吹く風ネット

ピーナッツ

 ぼくには、もう一つ嫌いなものがある。それはピーナッツだ。ピーナツを食べるのも嫌なら、ピーナッツ風味の食べ物も嫌である。
 酒のつまみに、柿の種を小皿に盛って出されることがある。が、もしその中にピーナッツが入っていたら、ぼくは手を付けない。

 そういえば、小学校の頃、時々給食にピーナッツバターが出ていた。クラスのほとんどは「お、今日はピーナッツバターやん」と言って喜んでパンに塗っていたが、ぼくは何も塗らずに食べていた。
「しんた、ピーナッツバター塗らんのか?」
「おう、こんなの塗って食えるか」
「じゃあ、くれ」
 ぼくはいつもそれを人にあげていた。

 ピーナツが嫌いなら、アーモンドやカシューナッツなども嫌いなのかというと、そうではない。
 特にアーモンドは大好きで、酒の席にアーモンドが出たら、一人で全部食べてしまい、ひんしゅくを買っている。
「‥‥お前なあ、ナッツ類だめやったんやなかったか」
「ピーナッツがだめなだけ。その他のナッツは大好きなんよ」

 実は、ぼくは小学校に上がるまで、ピーナッツが大好きだった。
 ある日のこと、親戚のおばちゃんが買ってきた落花生を一袋、一人で平らげてしまった。ところが、それからしばらくたって、鼻血が出てきた。
 鼻血が出るのはいつものことだったが、おばちゃんがそれを見て
「ほーら、あんたが落花生を全部食べるけ、鼻血が出るんよ」と言った。
 それを聞いて以来、ぼくはピーナッツがだめになったのだった。

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