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デス・パレード感想。深みに欠けるが、今後、人形である裁定者が人間の感情を手に入れる過程次第

【ネタバレ】
2015年冬アニメの感想の続きです。

◎「デス・パレード」(全12話)

総合評価2.5点(5点満点)。
死んだ人間の魂に死んだことを秘密にしたままで、人間の本性をあらわにさせた上で、死後の行先(虚無か転生か。)を決めるためのゲームを行う物語。
シリアス系で少しコメディ。人間の本性をさらけ出させて、人間とは何か、人間らしい感情とは何か、人間が人間を裁くとはどういうことか、に迫ろうとする意欲作とは思いますが、型どおりな感じで深みに欠けます。
どういう死に方をしたのかという謎解きとしては、全体としてそれなりに楽しかったです。


深みがあって良いという声も聞かないわけではありませんが、どこに深みがあるのかが今一つ分かりませんでした。

それはもしかしたら、「死んだ」と覚悟するような状況になったことがある人間にとっては、「死にそう」な状況にある人間のことをまだまだ大丈夫と思ってしまう場合があることに似ているのかも知れません(私にそういう経験があるとは限りませんが。)。
あるいはもしかしたら、様々な文学小説で人間のより深い感情や本性や絶望を知った人間にとっては、実際に時々見かける本性や絶望や、深夜枠とは言え地上波で放送できる程度の本性や絶望ではまだまだと感じてしまう場合があることに似ているのかも知れません。


バーのクイーンデキムのバーテンダーで裁定者のデキム(cv前野智昭)、死んだことを覚えていたのでゲームを先延ばしにされ、デキムを手伝っている知幸(ちゆき)(cv瀬戸麻沙美)を中心に、裁定者を管理するノーナ(cv大久保瑠美)、にぎやかな裁定者のギンティ(cv細谷佳正)、ノーナより偉くて神に近いオクルス(cv玄田哲章)など。




○ 1話。新婚の夫の たかし(cv中井和哉)が転生へ(魂が別の人間に宿る。)、妻の真智子(cv川澄綾子)が虚無へ(魂が失われて深い闇に落ちる。地獄とも違うらしい。)。

2話。1話の同じ場面を知幸とノーナが裏側から見ているという物語。運転中の夫婦喧嘩で交通事故を起こした たかし が罪悪感を持たないように妻がワザとお腹の子は他人の子と言った、浮気はしたが一度きりの過ち、と考える知幸の説もある程度の説得力があり、デキムは転生と虚無を間違えたかも、という物語。

こういう見せ方で深みを出すというのも良いですが、それでもそれほどではないので、ふ~ん、といったところでした。
掘り下げが型どおりな感じ。型どおりなこと自体は有りだとして、それを絵などの演出で面白く見せれば良いのですが、それも今一つなので型通りの物語にしか見えず。


○ 8、9話。島田(cv櫻井孝宏)は妹の紗英(cv藤田茜)をストーカーに暴行され、刑事の辰巳(cv藤原啓治)は妻を殺した犯人を殺した過去を持ち、ストーカーが紗英を暴行しているのを見届けていて、後日殺害しようとストーカーの家に侵入。

島田は復讐のためにストーカーを殺し、その時に致命傷を負っていて、一方、妹は誰かが見ていたことに気付いていて、仲間と思った島田は鉢合わせた辰巳も殺すと。

ゲーム途中に記憶を取り戻し、妹を助けられただろと叫ぶ島田に、「裁定するには被害者が必要だろ」と辰巳。
必死で止めようとする知幸を島田は振り切って、復讐のために辰巳に死と同様の耐え難い苦痛を与えることを選ぶと。
2人とも虚無へ。

「ちょっとしたことに直ぐ影響を受け、どう転ぶかも分からないまま、生きて、、、それが人なの!」と涙ながらにデキムに力のないパンチを繰り出す知幸。それはその通りですね。

裁定に疑問を持つデキム。

謎解きとしてはなかなか面白かったです。
死んだ人間の本性を出させて判定するということなのですが、その本性が型どおりでもあり、深みに欠けます。
深みがあって良いという声も聞かないわけではありませんが、どこに深みがあるのかが今一つ分かりませんでした。


○ 「1つ、裁定者は裁定を辞めることができない、そのために存在しているから。」
「2つ、裁定者は死を経験できない、人間に近づいてしまうから。」
「3つ、裁定者は感情を知ることができない、彼らは人形だから。」

と10話でノーナから説明がありましたが、感情がない裁定者に人間の本性を見てどう判断しろということなのだろうか、と思いました。感情がないなら何故にそのようなことを(犯罪など。)したのかは理解できず、よって、適切な裁定などできるとは思えません。

そこにはノーナも疑問を持っていて(9話以降のデキムも同様。)、オクルスに隠れてデキムに人間の感情を持たせようとしていて、10話でオクルスは気付いたものの「無駄なことを」としばらく様子見。


デキムは基本的に無表情で淡々としていますが、ギンティは時には感情的になっているように見えるし怒っているように見えます。

11話で有田マユ(cv種崎敦美)と原田(cv宮野真守)を最終的に虚無に送るときに「これでいい」とつぶやいているギンティなんて自分を納得させるかのようですし、ということは自分の裁定にいくらか疑問を持っているということであり、それは感情があるからとしか思えなかったのですが。

裁定者に「感情がない」ということが今一つ分からず、でも、オクルスが「人間の感情を持った裁定者ですか?」「裁定者がとる行動はいつも同じ。」とノーナに言っていたことからして(最終12話OP前)、コンピューターのような意味でのプログラムされた感情はあるけれど、人間としての感情は無いという意味なのかと。


○ 一方、最終12話後半、「人間に人間は裁けない。」とノーナは言い、「分かっているなら何故こんなことを。」とオクルス。
それに、「困難になるからって、人間を適当に裁いていい理由にはならないでしょ。」「苦しみを伴わない裁定に何の意味があるの。」と疑問を持つノーナ

でも、最終12話ラスト少し前でオクルスが追加した、
「4つ、裁定者は生命に寄り添ってはならない、彼らが壊れてしまうから。」

知幸を知りたいと思って実行したデキムは壊れそうになって、感情、心って難しいですね。

続きの物語としては、最後に裁定者が人間の感情を手に入れるのでしょうけれど、そこまでの描き方次第です、この物語の本当の良し悪しは。

アニメジャパン2015にて。



【shin】


○ 2015年6月21日追記。
5月から6月初めに東京アニメセンターにて。
イロイロとありましたが、サイン付のもののみ。





【shin】
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