お客様との話が強烈に残っている。
今日は、比較的余裕のある場所で仕事をすることになった。
「お支払いをクレジットなさいます?」と、聞いたところから始まった。
「私カードはもう見たくもないのよ!全部解約したわ!」の返事だった。
せきを切ったように話し出した。
ご主人はエンジニアで真面目で優しい性格だった。
浮ついた事は一度もなかった。・・それまでは。
理由もわからず、見るみる痩せていき・・倒れた。
入院中病状は非常に悪く、それどころではないのに、携帯電話を持ってくるように言った。
中には外国人パブの相手とのメールがどっさり残っていた。
今までご主人の携帯を勝手に覗いたことはなかった。
しばらくして、ご主人は亡くなってしまった。
出てきたのは、借金。クレジットのリボ払い数社、サラ金数社。
400万円以上だった。
貯金を解約しようと銀行に行って驚いた。
ウン千万円の貯金が無くなっていた。
子どもと3人でショックを受けた。
1年間は、ショックと後始末に大変だった。
(自宅売却?)引っ越しした。
「・・・でも、今、とても明るくて生き生きして見えます。」と言った。
「そうなのよ。いくつに見える?70歳よ。それでも看護婦として働いてるの。
遺族年金もあるし、1か月50万以上収入があるから。大丈夫!」
その年を聞いて驚いた。とてもじゃないが、70には見えない。
「見た目もとても70歳には見えませんが、脳も若くて、ビックリです。」
「あら、そう?やっぱり仕事してるから。」と、嬉しそうに笑った。
「上でご主人は毎日謝ってますね~すまなかったって。許してあげますか・。」
「謝ってるかしらねぇ?まったくね~。」
もし自分だったら?許せるのか?ぜんぜん自信ないんだが・・年老いてからキツイ・・
この方にとって自分のメンタルや、これからの生き方には許してしまった方が楽ではないのか?
そう思って口から出てしまった。
簡単な事じゃないのだけれど。
「変な話聞かせちゃって・・でも頑張るわ。また来ま~す。どうもありがとう!」と
立ち去った。
表情は明るく、小さく手を振っていた。
強くて素敵な人だった。