思い付きブログ

「ひらいて」感想。山田杏奈さんが良かった。あと、田中美佐子さんは好きです。

【ネタバレ】

◎「ひらいて」

 「たとえが好き だけど彼には 「秘密の恋人」がいたーー」
 「恋か 嫉妬か 友情か」

 2021年10月22日(金)公開、監督と脚本は首藤凜、原作は綿矢りさ(2012年)、121分、PG12。
 山田杏奈(役は木村愛)、作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)(西村たとえ)、芋生悠(新藤美雪)、板谷由夏(愛の母の木村頼子)、田中美佐子(美雪の母の新藤泉)、萩原聖人(たとえの父の西村崇)など。

 総合評価は、上中下で上くらい。

 全体として間(ま)が多いのは、原作が文学作品ということもあるのでしょう。
 PG12は、木村愛と新藤美雪のベッドシーンがあるからだと思いますが、下着か下着なしの背中くらいまでです。

 山田杏奈さんの演技は初めて見たと思いますが、いい味を出していました。また、単館系の映画の良さというものを再認識しました。次回作は12月3日公開の「彼女が好きなものは」のようなので、山田さんメインというだけで見ます。本作は単館系っぽい映画ですが、「彼女が好きなものは」は東宝での公開なので大々的でしょうから(とは言え、共に100館程度と大差はありません。)、それ次第では山田さんがメインで出るなら無条件で次々回作を見ることでしょう。ただ、山田さんには華があるというほどではないので(親しみやすい可愛さの外見、と言えば伝わるでしょうか。)、どうなのかは見てみないと分かりませんけれど。

 芋生悠さんの抑えた演技も良かったです。
 あと、田中美佐子さんは好きです。






口移し
 最初の方で、文化祭のダンス練習から新藤美雪が抜けたのに気づいて追いかけた木村愛、新藤美雪が倒れていたので、落ち着いたまま、制服なのに地面に迷わず座って膝枕をし、ほぼためらわずにジュース(?)を口移しで飲ませたシーン(1枚目の写真の一番上、3枚目の写真の右の上から2番目のシーン。)。

 1年の時に同じクラスで、新藤美雪が1型糖尿病なので自己注射が必要で低血糖で倒れることもあることを知っていたとは言え、あっさりとできる木村愛というのはかなり性格が良い子だと思いました。
 周りには誰もいないので誰かにアピールするためではないし、友達でもないどころか話したこともあまりない様子ですし、まだ新藤美雪と西村たとえが付き合っている事も知らない時です。後で回りに話して自分の株を上げるタイプにも思えません。

 最後まで見ると、木村愛は木村愛なりに、取り繕っているとか、我慢しているとか、こうあるべきとか、縛られて生きている面もあるという事なのでしょうけれど。

木村愛と新藤美雪の対比
・肉体的に健康そうな木村愛、1型糖尿病でこまめに自己注射をする新藤美雪。これも2人の対比でしょう。

・新藤美雪は手書きの手紙、木村愛はLINEだかメールだか。これも2人の対比でしょう。

・陰気で友達がいる様子のない新藤美雪、可愛くてほどよく明るくて人気者の木村愛。これも2人の対比でしょう。

・カラオケで歌ったのは、新藤美雪はJUDY AND MARYをややたどたどしく、木村愛はあいみょんを上手に。ジュディマリは好きと木村愛は言っていましたが、(知らないのに新藤美雪に合わせただけの可能性はあると思いつつも、)少なくとも知っているとは私は解釈していますが、高3で知っているというのはそれなりの音楽好きなのかも知れません(2021年なら。原作発表の2012年なら今よりは高校生に知られていたはずです。)。
 新藤美雪は家族としかカラオケに行ったことがないと言っていましたが、だから最近の曲を歌わないと言いたいのかも知れませんが、それだと理屈が分かりません。好きな曲が一昔前のものだというだけか(ジュディマリは大人気でしたが。)、音楽に興味がないから自分からラジオや音楽番組を視聴しないために両親が好きな曲しか知らないとか、そういうのなら分かります。

 2人の違いを見せたかったということは分かります。

ほぼすべてを持っている木村愛と、ほぼ1つしか持っていない新藤美雪
・彼氏がいる新藤美雪と、彼氏である西村たとえが好きな木村愛。2人が「逆転」するのはここくらいです。極端に言えば、彼氏がいるだけの新藤美雪、彼氏以外は手に入れている木村愛。木村愛の贅沢な悩みとしか思えませんけれど、それでも、誰だって、悩みはあっても自然です。
 ただ、友達と遊んでいる時などの木村愛は楽し気な笑顔ではありますが、そうではないときのシーンが多いので、笑顔ではない木村愛の方が多いです。なので、見ていて、木村愛が恵まれているということを忘れがちになります。なので、贅沢な悩みとは思いつつも、それほど強くは思えないところです。

・明示的ではありませんでしたが、木村愛の母は病気か何かかも知れません(若年性の痴呆とか、夫の死などの強いショックで記憶が混濁しているとか。)。夫へのプレゼントをよく作って、その度に木村愛にメッセージを書いてと言ってきました。そのときの木村愛のメッセージが簡潔すぎますし、微妙な表情と反応でした。学力的にはもっと偏差値の高い大学に行けるのに地元の大学に推薦入学を決めたのも、自宅から離れられないからかもしれません。とはいえ、早く家に帰るようにしているわけではないので、母が病気であったとしても今のところひどくはないのでしょう。母娘の仲も良さそうですし、優しそうな母には見えたので、そういう病気でなければ良い母と言えると思います。

 また、こちらも母娘の仲は良く、新藤美雪の母は、理想に近い良い母に見えました。

手書きの手紙
・手書きの手紙だからこその思いの伝わりというのはあるでしょう。文通している新藤美雪と西村たとえの2人にとっても、西村たとえ宛の手紙を盗み見ている木村愛にとっても。

・特にラストシーン、卒業式の日に教室で木村愛が新藤美雪からもらった手紙を読み、走って新藤美雪の教室に行って小声で、また寝よう、みたいなことを言うシーン。
 手書きの手紙の威力もあるのでしょう。木村愛は、自分のためか、新藤美雪と自分のためか、精神的充足のために素肌と素肌を触れあいたいと思ったのだと思います。それは、新藤美雪を自分に惚れさせて新藤美雪と西村たとえを別れさせて自分が西村たとえと付き合うためにという当初の意図があるのかないのか。素直に見ればないということなのですが、文学作品という前提があるので保留です(原作は未読です。)。いずれにせよ、3人の関係は続くのでしょう。

・なお、木村愛と新藤美雪の関係は同性愛(ホモセクシャル)や両性愛(バイセクシャル)ではなく、肉体的快楽が少しありますが、精神的快楽(肉体的快楽によって得られる精神的快楽を含みますが、それだと新藤美雪の方が木村愛よりはありそうです。)が一番大きいと思います。少し共依存でもあると思います。
 フィクションですし、この先で同性愛に目覚める物語にすることは容易だとは思いますが。

 新藤美雪が西村たとえと木村愛に二股というのだけは見たくありませんが、西村たとえが木村愛に振り向くことはなさそうなので、3人で付き合うというのもなさそうです。

○公式HPから。
「私だけが彼を好き
でも、入り込めない
それなら
好きな人の好きな人を奪えばいい

成績もよくて、明るくて目立つタイプの愛(山田杏奈)は、同じクラスの“たとえ”(作間龍斗)にずっと片思いをしている。ひっそりとした佇まいで寡黙なタイプだけど、聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえの魅力は、愛だけが知っていた。そう思っていたある日、彼には「秘密の恋人」がいることを知る。それが病気がちで目立たない美雪(芋生悠)だとわかった時、いいようのない悔しさと心が張り裂けそうな想いが彼女を動かしたーー。「もう、爆発しそうーー」愛は美雪に近づいていく。誰も、想像しなかったカタチで・・・。
これは、誰にも言えない、わたしたちの本当のホント。」


【shin】


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