<2014年12月28日>
年の瀬の札幌駅は、いつも以上の混雑でした。
年末は青函トンネルが北海道新幹線との兼ね合いで使えなくなるため、夜行列車の時刻変更がお知らせされています。
そんな中、一つの夜行列車が、今札幌駅に着こうとしていました――
今回の帰省は、この夜行列車、「北斗星」から始まります。
到着するのは4番線。ということで、向かいの5番線で待機。
すっかり夜の景色となった午後5時過ぎ、西から二つのライトが現れます。
ブルーの重連DD51に牽かれて、「北斗星」が進入しました。
4番線に戻ると、前と後ろは撮影タイム。
「北斗星」は機関車を入れて13両の大所帯。札幌駅で13両に対応しているのは3・4番線ホームしかないので、基本的に撮影はこのホームに限られてしまうのです。
今更説明するまでもありませんが、「北斗星」は上野と札幌を結ぶ寝台特急(ブルートレイン)です。
青函トンネルと同時に登場した「北斗星」。開業時は定期2往復、臨時1往復が誕生し、関東と北海道を1本の鉄路でつなぐ最初の列車となりました。
この時点ではブルートレインというものはありふれており、東北にも「ゆうづる」(上野~青森:常磐線経由)、「はくつる」(同:東北線経由)、「あけぼの」(同:奥羽線経由)「北星」(上野~盛岡:東北線経由)あたりが走っていました。新幹線の発展が遅かったこともあり、西日本に比べ夜行列車が多く残り、この他「十和田」「おが」などの夜行急行を含めると10往復以上が走っていました。
とはいえ、既に対北海道の旅客のシェアは飛行機が奪っています。となると、ただの開放式寝台でいくわけにはいきません。かくして、「北斗星」は個室主体・食堂車とロビーを設置し、快適な旅を演出する方向となりました。これは功を奏し、開放型寝台のみだった臨時(後に定期化)も乗車率は上々だったようです……あれ、なんかおかしい気がするけど。
また、機関車もその年から青い塗装の専用のものとなり、列車全体が青で統一されました。
これらは、後の「トワイライトエクスプレス」、さらに臨時の流れを継ぐ「カシオペア」のベースとなります。
あれから25年。青函トンネルの工事の関係で1往復が消えましたが、それでも残る1往復と「カシオペア」はかなりの乗車率を保ってきました。飛行機に比べたらスピードで負けていますが、それでも乗車率が下がらないのは、スピード以外のものが求められている証拠です。
しかし、「北斗星」の客車は全て24系の改造車で、製造から40年近くが経っています。さすがに車両の老朽化は避けられません。そして、新幹線工事が本格化する2015年3月をもって定期運行を終了、8月で臨時列車としても終了することになりました。
北斗星の食堂車に輝くエンブレム。
発車までの時間はわずか10分。13両=約250メートルはダッシュです。
先頭に着いたところでスペースは僅かなのですが、ゆずりあいを待ち、なんとか撮影。
北斗星の戦い、その1。写真撮影も争奪戦。
青い列車はみんなの注目の的です。
17時12分。扉が閉まり、出発進行です。
[列車番号:2 寝台特急 北斗星 札幌17:12→上野10:05]
《札幌 17:12発》
わずかなショックと共に、「北斗星」は北の都のホームを後にします。
今回はB寝台の下段です。
「トワイライトエクスプレス」(前回の旅行を参照)もそうですが、近年の夜行列車は取るのすらも至難の業です。
今回は12月26日に「トワイライトエクスプレス」に乗る予定だったのですが、一ヶ月前の11月26日に予約失敗。それから予定変更をして、12月28日を乗車目標、一ヶ月前の11月28日を『決戦』の日としました。
この時はかなり慎重に念を入れ、桑園駅と札幌駅(西)と苗穂駅で「トワイライトエクスプレス」を、札幌駅(東)で「北斗星」の予約をすることにしました。もちろん学校があるので、朝早くにみどりの窓口に予約券(みどりの窓口にある緑の紙)を出しに行きました。札幌駅が2つあるのは、みどりの窓口が西口と東口の2箇所にあるからです。
桑園駅のみどりの窓口が開く朝の5時半に桑園へ向かい、その後自転車で朝の5時50分に札幌駅へ。苗穂で受付してもらえないのは誤算でしたが、とりあえず出すことには成功しました――出すことには。結果がこのB寝台です。まあ、桑園で2番手、札幌駅の西口で7番手だった時点で結果は見えていたようなものでしたが。
キャンセル待ちを狙う手もありましたが、今回は「北斗星」だけではないので予定を確定させないことにはどうしようも出来ませんでした。
青函トンネルの工事の関係で、この列車が2014年最後の「北斗星」となりました。B寝台下段でも、取れただけましです。
さて、発車直後の「北斗星」に話を戻しましょう。こちらはところ変わって6号車です。ここにも戦場が待っています。
7号車の食堂車へと繋がる列は、シャワーカードの販売待ちです。
北斗星の戦い、その2。シャワーカードも争奪戦。
「トワイライトエクスプレス」同様、「北斗星」も基本的にシャワーは共同利用です。ただし、「トワイライトエクスプレス」に対して「北斗星」は乗車時間が短い上に客数も多く、争奪戦となります。このシャワーカードは発車後の販売となっていますが、私が向かった時点で6号車半ばまで列ができていましたから、既に50人近いです。
既に食堂車のテーブルはコース料理の用意がされています。
「北斗星」のコースは7800円。「トワイライト」に比べれば
結果、シャワーはあと少しのところで売り切れ。仕方なく、シャワーセット(タオル・シャンプーなどのセット)を購入しました。何気に北斗星マークの入るオリジナル品です。
ここまで読んでいただくと分りますが、写真を諦めない限りシャワーカードは買えません。一人旅の身としてはつらいところところです。数ヶ月前のトワイライトに比べ、あきらかにキャパ不足を感じてしまいます。
仕方なく1号車に戻り、「あの時間」を待ちます。
重連の背後を見つめて。
《南千歳 17:46発》
《苫小牧 18:06発》
冬の北海道はもう夜。外を見ても、闇が広がるばかりです。
……まだだ、まだ焦る時間じゃない。
ということで、静サツはここで車内探訪を開始。
2号車のオハネフ24-502。
1号車とは微妙に異なり、こちらは本当に開放式。1号車のオハネフ25-2は個室化できるよう扉がついています。
使った後の感想となりますが、仕切りのガラスの分だけ下段の開放感が薄れてしまうので、1人だと普通の開放式寝台の方が……
電光掲示板は室温も表示される優れもの。
3号車・オハネ25-566からはしばらく個室が続きます。
B寝台2人個室・デュエットです(未使用の部屋を撮影)。
扉もあってうらやま。
続く4号車・オハネ25-661もデュエット。
5号車・オハネ25-551は1人個室・ソロです。「あけぼの」のように2層ですが、片側に寄っている分大きめです。こういうのがいいんだよ(憤怒)。
そんなこんなで6号車にやってきたのですが……
ま た ひ と だ か り が み え る。
6号車の奥(7号車側)はミニロビーとなっていて、ソファがならんだ豪華な空間……のはずが、あまつさえ立ち客が出る始末。風情もあったもんじゃない。
北斗星の戦い、その3。ロビーの席も争奪戦。
ここまでの車両は全てJR北海道の車両です。
「北斗星」はJR北海道とJR東日本が車両も共同で受け持ち、かつては別編成(開放B寝台オンリーの臨時はJR東日本)だったのですが、1往復廃止した時に編成を統合。それも、半分ずつを組み合わせるという強引なやり方で行いました。JR東日本の編成は1両まるまるロビーがあったのですが……
7号車の食堂車はディナー真っ最中なので、1号車に帰還。
《登別 18:35発》
《東室蘭 18:54発》
《伊達紋別 19:13発》
伊達紋別では「スーパー北斗13号」とすれ違います。
一部の駅ではホームが足りないため、端の車両は締め切り扱いになります。
札幌を経ち早2時間、列車は静かに北の大地を走ります。しかし私には分りました。この静けさが、次なる戦いの前ぶれだと……
続く!
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