SHISHIRA

「憂きことの 尚この上に積もれかし 限りある身の力試さん」

「はいはい道新」を読んで~「医は仁術なり」

2020年09月03日 | 日記
今日の北海道新聞夕刊の「はいはい道新」から。


僕は医者嫌いです。
若いころは、臨床検査会社の営業や薬のMRなど、医師を相手にした仕事をしていたにも関わらず…。
最近の医師は、以前とくらべるとかなり変化して温厚な方が多くなっています。

10年前に父が自宅で危篤となり、行きつけの病院に運ばれたものの、そのまま亡くなりました。
姉と僕は、気が動転しながらも、主治医の女医さんは、父の状況について淡々と説明します。
何か解説書でも読むように。
同じ血の通った人間であるならば、何かしらの言葉をかけることなく。
最後に「葬儀社は決まってますか?」の一言。
今、亡くなったばかりで、それすらまだ呑み込めないのに…。

「ここにご遺体を置いておくわけにいかないので、早く葬儀社を決めてください」

病院の事情も理解できますが、こんなにも人の死や残された家族の心情も得ず、医師というのはなんと事務的で冷酷なんだと思いました。以来、医師に対していい感情を持てなくなりました。

MR時代に仲良くなった医師に、この件について尋ねたことがあります。
「医師は、人間としての心を持っていないのか、持てないのか、持ってはいけないものなのですか?」と。
その医師は、「いいえ、心を持っていないといけないのが医師です。〇〇さん<僕のこと>が医師をよく思わなくなったその医師もまた医師としての立場としては正しい接し方だったかもしれないのであまり責めないでほしい。僕も患者さんが亡くなった時、涙が流れるものだよ。だけど家族にその姿は見せないよ」

「医は仁術なり」
 医師の仁愛は、患者だけに向けられるものではなく、患者の周りにいる人たちにも向けられる人間としてのやさしさであり、慈愛であると思うのです。