ですが、確実にAIは普段の生活や仕事に浸透して来ているのは事実で、音楽制作の分野においては、AIによる自動マスタリングサービスやアプリが登場して、実は僕もそのAIベースのマスタリングアプリを先日購入しましたが、このAIマスタリングがとても優秀で、僕が何時間もかけ試行錯誤して仕上げたマスタリングの音よりもAIで自動マスタリングした方が遥かに良い音に仕上がってしまいました。しかもAIの自動マスタリングにかかった時間はたったの10数秒。これはかなり衝撃的な出来事で、このAIマスタリングを体験して以降は自分でマスタリングをするのをやめました。AIにマスタリングさせた方が遥かに良好な結果をえられるからです。更にAIミキシングアプリまでも登場して、実はこのAIミキシングアプリも先日購入しました。ミキシングに関しては全てをAIに任せられる程単純な作業ではないのですが、AIミキシングアプリを活用する事でミキシングにかかる時間を大幅に短縮することが出来ました。
将来AIに取って代わられてしまう職種が数多くリストアップされ話題になってますが、間違いなくマスタリングエンジニア、ミキシングエンジニアもその仕事の大半はAIに奪われてしまうのではないかと思います。でもこの事は決して悲観する事態ではなくて、昔は作曲する人、演奏する人、録音する人、ミキシングする人、マスタリングする人など音楽(音源)制作工程はそれぞれの専門家による分業制が常識でしたが、さまざまな技術進歩に伴い少人数あるいは1人で全ての制作工程を賄う事が可能になりました。これは特にコンピューターベースのDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)の飛躍的な進歩によるところが大きいと思いますが、昔なら数百万〜一千万円以上かかっていた音響機材をDAWではほんの数十万円の投資で再現出来てしまうので、主に機材投資、機材環境面でのハードルがグンと下がりました。もちろん良いサウンドに仕上げるためには、ミキシングやマスタリングに関する専門知識や経験、そしてなによりも優秀な"耳"が必要であることは言うまでもありませんが、AIマスタリングやAIミキシングの登場により、専門知識や経験はそれ程重要ではないような流れになって来ているようです。
また、大分以前からAIによる自動作曲アプリや自動アレンジアプリもありますが、作曲とアレンジに関しては現時点のAIレベルでは、まだまだその道の専門家を脅かすような存在ではありませんねー。でも自動作曲、自動アレンジの分野も確実に進化しているので、いずれAIが作編曲した楽曲が巷に溢れる日もそう遠くはなさそうです。データベースの蓄積やビッグデータの活用において人間はAIには到底太刀打ち出来ないので、例えば「モーツァルト風の曲を作って!」「バッハ風の曲作って!」あるいは「曲調はバッハで、オーケストレーションはラベル風で!」等、AIに指示すれば、ものの数分で要望通りの楽曲を作ってくれるのではないかと思います。AIに過去の偉大な作曲家達の膨大な数の楽曲や音楽理論、音楽スタイルを学習させれば、それ程難しい話ではないと思います。
これからの音楽家は「AIに仕事を奪われないようにすればどうすればよいか」ということを頭の片隅に置いておいた方が良さそうです。決して大げさな話ではなくて、昨今のAI技術の進歩スピードを見ていると、そう遠い未来の話ではないような気がします。
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