6月19日(水)
ひろみはまだ帰って来ない。
いっしょに歩いていたあの男と共に居るのだろうか? あるいは事故にでも遭ったのだろうか?
嫌な事ばかり考えてしまう。
しかし、考えてみれば、オレとひろみの接点は、たまたま隣同士と言うだけの事だ。
オレが一人で舞い上がっているだけだ。
そんな事はわかっている。……わかっているのに、気になってしまう……
6月20日(木)
今日は朝から窓の外ばかり見ていた。ひろみが帰って来ないかと見ていたのだ。
ひろみは帰って来なかった。
ひろみの面影を追う。
異国人とのハーフなのか、顔立ちもスタイルも周りの女たちと違っている。圧倒的に優れている。
特にオレにとって好ましいのは、碧みがかった瞳だ。理由はわからぬが、どこか懐かしさを覚える。
今、どこに居るのか? あの男といっしょなのか? 下らぬ妄想が消えない……
6月21日(金)
今日もひろみは帰って来ない。
今、外へ出てひろみの部屋を見たが、真っ暗なままだ。
帰って来ないつもりなのか?
他人だ! 気にする事など無い! そう自分に幾度も言い聞かせた。
しかし、心は落ち着かない……
6月22日(土)
オレは何も手が付かない。
今日もひろみは帰って来ない。
何かトラブルに巻き込まれたのか?
やはり男の所なのか? それとも……
妄想がオレを痛めつけている。
6月23日(日)
昼過ぎ、ドアがノックされた。「隣の川村ひろみです」とかわいい明るい声がノックに続いた。
オレは嬉しさのあまりドアを開けた。ひろみが笑顔で立っている。つられてオレも笑顔になりそうだった。……オレに笑顔は似合わない。
ひろみは手に紙袋を持っていて、それをオレに渡した。「遅ればせの引っ越しのごあいさつです。ご迷惑じゃなければ、もらって下さい。拒む理由など無い。
それが済むとひろみは出て行った。部屋には戻らず、そのまま出掛けたようだ。
紙袋の中には、オレは知らないが多分名の通った店なのだろう、そこのケーキが幾つか入っていた。
初めて食べる味だった。ひろみのくれたものだから、美味いのだろう。
つづく
ひろみはまだ帰って来ない。
いっしょに歩いていたあの男と共に居るのだろうか? あるいは事故にでも遭ったのだろうか?
嫌な事ばかり考えてしまう。
しかし、考えてみれば、オレとひろみの接点は、たまたま隣同士と言うだけの事だ。
オレが一人で舞い上がっているだけだ。
そんな事はわかっている。……わかっているのに、気になってしまう……
6月20日(木)
今日は朝から窓の外ばかり見ていた。ひろみが帰って来ないかと見ていたのだ。
ひろみは帰って来なかった。
ひろみの面影を追う。
異国人とのハーフなのか、顔立ちもスタイルも周りの女たちと違っている。圧倒的に優れている。
特にオレにとって好ましいのは、碧みがかった瞳だ。理由はわからぬが、どこか懐かしさを覚える。
今、どこに居るのか? あの男といっしょなのか? 下らぬ妄想が消えない……
6月21日(金)
今日もひろみは帰って来ない。
今、外へ出てひろみの部屋を見たが、真っ暗なままだ。
帰って来ないつもりなのか?
他人だ! 気にする事など無い! そう自分に幾度も言い聞かせた。
しかし、心は落ち着かない……
6月22日(土)
オレは何も手が付かない。
今日もひろみは帰って来ない。
何かトラブルに巻き込まれたのか?
やはり男の所なのか? それとも……
妄想がオレを痛めつけている。
6月23日(日)
昼過ぎ、ドアがノックされた。「隣の川村ひろみです」とかわいい明るい声がノックに続いた。
オレは嬉しさのあまりドアを開けた。ひろみが笑顔で立っている。つられてオレも笑顔になりそうだった。……オレに笑顔は似合わない。
ひろみは手に紙袋を持っていて、それをオレに渡した。「遅ればせの引っ越しのごあいさつです。ご迷惑じゃなければ、もらって下さい。拒む理由など無い。
それが済むとひろみは出て行った。部屋には戻らず、そのまま出掛けたようだ。
紙袋の中には、オレは知らないが多分名の通った店なのだろう、そこのケーキが幾つか入っていた。
初めて食べる味だった。ひろみのくれたものだから、美味いのだろう。
つづく
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