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【全労連が談話】国民監視、私権制限、運動弾圧をねらう「土地利用規制法案」の廃案を求める

【談話】国民監視、私権制限、運動弾圧をねらう「土地利用規制法案」の廃案を求める

2021年5月18日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」が5月11日に衆議院で審議入りした。同法案は、「安全保障」を口実に軍事基地や原発周辺の住民を監視することがねらいである。総理大臣の権限で広範な国民監視、私権制限、運動の弾圧をも可能にするものであり、特定秘密保護法、戦争法、共謀罪に連なる憲法違反の同法案に、全労連は強く反対し、廃案を求める。

 同法案は、米軍基地や自衛隊基地、原発などの「重要施設」の周囲約1キロと国境離島を「注視区域」とし、内閣総理大臣の権限で刑罰付きで利用中止命令を出すことができるようにするものである。
 今回の法案に立法事実は存在していない。自衛隊の司令部や無人の国境離島などを「特別注視区域」とし、その区域の一定面積以上の土地取引について、当事者に氏名、国籍、利用目的の事前届け出を義務付けている。領土問題担当の小此木内閣府特命大臣は、「わが国の防衛関係施設の周辺や国境離島で外国資本が土地を買収していることは、長年問題視されてきた課題」と述べた。しかし、防衛省は、2013年以降に2回実施した基地周辺の土地所有状況の調査結果として、自衛隊の運用等に支障をきたす事例は確認されていないと報告している。土地の買収が「安全保障」の問題にただちに発展するという発想は理解できない。

 沖縄では、多くの住民が軍事基地周辺1キロ以内に居住している。基地負担に苦しむ沖縄県民を監視対象とし、基地撤回を求める運動を弾圧することに使われかねない。
 「重要施設」は「防衛関係施設」や「生活関連施設」とし、その概念はあいまいである。内閣府は、「生活関連施設」には原発や空港など重要インフラが該当すると説明しているが、広範囲なものにすることが可能であり、監視対象の住民は無限に広がる。
 今通常国会で、強行されたデジタル関連法は、デジタル庁が個人情報を一元管理する。同法案ともあいまって、国家による個人の監視を強化する危険性が高まるものであり、断じて容認できない。

 全労連は、日本国憲法の平和主義の理念に背き、基本的人権を侵害する「土地利用規制法案」に反対し、廃案を求めて全力をあげるものである。

(以上)
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