プロスポーツ選手がケガで長期離脱するときによく聞く診断「前十字靭帯断裂」
概要と自分がなってみての感想など。
「前十字靭帯断裂」の概要
https://www.jnj.co.jp/jjmkk/general/acl
(J&Jのホームページより)
https://www.zamst.jp/tetsujin/knee/tear_of_anterior_cruciate_ligament/
(ザムストのホームページより)
【概要】(ザムストHPより)
前十字靱帯(ACL)断裂は、スポーツ障害のなかで最も重症度が高い膝の傷害で、選手生命を左右することがあります。コンタクトスポーツでの発生が多く、治療に長時間を要します。中途半端な治療は、かえって治療が長期化して予後は必ずしも良好とならないので注意してください。
画像:順天堂大学病院より https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/seikei/about/disease/sports/sports_05.html
【症状について】(ザムストHPより)
急性期:外傷により突然発症する痛み、膝関節運動の障害、関節の腫張や血腫、膝崩れ現象(Giving way、足を着いたとき、膝にガクッと力が入らず崩れる)が出現します。2~3週しても痛みが継続する場合は、半月板損傷の合併を疑います。
⇒受傷直後は痛くてとても動けない、、、というのも良く見ますが、とりあえずは右足一本で滑り降りました。スキー金具が外れなかったのが今回の怪我に大きく影響したかもしれませんが、金具が外れていたらもう一回スキー履くのは難しかったかもしれません。スキーついてる状態で1回、スキー外した状態で1回膝崩れがありました。
その後、痛みは引いていきましたが、内側側副靭帯(MCL)の損傷もありましたので(こっちは痛いが自然に治る)、1か月後は「杖はいらないがゆっくりしか歩けない」という状況で手術することになりました。
【診断について】(ザムストHPより)
急性期では関節血腫と関節動揺性が発生します。
徒手検査では前方引出し現象、ラックマンテスト(膝約20度屈曲位)、ピボットシフトテスト(Nテスト)が陽性です。MRI検査は最も有用であり、ACLのみならずほかの靱帯損傷、半月板、血腫、骨損傷なども把握できます。膝関節の動揺性はtelosなどの器械を用いてチェックできます。
レントゲンは骨折有無の確認に有用ですが、靱帯は写りません。また、関節鏡(内視鏡)検査は最も有用で確実な診断が得られますが、皮膚切開、麻酔など手術手技に準じた侵襲があります。ACL単独での損傷例は少なく、内側側副靱帯損傷や半月板損傷を合併している場合が多いのが特徴です。
⇒いろいろな方の事例を見ると、レントゲンを撮って「骨には異常がないので、湿布して様子を見て」で帰されることもあるとか・・?結構恐ろしい話です。自分も当初はあまり腫れてなかったので靭帯損傷はないのではないか、という見立てがありましたが、その後腫れてきたので別のドクターが「MRI撮った方がいい」という意見から、すぐにACL損傷の診断となりました。
【治療について】(ザムストHPより)
原則的には、青年期のアスリートでハイレベルのスポーツ活動を維持する場合は、ACL再建手術が必要です。最近の手術は自分の腱(半腱様腱や骨付き膝蓋腱など)を移植する方法が主流です。 ACLは膝関節内に存在するため、他部位からの側副血行が乏しく断裂すると、直接縫合しても血流が途絶したままで腱が癒合しにくい負の特徴があります。そのため、手術は腱移植による靱帯再建術が主流となっています。また以前流行した人工靭帯による再建術は現在ではあまり行われなくなりました。
保存療法ではギプスや装具で初期より長時間固定する方法があります。
しかし保存療法は腱が緩みやすくACL自体の機能回復は難しく、治療目的はADL(日常生活動作)回復、膝周辺の筋力維持、強化、競技パフォーマンスの維持であることをご理解ください。受傷初期には膝関節の固定や、徹底したアイシングを行います。
⇒自分の身近なスキー仲間も含め、ACL断裂を負った人は多いのですが「手術」に行くか「保存」で行くかはそれぞれの判断に分かれます。確かに、手術なしでも日常生活には復帰できそうだし、筋力を強化することでスキーに復帰している人もいっぱいいる。自分は、、できれば手術しないで保存で行きたいなと思いつつ、不安な状態でスキーやその他スポーツやるのは気分的にも良くないし、今よりもっと上手くなるのを目指したかったので手術の選択となりました。
【手術について】順天堂大学病院HPより
現在では、自分の組織を用いて再建する(自家腱移植)のが、世界的にもベストな方法とされています。当院で30年来主に行っている膝屈筋腱(ひざくっきんけん)を用いた関節鏡視下(かんせつきょうしか)再建術は、最小限の切開で大きな合併症もなく、術後の成績も安定しているため、有効な治療方法として確立されています。膝関節を構成する大腿骨と脛骨の最適部位に関節鏡を用いて細いトンネルを作製し、そこに採取加工した腱を貫いて上端と下端を金具で固定することで膝の安定性を得ることを目的とします。また、当院の特色として、ラグビー、柔道、アメリカンフットボール、相撲などコンタクトスポーツを行う重量級の患者さんが多く訪れますが、その際には膝蓋腱(しつがいけん)を用いた再建術を行うこともあります。膝蓋腱は膝蓋骨と脛骨の間にあり、この腱の真ん中1/3程度を骨付きで採取し、移植腱として使用します。
⇒手術、については有名な「トミー・ジョン手術」とほぼ同じようでイメージで、「自分の腱をどこかから持ってきて再生腱とする」のは共通。術式が大きく分けて2つに分かれており、①ハムストリングス腱を持ってくるまたは②膝蓋腱を持ってくるのどちらか。それぞれメリットデメリットあるのですが、自分は②の術式となりました(少数派)重量級のコンタクトスポーツ選手ではないですが、現状のスピードを維持するには強度がある方がよい、ということですね。 それぞれ①はST法(またはSTG法) ②はBTB法 という名称がついているようです。
札幌円山整形外科HPより https://www.maruyama-seikeigeka.com/specialist/index.html
今回私は術式は②を選択することになりました。回復が早い、強度が強い、腱を採取した膝蓋腱の回復も良好、というのがメリットのようです。ただ「膝蓋腱を採ってくる」と一言で言っても、「膝の腱を1/3切って持ってくる=けっこう大ケガ」が伴うわけで、これも結構気になるところ。しかもおススメは「健側=ケガしてない方の脚から膝蓋腱を採ってくる」という手法でした。アスリートの早期復活には高い実績があるということでした。
手術直後は、ケガしてなかった方の脚もケガしたこととなり、両脚ケガで動けません・・・。けっこうしんどいです。術後一週間でかなり良くなってきたので、「これがベストだったんだ!」と自分に言い聞かせてますが、声を大にしていうのは完治してからにしますね。
入院中、他の患者さんで同じくスキーで負傷した方もいて、同じようにBTB法で膝蓋腱の移植をされていました。しかし、、健側に傷がない。どうも「アスリートではないので」と仰ってはいたけど、怪我した方の脚から腱を採ったとのこと。これも、メリットデメリット考えて自分で判断するしかないですね。
ただ間違いないことは、
診断・手術・リハビリともに、経験豊富な医療機関を受診することが望ましい、ということかと思います。