各改正法の成立を受けて、公務労組連絡会は秋山事務局長の談話を発表しました。
定年引き上げの国家公務員法等改正法の成立にあたって(談話)
2021年6月4日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 秋山 正臣
国家公務員の定年を引き上げるための「国家公務員法等の一部を改正する法律案」は、本日参議院本会議において賛成多数により成立した。昨年の通常国会で廃案以降、政府に対し、早期の対応を求めてきた雇用と年金の接続を図る定年引き上げがようやく実現することとなった。しかしながら、あまりにも多くの時間を要したことに強い不満を表明する。
法の成立により、2023年度に60歳に到達する者から定年が段階的に引き上げられ、2031年度に65歳定年が完成することとなる。それまでの間、60歳に到達した者の賃金水準は7割に引き下げられる。また、現行の再任用制度が暫定措置として存置され、新たに定年前短時間再任用制度が創設される。
人事院が行った「退職公務員生活状況調査」(2020年調査)によれば、定年退職後も働きたい理由として、「日々の生計維持のために必要」が85.0%となっており、年金支給がなければ働かざるを得ない実態を現している。別の設問では、「65歳まで働きたい」35.0%、「年齢に関係なく、働けるうちはいつまでも働きたい」20.8%、「老齢厚生年金(報酬比例部分)支給開始年齢まで働きたい」18.6%と就労意欲の強さが現れている。
こうした調査結果からも、生活するために働かなければならない現実がある。定年引き上げは行われるが、60歳に達した日以後の最初の4月1日以降、同じ職務を続けていても給与水準が7割に引き下げられることは最大の問題だ。現場でコツコツ働き続けた職員、家庭事情などによって管理者になれなかった女性など、現場第一線で国民のために働いてきた低い賃金水準におかれてきた職員も否応なく賃金が引き下げられる。同じ職務でありながら、年齢のみを持って給与水準が引き下げられることは認められず、厳しく抗議する。
定年延長で定年退職者が発生しない年度が隔年で生じるが、現在の定員管理を続けるならば、その年は新規採用者が行えないこととなる。行政運営上、継続的な採用を行うことが必要であり、新卒の公務志望者が応募の機会を与えられない事態を生じさせないことも必要だ。
政府は、具体的な対応策を明らかにしていないが、各省庁の実情に応じたきめ細やかな対応を行うよう求めるとともに、定員管理手法を改め、長時間過密労働の実態を直視して大幅な定員増を図るよう強く求める。(以上)
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