ときめ句ノスタルジッ句昭和親父の温故知新

思うままに、俳句と唄を、昭和の匂いをぷんぷんさせて。

コーヒーの香り①

2019-03-14 | 詩物語
コーヒーは孤独を誘う香り
孤独を癒す香り

初めて喫茶店でコーヒーを飲んだのは
あれは十八の頃だった
社会に出て 働き始めて
半年ほどは真面目に会社に行っていた

原因は漠然としか思い出せないけど
サボるようになって行った
それで 初めてズル休みを決め込んだ日
まだ朝の早い時間で 目についた喫茶店に入った
そこは 降りたバス停の近くの二階建ての
狭い階段を上った二階にあった
木の枠の ガラスのドアを押した
今でも名前を憶えている
「トリコロール」
名前のように 店のマッチは三色のデザインだった
小さな箱で 軸は黒だった
気に入って使わずにポケットに仕舞ったっけ

煙草はショートホープ
これは会社の仲のいい同僚の影響だった
中の銀紙の上の部分を半分残して切り取った 
煙草を抜き取るとき摘みやすくするためだった

彼は二度目の職場だった
髪形を 分けてはいずに
左目の上に少し隠れめに流していた
それは当時「若者たち」に出て来る俳優の
影響で流行っていたようだ
左目が隠れそうになると
ヒョイと頭を振って髪を風に直すのだった

                           
                    つづく




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