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「竜とそばかすの姫」感想。全体としては楽しみましたが、気になるところは多い

【ネタバレ】

◎「竜とそばかすの姫」

 「もう、ひとりじゃない。」
 「あなたは、誰?」

 2021年7月16日(金)公開、原作と脚本と監督・細田守、121分。

 すず(内藤鈴)/ベル(cv中村佳穂)、しのぶくん(久武忍)(cv成田凌)、カミシン(千頭慎次郎)(cv染谷将太)、ルカちゃん(渡辺瑠果)(cv玉城ティナ)、ヒロちゃん(別役弘香)(cv幾田りら)、すずの父(cv役所広司)、すずの母(cv島本須美)、恵(けい)/竜(cv佐藤健)、恵の父(cv石黒賢)、ジャスティン(cv森川智之)、すずを見守る合唱隊の5人(吉谷さん(cv森山良子)、喜多さん(cv清水ミチコ)、奥本さん(cv坂本冬美)、
中井さん(cv岩崎良美)、畑中さん(cv中尾幸世))など。

 総合評価は、上中下で上の下くらい。

 2021年7月の新宿バルト9にて。





 同時期の東京駅だったか新宿駅だったか。東京のJR駅でやたらと見かけました。COVID‐19で人通りが減り、広告も減ったから、というのも一因なのかな、とか思ったりしました。



○ ミュージカルっぽいところがありますが、ディズニーの「美女と野獣」をモチーフにした面があるからでもあるのでしょう。
 全体としては良かったし楽しめたのですが、コメディというほどではなくて比較的リアル系の作品なのに、ところどころ物語の運びが不自然というかご都合主義というか、そんなところが引っかかりました。
 全体として「段取りを踏んでいます」という感じが少しばかりしまして、その感覚が、映画を(悪い意味で)少しばかり客観化させて少しばかり気持ちが乗れない感覚を感じましたが、これは私が物語の運びを気にしすぎただけかも知れません。

○ 50億人以上が参加する仮想世界〈U〉(ユー)、いわゆるアバターである〈As〉(アズ)、現実世界では外見も性格も冴えないすずが〈U〉で美貌のベルとして歌うと大人気に。ただ、数億人もが聞きたいと思う曲を作れるのは謎です。作品内での現実世界の人が〈U〉の人気歌手であるベルに〈As〉としてなっているだけですから、〈U〉での曲の人気は現実世界での曲の人気と同じはずです。よって、現実世界で曲を出しても人気になるはずです(誰が歌うかによって歌の印象は異なりますし、曲の善し悪しとは関係なく誰が歌うかで買う人もいるので、仮に、ベルの中の人であるすずが現実世界で同じ曲を歌ったとしても同じ人気になるとは限りません。〈U〉でのこの曲の人気と現実世界でのこの曲の人気は同じはずという意味です。)。

○ 素顔で歌わないと〈U〉での竜である恵に、すずがベルだと信じてもらえないと仲間に言われて覚悟を決めてすずの姿で〈U〉で歌ったのはいいとしても、歌の途中で言葉につまっていると、クジラが出てきてそれに乗り、ベルの姿に戻ったのは何故なのか。
 ベルという仮の姿ではなく、すずは自分を生きることにしたのだと思ったので最後まですずのままかと思って見ていたのですが、ベルになったということはそうではないということなのかどうか。単に歌う際の見栄えの問題としてベルに戻したというのでしたら、外見にこだわり過ぎな映画ということになります。ベルの外見の方が良いと言う観客の要望に応えただけだとしても、同じです。

 いえ、すずが恥ずかしくなっただけということで説明はできますが、これらの経験を経て父と話せるようになりましたし、幼馴染のしのぶくんと付き合うことにしましたから、すずの姿のままの方がつじつまが合うような

○ 小窓から見えるビル2本から恵がいる大体の場所を特定できるのはアリとしても、あそこまでピンポイントというのはどうなのか。田舎ではなく都会ですから道も家もいくつもあるので1本違えば見つかりませんし、家の庭に壁でもあればすずが通る道路から小窓が見えるとは限りませんし。
 都合のいいタイミングで2人が父の言いつけを珍しく破って外に出てきたから出会えただけのような。

○ モラハラ、パワハラで恵と弟を虐待している恵の父が、〈U〉で「正義」を振りかざすジャスティンなのかもと思って見ていましたが、声が違うので、違うという設定のはずです。

 なお、ジャスティンの「正義」は眉唾なのですが、〈U〉の〈As〉の大多数が支持しているので、そこではそれが「正義」なのです。

 ジャスティンの「正義」どうこうとは別に、竜の行動は悪なことに変わりはありません。父に虐待されていることが主因ですから同情はしますが、〈U〉の〈As〉はそれを知りませんし、知ったところで、同情はしたり多少は目をつぶることはあるとしても、竜の行動は悪なことに変わりはありません。(親に虐待された子が、虐待から逃れるために親を殺すのは悪ですが、そもそも子より親が悪いのですから、子が反省しているなら、刑は執行猶予がつくなど軽くなって欲しいということです。)

○ 児童相談所にすずらが恵の保護を電話で依頼しても、その情報では動けないと言われました。
 ルールがあっても、なんだかんだで役所はルールどおりに動かないよね、と素直に受け止めた私は役所への信用が低いだけでしょう。

 それにしても、すずを高知から東京に1人で行かせたというのは謎です。
 幼いすずの前で川に取り残された子供を助けるためにすずの母は川に飛び込み、子供は助けましたが母は死んで、自分を置いていった母のことがショックでトラウマになっているすず。
 それをしのぶくんや合唱隊の5人は知っているのですし、恵らの父が暴力的な父だと画面で見て分かっているのですから、腕力で対抗できる男の方がいいのですがしのぶくんらは高校生だから行けないという設定にしたとしても、大人である合唱隊5人から1人でもついて行くべきでした。それも、その1人がいると東京で恵らとすずが会ったときに絵が締まらないからという事なのかも知れませんが、それなりの年齢なので坂道を上るのに時間がかかったから出会いに間に合わなかったとか、足を痛めて少し休憩して離れたとか、それこそご都合主義に何とでも理由は見つけられると思うのですが。

 すずも母と同じように自分で危険を冒して恵らを助けようとし、助けました。蛙の子は蛙、という設定だと思いましたが、いずれにせよ、母が危険をおかして、泣いて止めるすずを振り切って、川に飛び込んだ理由は理解したすずです。

○ 公式HPから。
「50億人がすれ違う美しくも残酷な仮想世界。
ベルの歌声は世界を変えるーー
自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。
母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。
曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界〈U(ユー)〉に参加することに。〈U〉では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。
数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。
やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探しアンベイル。
〈U〉の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。〈U〉と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うがーー。
現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。
二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。
もうひとつの現実。もうひとりの自分。
もう、ひとりじゃない。」


【shin】


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