三ツ沢のような大規模な事業を単独で実行した裏には、潤沢な資金とともに有能な事務方がついたことがありました。
それが高畠トクでした。トクは明治10年生。没落士族の娘でしたが、女中奉公をしながら学識や英語力を身につけた才媛です。
特派マンローの申し出を受け、トクは秘書兼通訳になりました。1900年ころのことと思われます。このあとの十年は生涯にわたり最高の十年でした。
相次ぐ大規模な発掘調査でマンローは名を挙げ、日本の学界にも積極的に関わるようになります。
その話は一旦置いておいて、肉体的・金銭的には相当疲弊していただろうと思います。
妻アデレは声楽とピアノの得意なお嬢様育ちで、実家は横浜でも屈指の貿易商です。流石に夫婦関係もギクシャクしたものになるかもしれません。
桑原さんの本から引用します。
嫉妬したアデルは、実家のクリスマス・パーティーで、ピアノを叩き付けるようにヒステリックに演奏し、客の前でマンローから平手打ちを食らっている。このパーティーにはトクも招待されていた。
というから、トクからの聞き取りでしょう。
このあとマンローはアデレと離婚し、トクと結ばれました。
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