2015年夏アニメの感想の続きです。
◎「がっこうぐらし!」(全12話)
総合評価5点(5点満点)
○ 1話、高校に泊まり込んで暮らす女子高生の日常系コメディと思わせておいて、それでもところどころ変なところはあって違和感も感じてはいましたが、まずはコメディの範囲内でした。
ラストで、血塗られて荒れた教室で由紀が一人言を言っていたり、ゾンビが校庭にいたり、バリケードがあったり。
なるほど、そういうアニメだったのですね。こういう驚きは、原作未読でネットなどで事前情報を見ないからこその楽しみです。
丈槍由紀(cv水瀬いのり)、恵飛須沢胡桃(cv小澤亜李)、若狭悠里(りーさん)(cv M・A・O)、直樹美紀(みーくん)(cv高橋李依)、先生の佐倉慈(めぐねえ)(cv茅野愛衣)、犬の太郎丸(cv加藤英美里)のほか、
美紀の友達の祠堂圭(cv木村珠莉)など。
アニメジャパン2015にて。
○ 噛まれたらゾンビ化するようでしたが、直ぐになるわけではなく、
由紀が下校の時間だと放送したらゾンビ生徒達は学校から去りましたし(12話)、これまでも夕方にゾンビ生徒が減って朝になったらゾンビ生徒が増えていましたし、
10話でゾンビめぐねえ が胡桃に遭遇してから、10話で何かを書いていて、11話で「生きて」と4人宛の手紙に鉛筆か何かで追記された手紙が映されたことから、ゾンビになっても人間の時の意識はあるのかもしれませんし(字が乱れていたので、常に人間の意識があるわけではないのか、人間の意識があっても弱いのでしょう。)、
もしそうだとすると、スコップで同級生等のゾンビを大量に殺してきた胡桃の精神は大変なことになりそうです。
(東京アニメセンターにて。)
そもそも何故、多くの人がゾンビ化したのか謎ですし、噛まれてなるのであれば逃げる時間が無いとは考えにくいですし、少なくとも日本全国で対応が取れないスピードで広まるわけがありませんし、噛まれなくても空気感染するなら4人が感染せずに生きているのは不思議です(タマタマ免疫があったのかもしれませんが。だとすれば、噛まれたとは言え胡桃がゾンビ化しそうになったのは少しだけ不思議。)。
等々、気になるところはありますが、それ以上に、どうなるのかどうなるのかと、面白かったです。
少しのバランスが崩れるだけで、ゾンビから逃避している無邪気な由紀が不自然で違和感だらけになりそうですがそんなことにもならず、日常の中にゾンビという異常さを上手く混ぜつつ、上手く対比させつつ、見事に共存した素晴らしいアニメでした。
○ OPやEDの絵を、それほど分かりにくくはない範囲で細かく変えて、この先の内容を暗示したりも面白かったです。こういうのは、分かりにくいと見つけるのが面倒になる場合がありますが、程よい感じでした。
めぐねえゾンビ化に耐えられず自己防衛のために現実逃避した由紀の無邪気さとそれを見守る3人の対比だとか、現実逃避した由紀だけに見える人間としての めぐねえ だとか、10話ラストから11話で割れた教室の窓からの雨などの異常に気付いて現実を受け入れる時の由紀だとか。
現実逃避をしていて一番弱そうに見えた由紀でしたが、現実に戻ったら一番強くなった様子だとか。
悠里は一番しっかりしているようで、胡桃がゾンビ太郎丸に噛まれてゾンビ化しそうになった時に、頼まれていた介錯を出来ずに発狂しそうでしたから、立場上無理をしているだけで一番もろい様子です(美紀が地下にいるゾンビめぐねえ を倒してワクチンを取ってきたので、胡桃と太郎丸は元に戻った(その後、太郎丸は直ぐに死にましたが。)。ただ、まだゾンビ化していない胡桃はいいとしても、ゾンビ化した太郎丸が助かるなら、ゾンビ化した同級生なども助かるのでは?。)。
めぐねえ や少なくとも教職員の一部はこういうことを予期していて、生物兵器についての「校外秘 職員用緊急避難マニュアル」があったり(8話。国とかから配布されたのかな?。)、学校でも暮らせるように食料や設備を準備していた様子でしたが、町全体が国などによって密かに生物兵器の人体実験の道具にされているのかもしれませんし、近くに見えた製薬会社が爆発したようなシーンもありましたから単なる事故でゾンビになる何かが漏れたのかもしれませんし、何とも分からないことだらけです(宇宙人の襲来という雰囲気はない。)。
○ さて、10話、胡桃がゾンビめぐねえ にやられてゾンビ化しそうで苦しんでいるのを見ている悠里は発狂しそうでしたが、美紀はあまり気にならない様子な一方、別の部屋で太郎丸のエサが残っているのを見て、太郎丸ゾンビ化をあらためて思い知って泣き崩れる美紀。
美紀にとっては太郎丸は友達の圭(ショッピングモールに2人で隠れていたとき、隠れているだけなのが嫌で、助けを連れて帰るために1人で外に出てゾンビ化した。)とのキズナですから。
この落差、Aさんにとって大事なものや人はBさんにとってはどうでもいいこともあれば、Bさんにとって大事なものや人がAさんにとってはどうでもいいこともあるということ。
私の家族が死んでも皆さんは悲しくもなんともないし、皆さんの家族が死んでも私は悲しくもなんともないということ。
そして、それが普通で自然で当然であるということ。
○ 鍵を見つけて、マニュアルを見つけて、地下のワクチンを見つけて、最終12話では、卒業式をして、食糧等が底をついてきたので別の場所(地図にあった避難場所の大学か企業?。)に4人は向かいましたし、他に生存者がいるシーンも。
少しの希望を持たせつつ、どうなるのか分からない感じも良かったです。
○ 東京アニメセンターにて。
【shin】
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