掘られて,これじゃ墓がひっくり返るがなぁ”
イノシシが,墓の崖を掘り返すんです。
餌のミミズを,捜すためのようです。
子どもの頃には,盆に,正月に,お彼岸に,墓地はにぎわっていたんです。
お墓参りの人も,少なくなりました。
山裾の墓地は,野生が闊歩する時代になってしまいました。
町内のお寺から,鐘の音が聞こえてきます。
お寺の裏山には,山裾に沿って,数千の墓が並んでいます。
“今日は,春分の日,彼岸の中日です”
ということで,ご先祖様の墓参りをしてきました。
「おじいさん,来たけえな」
墓の間から,声がします。
声の主は,おばあさんでした,かなり昔の女子です。
小道を挟んだ斜め上の「・・家」と書いてある墓の前にしゃがんでいます。
両手を使えるようにでしょう,リュックサックを背負っています。
「久しぶりじゃなぁ,おじいさん!」
「好きじゃった酒と,美味しいお菓子を持ってきてあげたけえな」
おばあさんは墓の前で手を合わせながら,そう言ってます。
そして,リュックからコップ酒と四角い箱の様なものを取り出し,お墓に供えます。
供えながら「南無・・・・・」と拝みます。
「おじいさん,もう飲んだ? 菓子も食べた?」
「もう帰るけぇな,これ持って帰るでぇ,又,来るけぇな」
そう言いながら,コップ酒と菓子をリュックにしまいます。
「ようまいんなさったなぁ,お先に」と声を掛けて,墓を後にします。
おばあさんが,折角のお供え物を持って帰るのには,訳が有ります。
数を増したカラスの所為です。
墓に食べ物を供えたままにすると,カラスが食べ散らかしてしまいます。
時に,花立の花さえ悪戯して散らかしていることが有ります。
“あらら,ここも掘られて,これじゃ墓がひっくり返るがなぁ”
イノシシが,墓の崖を掘り返すんです。
餌のミミズを,捜すためのようです。
子どもの頃には,盆に,正月に,お彼岸に,墓地はにぎわっていたんです。
お墓参りの人も,少なくなりました。
山裾の墓地は,野生が闊歩する時代になってしまいました。
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