思い付きブログ

ルパン三世~峰不二子という女~ の感想

 春アニメの感想の続きです。

●「LUPIN the Third ~峰不二子という女~」

 ルパン三世ファンには、大ざっぱに言って4種類いて、

(1)1stTVシリーズ(1971から72年)の、比較的ハードボイルドで、平気で人殺しをする比較的悪党な、やや悪そうな顔のルパン達が好きなファン。緑ジャケットルパンのファン。
 映画第1作の「ルパンvs複製人間(クローン)」(1978年)はこの系統。

(2)2ndTVシリーズ(1977から80年)の、人殺しをほとんどしない、コメディ系の基本的に善人で、やや猿みたいな善人面のルパン達が好きなファン。赤ジャケットルパンのファン。TVスペシャルはほとんどがこの系統。これでルパンが有名になったのも事実。

 映画第2作の宮崎駿監督の「カリオストロの城」(1979年)は緑ジャケットですが、内容としては、(1)の雰囲気を感じさせつつも、実際は(2)の方が近い感じ。

(3) 原作漫画のファン。

(4) どれもOKなファン。

 因みに私は、基本は(4)で(1)寄りなんだか、基本は(1)で(4)寄りなんだか。

 因みに、ルパン達を善人に描いてしまった「カリオストロの城」は、アニメや映画としては名作だと思いますが、ルパン三世としては駄作だと思います。そう思うということは、基本は(1)で(4)寄りと言う方が適切なのかも知れませんが。
 (このような、1stと2ndのどちらが優れているかとか、宮崎駿さんをどう位置づけるのかは、ルパンファンの間ではいつも議論が分かれる不毛な争いなので、気にしないで下さい。)



 さて本題ですが、始まったばかりのときの感想にも書きましたが、ほとんどの人が馴染んでいる2ndTVシリーズやTVスペシャルの雰囲気ではなく、原作漫画の雰囲気なので、受け入れられるのか心配でした。

 尤も、朝や夕方や夜アニメと違って深夜アニメのため、ファンがある程度付けば良いので、というか深夜である時点である程度のファンしか対象にしていないでしょうから、心配することではないのかも知れませんが。


 そう言えば、ルパンのTVシリーズはこれまでに3作(緑、赤、ピンクのジャケット)ありましたが、どれも1つのエピソードが1話から数話で完結し、シリーズ通しての物語にはなっていませんでした。

 今回のは、1話1話の様々なエピソードを積み上げつつ、全体で1つの物語になっていました。
 1期13話のみで、かつ、不二子を描くことが目的のこれとは比べられないのでしょうけれど(一番短い1stシリーズで23話)、ルパン三世シリーズの中における不二子の物語として、上手くできていたと思います。


 オープニングの語り+不協和音気味なキリキリした音楽によって、過去の記憶が不確かであることによる不二子の精神的な不安定さや、拠り所のなさを表しているようで、また、エンディングの、テンポの割りにある疾走感と、アンニュイ感のあるジャジーなボーカル曲(ジャズかジャジーか、その微妙な違いは良く分かりませんが)で不二子の落ち着きと格好良さと謎めいたところを表しているようで、渋い大人の2曲でしたし。



 さて、特に気になった点を以下に。


 ラフな線を多く入れてカゲを表したところが、人によっては汚く見えるかもとか(そのカゲは、光の存在に伴う単なるカゲであったり、不気味さを出すためのカゲであったり、人の内面を表すカゲであったり、人の内面を隠して神秘さを表現するためのカゲであったり、カゲが多くて区別しにくいですが。少し、カゲが多い気はしました(悪いとまでは思いませんが)。)、

 ルパンや不二子らが平気で人殺しをするところとか(そもそも殺し屋であり泥棒ですし、宮崎駿さんが描くような外見も性格も善人なルパン達ではなかったし、それらによりルパン達は基本的に悪党だというところが出ていて良かったです。)、

 ルパン達がまだ仲間ではなくて互いに戦う場面も多かったりとか(1stTVシリーズでは敵から仲間になる過程も描かれましたが、今回のではほとんど仲間になっていないです。群れないルパン達(1stTVシリーズでも、仲間ではあるが群れてはいない)、それどころか敵同士でもあるルパン達というのが出ていて良かったです。)、

 ルパンがスリルと快楽(人は、それを暇つぶしとも言う)のために盗みをするところがより強調されているところとか(盗めないものがそうは無いルパンには盗むことが難しいほど、命がけであればあるほど、スリルを感じて楽しめるわけだし、ルパン達はそもそも善人じゃないわけだし、盗人にも三分の理、なんて無用なわけだし。そう言えば、「ルパン三世パートⅢ」のオープニング曲に、「スリルのためにすべてを俺は賭けてもいい」という歌詞があって、パート3は今回の以上に快楽のための盗みを強調しているとも言えますけれど。)、

 銭形警部が少し格好良すぎるところとか、部下の男性刑事に惚れられたりとか(TVシリーズの銭形がコメディになり過ぎただけ、かつ、それに慣れすぎただけですけれど、声のせいもあってか、それにしても格好良すぎた気はします。今回の物語全体のバランス上は妥当なところなのでしょうが。)、

 赤ジャケットルパンに比べるとギャグがとても少ないところとか(不二子のつらい過去話がほのめかされてばかりでしたし、それが1stTVシリーズのアンニュイでカゲのある不二子につながる話として見ても楽しめましたけれど(直接はつながらない話なので本来は別の話ですが、雰囲気として)。)、


 今回の毒のあるルパン三世ですが、少なくとも深夜アニメファンなら、全体として楽しめたのでは、と、ルパン三世ファンとしては思いたい。


 以下、おまけ。

 不二子の顔の変遷。
 色々、変わっています。


 ローソンで買ったコップ。2つとも1stシリーズのルパンと不二子です。
 カリオストロの本も持っています(笑)。

コメント一覧

shin
http://yaplog.jp/shin99shin/
>ざっくさん
 比較的シリアスだったから、話の変化が付けにくかったのかなあ。
 だから、ダレたと感じる場合もあるのかなと。

 ただ、TVスペシャルでも、全体としてはそれなりに楽しめますが、所々、つまらないので、根本的問題かも。

 この声優で前にTVスペシャルもやったし、次のTVスペシャルにも期待です。
ざっく
http://yaplog.jp/rockgamer/
自分は4かな~全部楽しめる派。
漫画も読んでたし。

画面描写もそれなりに好きだったし。

ただ、「キャストが変わったし、新しいキャストで1クールぐらいアニメやってみるか~」って感じで適当に作ったアニメだったんじゃないかと思ってしまった。
途中、かなりダレる感じだったので。
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