「いやいや、お出迎えありがとね」
社長は皆に陽気に手を振っている。ずいぶんと気さくな人物のようだ。
「社長、その出で立ちはどうしたんです」
北口が聞いた。社長はニコニコしている。
「Oh! 北口君。これからボーイスカウト協会の理事会があってね。今日は『ジャンボリー綿垣』と呼んでもらおう」
「社長、今回の冗談人事ですが……」
「これは西川君! 相変わらず硬い顔だねぇ。もっと楽になろうよ、楽に」
「これでも十分楽な顔をしています!」
へぇぇ、西川さん、社長と親しいんだ。さすがだなぁ。
「でも社長さん、あの課長が、とても信じられませんわ」
「薫子ちゃん。今回の事は薫子ちゃんでも予知できなかったかね。それはそうと、薫子ちゃんのオカルトブログ、毎日楽しみにしてるよ」
「イヤですわ…… でも、最近あれを本にしないかって言ってきた出版社がありますの。うふふふふ」
「それはいいね! 出たらすぐに買っちゃうよ!」
清水さんも親しいんだ。すごいなぁ……
「賄賂じゃないんですか! ……って、やっぱりそんな事ないですよねぇ」
「おやおや、林谷の御曹司君。Youも物好きだねぇ。早いとこ父上の会社に戻って、うちとさらなる取引をしようよ」
「それは別問題!」
林谷さんの実家はうちの会社の取引相手なんだ。そんなすごい人だったんだ。
「この人事の種明かしはあるんですか」
「Oh! ミスター・マジック! 家内がミスターの手品教室でお世話になって久しいねぇ。家内が言うには、教え方は上手いし、楽しいしって大喜びだよ。今度僕も参加しちゃおうかな」
「まぁ、入会随時ですから、いつでもどうぞ」
印旛沼さんの手品、大したもんだなぁ。
「社長! 今回の人事、とても時宜にかなっていると思います! さすがです!」
岡島が緊張しながらも大きな声で言った。自己アピールの絶好の機会と判断したようだ。
「これはこれはありがとね」
社長は嬉しそうな顔で岡島を見た。岡島が得意そうな顔をコーイチに向ける。ふふん! 出世街道、一歩先に行かせてもらったぜ! そんな表情だった。社長は岡島の顔をさらに見続け、低い声で囁いた。
「ところでYou、誰?」
つづく
社長は皆に陽気に手を振っている。ずいぶんと気さくな人物のようだ。
「社長、その出で立ちはどうしたんです」
北口が聞いた。社長はニコニコしている。
「Oh! 北口君。これからボーイスカウト協会の理事会があってね。今日は『ジャンボリー綿垣』と呼んでもらおう」
「社長、今回の冗談人事ですが……」
「これは西川君! 相変わらず硬い顔だねぇ。もっと楽になろうよ、楽に」
「これでも十分楽な顔をしています!」
へぇぇ、西川さん、社長と親しいんだ。さすがだなぁ。
「でも社長さん、あの課長が、とても信じられませんわ」
「薫子ちゃん。今回の事は薫子ちゃんでも予知できなかったかね。それはそうと、薫子ちゃんのオカルトブログ、毎日楽しみにしてるよ」
「イヤですわ…… でも、最近あれを本にしないかって言ってきた出版社がありますの。うふふふふ」
「それはいいね! 出たらすぐに買っちゃうよ!」
清水さんも親しいんだ。すごいなぁ……
「賄賂じゃないんですか! ……って、やっぱりそんな事ないですよねぇ」
「おやおや、林谷の御曹司君。Youも物好きだねぇ。早いとこ父上の会社に戻って、うちとさらなる取引をしようよ」
「それは別問題!」
林谷さんの実家はうちの会社の取引相手なんだ。そんなすごい人だったんだ。
「この人事の種明かしはあるんですか」
「Oh! ミスター・マジック! 家内がミスターの手品教室でお世話になって久しいねぇ。家内が言うには、教え方は上手いし、楽しいしって大喜びだよ。今度僕も参加しちゃおうかな」
「まぁ、入会随時ですから、いつでもどうぞ」
印旛沼さんの手品、大したもんだなぁ。
「社長! 今回の人事、とても時宜にかなっていると思います! さすがです!」
岡島が緊張しながらも大きな声で言った。自己アピールの絶好の機会と判断したようだ。
「これはこれはありがとね」
社長は嬉しそうな顔で岡島を見た。岡島が得意そうな顔をコーイチに向ける。ふふん! 出世街道、一歩先に行かせてもらったぜ! そんな表情だった。社長は岡島の顔をさらに見続け、低い声で囁いた。
「ところでYou、誰?」
つづく
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