2002年6月28日
雨がシトシトと降る夜は、〇〇署員の不安の日だ。60歳くらいの男性が決まってやって来て、当直員を困らせるからだ。
署員によると男性は日雇い労働者らしい。
だが、最近は仕事がなく〇〇の街を自転車に乗り夜の寝床を探しているという。〇〇署に現れると酔っ払った上に死んだふりをして居座る。そして保護室で朝を迎える。彼にとっては警察署が格好のホテルとなる。
実は、男性は根気が必要な山芋掘りの名人。金が尽きると山で長さ1メートルはある自生の山芋を掘り、料亭と1本1万円で取引する。
「どこか彼の働く場所はないのかな。山芋を掘る根気で頑張ってくれれば」と、署の幹部は雨雲を恨めしそうに見上げている。
(6月26日付毎日新聞朝刊より)
この記事を読んで、ぼくは「ふざけるな!」と思った。この『60歳くらいの男性』とは、ぼくがこの日記で再三紹介している、酔っ払いのおいちゃんのことである。
ぼくが何に対して「ふざけるな!」と思ったか?別に、こののんきな記事に対してではない。それは警察の態度に対してだ。
何が『雨の降る夜が不安』だ!そちらは雨の日だけじゃないか。こちらは、一時期、毎日のようにこのおいちゃんに泣かされていたのだ。このおいちゃんから、怒鳴られたり、凄まれたり、叩かれたりしたお客さんのことを考えて言っているのか!?売場に来ては、クダをまき、タバコの吸殻を捨て、痰を吐き、どれだけ迷惑したと思っているんだ。困ってあんたたちを呼べば、厄介そうな顔をするし。こちらのほうが数倍恨めしい気持ちになるわい。こんな警察の情けなさを見せつけられると、「おいちゃん、もっとやってやれ」という気持ちになる。
しかし、「死んだふり」をするとは笑わせてくれる。おいちゃんはタヌキか?はたまたマル虫か?そういう時、警察はどう対処しているんだろうか。以前、店の前で倒れたように眠っていた時は、ぼくは蹴りを入れてやったのだが、まさか警察はそこまでしないだろう。おそらく、「もしもし、どうされましたか?」などと言っているのだろうが、そんな甘っちょろいことで、このおいちゃんを退散させられるわけがない。時には怒鳴って追い出すくらいのことをしないと、このおいちゃんは付け上がるばかりだ。
それにしても、あのおいちゃんが「山芋掘りの名人」だとは。確かにそうかも知らないけど、掘った後がいかん。ビニール袋にその日の収穫を入れて売り歩いているのだが、その売り方がひどい。まるで押し売りである。しつこく相手に絡み付いて、無理やり売りつけているのだ。断られると、因縁をつけている。あげくのはてには、そのビニールの中に痰を吐いている。そして、またそれを別の人に売りつけている。きっとその料亭も、無理やり売りつけられた口だろう。